言葉の意味が分かること・指導計画:読者との交流

読者との交流
つばさ
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読者の方からメールを元に、指導計画を考えました。

 この教育よもやま情報をお読みいただく方とメールのやりとりをすることがあります。

 今回は、読者の方のご了解をいただいた上で、メールのやりとりについて書きます。

 今回の記事がみなさんが私へ気軽に相談していただく呼び水になれば、うれしいです。

 今回は、前回の続きで、「言葉の意味が分かること・指導計画:読者との交流」です。

言葉の意味が分かること・指導計画:読者との交流

🟠言葉の意味が分かること・指導計画 読者との交流

<読者T・Yさんからのメール5>

 こんにちは。今日は気持ちのよい晴天です。

 いかがお過ごしでしょうか。

 先週は個展に行かれたとのこと、素敵ですね。

 言葉のない絵から、たくさんの想いが伝わってくる感じ、とても好きです。

 指導案が何とか完成しました。

 (なお、残念ですが、指導案については、指導者作成者の了解を取れていませんので、割愛します。)

 本時案だけでご意見をいただくのは難しいことと存じますが、お時間のある時にで結構ですので、お気づきの点をお聞かせいただければ幸いです。

 まとまりのない文章で申し訳ありません。

 どうぞよろしくお願い致します。

<わたし、鴫田からの返事メール5>

 メールありがとうございます。

 基本的には初任者の指導案づくりはあまり無理しなくていいと思います。

 急に指導力があがるわけではありませんので、徐々に成長すればいいと思います。

 とはいえ、それではお役に立ちませんので、今ある情報を頼りに少し私なりの代案を考えてみますね。

 できるだけ、毎時間の「学習のめあて」は絞って、シンプルにするのかいいと思います。

 光村図書のホームページには、次のような指導計画が載っています。単元指導計画などは、教科書会社のものをそのまま使えばいいと思います。(もっとも、この指導計画では、1時間めと2時間め、6時間めと7時間めがつながっていて、どこで切ればいいのかわかりにくという欠点はあるのですが・・・)

[1・2時間め]

 1: 学習の見通しをもつ。

・P45 の題名やリード文を読み,これから学習する文章についてイメージをもつ。

・「文章の要旨をとらえ,自分の考えを発表しよう」という学習課題を設定し,学習計画を立てる。「これまでの学習」を確認する。 

・「見立てる」を読み,事例や段落構成に着目して 筆者の考えを捉え,自分の考えを伝え合う。 

・「言葉の意味が分かること」を読み,感想をもつ。

[3時間め]

2:各段落の内容を簡潔にまとめながら,構成と内容を確かめる。

3:文章構成や事例の挙げ方,原因と結果の関係,事例と筆者の考えの結び付きなどを確かめる。

4:文章の要旨を 150 字以内でまとめる。

[4時間め]

5:筆者の考えや,その考えを分かりやすく伝える表現の工夫について,自分の考えをまとめる。

・共感,納得できる点,疑問に思う点など,自分の感じたことを手がかりにする。

 ・自分の経験や体験,既有の知識とつなげる。

[5時間め]

6:自分の考えを伝え合う。

 ・筆者の考えに触れながら,文章から読み取れる筆者の考えに対する自分の考えを話す。

[6・7時間め]

7:P57 を読み,「原因と結果」の結び付きを意識して,話したり,書いたりすることについて確認する。

8:学習を振り返る。 

・「ふりかえろう」で単元の学びを振り返るとともに,「たいせつ」「いかそう」で身につけた力を押さえる。

・「この本,読もう」を参考にして,他の本に読み広げる。

光村書籍ホームページ

光村図書・5年・年間指導計画例に進む外部リンク

 これを参考に、まず自分なりに、7時間の単元計画を作ってみますね。

1時間め 「文章の要旨をとらえ、自分の考えを発表しよう」という単元のめあてを確認する。

・要旨の意味を確認する。 

・「見立てる」をすらすら読めるまで音読する。

・「見立てる」を読み、「要旨」をまとめる。

・要旨は、はじめとおわりに書かれている。

・なかには、その具体例が書かれている、ことの確認。 

・見立てるの要旨:「見立てる」という行為は、想像力によって支えられている。

 2時間め「言葉の意味がわかること」の内容と表現を読み、要旨をとらえ、150字程度にまとめるという学習の見通しを確認する。

・「言葉の意味がわかること」に番号を打つ。

・全体をすらすら読めるまで音読する。 

・全体をはじめ、なか、おわりの3つに分けてみる。

 ・はじめとおわりだけを読み、筆者の主張を知る。

3時間め なかの部分を読み、筆者の主張をうらづける具体例を詳しく読む。

・言葉の意味に広がりがあるとはどういうことか。

・コップには、色や形、大きさなどさまざまなものがあるため子どもにコップの意味を伝えるのはむずかしい。

・子どもはよく言い間違いをする。

 例えば、似た「ふむ」と「かむ」の言い間違い

・似たことは外国語学習でも起こる。

・ある留学生は、「朝食にスープを食べました。」と言った。

 これは日本語の「食べる」と英語の「eat」の意味のはんいがちがったからおこったこと

4時間め この説明文の要旨を150字でまとめる。

 未知の言葉に出会う時、辞書や人にきき意味が分かったと思うが、本当に分かっているのか。言葉の意味が分かることはおく深く、言葉の意味には広がりがある。母語でも外国語でも、言葉を学ぶときには言葉の広がりを考え、面として理解することが大切だ。言葉を面として考えることは、言葉やものの見方を見直すことにもつながる。(約150字)

5時間め この説明文の中にある筆者の表現の工夫を読む。

 これについては、次のページの「筆者の表現の工夫」をお読みください。

言葉の意味が分かること 教材分析048に進む内部リンク

6時間め 自分の考えを伝え合う。

7時間め 学習のまとめをする。

 これは、あくまで個人的な感想や意見です。

 基本は、指導案作成者のしたいようにさせてあげるというのが、たとえ大きく失敗してもいいように思います。

 その方が、成長できますから。

 とはいえ、手を差し伸べることも大切です。

 いつも、この2つの間で揺れますよね。

<読者T・Yさんからのメール6>

 おはようございます。

 早々のご指導をいただき、本当にありがとうございました。

 1つ目は指導書についてです。

 新採さんは、どうも教育実習の際に「指導書は参考にならない」と習ったようで、指導書をあまり読まずに第1案を作成していました。

 私は指導書を参考にしつつ、前学年までの既習事項の定着具合など児童の実態や研究内容に応じてアレンジを加える形で取り組んできました。

 ですので、「まずは指導書を参考にするといいよ。」と伝えて第2案作りへと向かいました。

 鴫田先生の「単元指導計画などは、教科書会社のものをそのまま使えばいいと思います。」というお言葉を読んで安心しました。

 と同時に、若手の先生方への言葉がけの大切さというか責任を感じました。

 2つ目は、内容理解と筆者の工夫の読み取りを分けるという点についてです。

 確かに、鴫田先生が示してくださった代案の方が、すっきりします。

 要旨をまとめるまでは、内容の読み取りで貫くということでしょうか。

 物語文の読み取りは内容面と表現面を分けて読むようにしていたので、なるほどと納得しました。ありがとうございました。

 今回、段落の役割と関係に本時で取り組むと定めた際に、児童の主体性を引き出すためにはどんな問いかけがよいかと考えました。

 3つ目は、音読についてです。

「すらすら読めるようになるまで音読をする」ことは、大前提ですね。今回、本時の内容検討に時間がかかり、音読の大切さについては指導が漏れていました。早速確認します。

 以上が、今回のご指導を受けて主に考えたこと3点です。

 私の受け手としての力が足りず、鴫田先生のお考えを十分に咀嚼できていない部分も多々あるかと思い、申し訳ないです・・・。

 今回の鴫田先生のご返信の早さと、その内容の的確さに感服しました。

 いかに今まで真摯に教材研究に取り組んできたかの表れだと思いました。

 私も襟を正して、かつ楽しみつつ、いろいろな教科の教材研究に取り組んでいきたいと思います。

 まずは、6月の筑波小の研発から学ぼうと思います。(オンライン参加ですが・・)

 貴重なお時間を割いての貴重なご指導、本当にありがとうございました。

 今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

<わたし、鴫田からの返事メール6>

 おはようございます。

 メールを読んで思ったことについて返信しますね。

 1つめの指導書についてです。

 確かに、指導書は、指導の流れをあまり考慮に入れずに、指導内容を全て打ち込んで作られていますので、単元の流れがぶつ切れになっていることも多く、「指導書は参考にならない」というところがあるの事実です。

 ただ、全てをしなくても、ある程度の参考にはなります。

 私なりの計画でも、教科書会社そのものではないでしょう。取れるところだけ取り入れればいいと思います。

 自分なりの指導計画を作る前の、つなぎとして参考にするのがいいと思います。

 2つめの「内容理解と筆者の工夫の読み取りを分ける」ということについてです。私のブログなどを読んでいただくと書いているのですが、「筆者の表現の工夫の読み取り」は、物語文でも、説明文でも内容の読み取りの後で、別にしています。次のページに書いていますので、お読みください。

説明文の指導の仕方(7)筆者の表現の工夫に進む内部リンク

 ただ、この考え方は絶対ではありません。

 3つめの「音読について」です。

「すらすら読めるようになる」ということは、とても大切だと思います。すらすら読めないと、内容の読み取りをしていても、子どもが学習についてこれません。私も内容の読み取りに熱中しすぎて、多くの子どもを置き去りにした経験があります。教科書の横に○を10を書かせて、1回読むと⚫︎と塗りつぶす、といった方法はよくなされていると思います。

 音読については、「話すように読みましょう」という言葉がけがいいと思っています。次のページに詳しく書いています。

音読指導(1)話すように読むに進む内部リンク

「すらすら読めるようになるまで音読をする」ことは、大前提ですね。

 今回の私の助言が、T・Y先生と、新任の先生、そしてその新任の先生から授業を受ける子どもたちの少しでも役に立っているのだとしたら、とてもうれしいことです。

 メールありがとうございました。

 また、何かあれば、遠慮なくご連絡くださいね。とても楽しいです。

<まとめにかえて>

 今回は、2023年5月20日(土)と21日(日)にやりとりしたメールの交流の様子を、載せさせていただきました。

 みなさまも、日々の授業などを進める上で、わからないことがありましたら、遠慮しないで、メールをください。

 すぐに解決策が提示できるわけではありませんが、私なりによく考えて返事を差しあげたいと思います。

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はじめまして 見方・考え方:読者との交流に進む内部リンク

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