研究発表の準備について書きます。
小学校では、同じ自治体に所属する近隣の小学校の教員などを集めて、研究発表会を行うことがあります。
そのような研究発表会に向けて、どのような準備にしていけばいいのか「研究発表の準備」について書きたいと思います。
研究発表の準備 研究発表②
<研究発表会の準備>
研究発表会の準備には大きく分けて2つあります。
1つは、研究紀要などの紙ベースの資料を作成することです。
もう1つは、パワーポイントなどの発表用の資料を作成することです。
同じ内容についてまとめるのですが、この2つにはとても大きな違いがあります。
しかし、そのことを強く意識している人は少ないように思います。
多くの場合、研究紀要などの資料を作成することに大きな労力がはらわれます。
多くの発表者は、研究紀要などの文字の資料ができれば、ほとんどの仕事は終わったように思いがちです。
しかし、優れた研究発表者は、研究紀要などのような文字で書いた発表資料と、口頭を中心にするプレゼン資料は全く違うものであるということを知っています。
残念なことに、国語科という日本語の基礎を教えることを研究の中心にしている教員でも、このことを知っている人は少ないように思います。
本来は、研究紀要のような文字の資料の作成にかけるのと同じぐらいの時間や労力を、プレゼン資料の作成や口頭発表のためにかける必要があるのでしょうが、そのように考える発表者は少ないように思います。
<なぜ、紀要作成とプレゼン作成に同じぐらいの労力が必要なのか?>
では、なぜ紀要作成とプレゼン作成に同じぐらいの労力が必要なのでしょうか。
それは、文字で伝えることと、口頭で伝えることは全くの別の事柄だからです。
文字の資料の場合、読み手は、自分のペースで理解を進めていくことができます。
読んでいて疲れれば、途中で中断することができます。全部読んでから、もう一度読み返すこともできます。わからない言葉を辞書で調べることもできます。
きちんと内容が書かれていれば、理解は、読み手の好きな方法や手段で進めていくことができます。
しかし、プレゼンを聞く場合、聞き手は、自分のペースで理解を進めていくことができません。
聞いていて中座をすれば、中座した内容をもう一度聞くことはできません。わからない言葉が出てきても聞き続けるしかありません。発表を聞いた後で、もう一度最初から聞くこともできません。
もっとも発表された事柄が、YouTubeなどの動画に編集されたものを聞く場合はできますが、小学校の研究発表会を動画編集して聞くという機会はほとんどないように思います。
ですから、研究発表会の発表者は、このようなことをきちんと意識して、口頭発表用の資料を作る必要があります。
読むことで理解できることと、聞くことを中心にした場合で理解できることには大きな開きがあります。
発表者が自分が思っているよりも、内容をぐっと少なくする必要があります。
自分がよくわかっている内容でも、聞き手は初めて知ることも多いのが普通です。
ですから、自分が思っているよりももっと少ない内容に精選する必要があります。自分が伝えたいと思うことよりも3割ぐらい少ない内容に絞る必要があります。
多くの場合、20分程度の発表時間しか割り当てられないでしょうから、発表の内容を絞る必要があります。
そのことを意識して、聞き手の理解を考えて発表されていることはとても少ないように思います。
発表者は、できるだけたくさんのことを知ってほしいと思いがちです。
でも、残念なことに聞き手は、短い時間に多くの情報をきちんと理解できるわけではありません。
ですから、発表者は、発表内容を吟味し、プレゼン資料の文字数なども厳正し、聞き手の理解が増すような工夫をすることが必要です。
そのためには、研究紀要などの資料作成と同じぐらいの労力と時間を、発表会向けに割く必要があります。
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