説明文の学習(2)要旨のまとめ方:光村図書編

指導方法
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 国語の説明文の学習の一つに、文章の要旨をまとめるという学習があります。

 今回は、「要旨のまとめ方」について書きます。

 特に、今回は、光村図書の教材を使って説明しますので、「光村図書編」としました。

要旨のまとめ方:説明文の学習(2):光村図書編

🟠要旨のまとめ方

<小学校学習指導要領に記載されていること>

 2017(平成29)年に出された現行の小学校学習指導要領には、国語の第5学年および第6学年の内容の「C 読むこと」として次のように書いています。

(1)読むことに関する次の事項を身につけることができるようにする。

ア 事実と感想、意見などの関係を叙述を基に押さえ、文章全体の構成を捉えて要旨を把握すること

小学校学習指導要領 平成29年7月

 さらに、同指導要領の「解説国語編」には、要旨について次のように書いています。

 要旨とは、書き手が文章で取り上げている内容の中心となる事柄や、書き手の考えの中心となる事柄などである。要旨を把握するためには文章全体の構成を捉えることが必要になる。文章の各部分だけを取り上げるのではなく、全体を通してどのように構成されているのかを正確に捉えることが重要である。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編

 このことを踏まえて、高学年で要旨をまとめる方法について、具体的な私見を述べたいと思います。

<要旨のまとめ方・全体の流れ>

 個人的には、順次を追って、次のような方法を行えば、要旨をまとめることができるのではないかな、と考えています。

  1. 説明文の形式段落に番号を打つ。
  2. 形式段落に書かれていることを、35字~50字程度にまとめる。
  3. 形式段落に書かれていることをもとに、いくつか意味段落に分けて、どのような構成になっているかとらえる。
  4. 意味段落毎に内容を50字~100字程度にまとめる。
  5. 意味段落の内容をまとめたものを元に、要旨にまとめる。

 ここでは、教材として、光村図書の5年生に採択されている言葉の意味が分かること」を使って、具体的な説明することにします。

<説明文の形式段落に番号を打つ>

 この「言葉の意味が分かること」という説明文では、形式段落(段落のはじめが、一字下りになっているところ)は、12段落あります。

 教科書に、①、②と番号を打ちます。

<形式段落に書かれていることを、35字~50字程度にまとめる>

 形式段落の内容をまとめると、次の通りです。

① 言葉の意味が分かることはおく深い。なぜなら言葉の意味には広がりがあるからだ。

② 言葉の意味に広がりがあるとはどういうことか、子どもに言葉を教えることで考えたい。

③ 「コップ」の意味を教えるとき、さまざまなものがあるため使い方も教えないといけない。

④ 一つの言葉が指すものにもさまざまな特徴があり、似た言葉との関係で決まるものである。

⑤ 小さな子どもはかぎられた例をもとに言葉を使っているので、おもしろいまちがいをする。

⑥ ある子は「歯でくちびるをふんじゃった。」と言ったが、どうしてなのだろうか。

⑦ 「ふむ」と「かむ」は、似た言葉なので、覚えた言葉を別の場面で使おうとして失敗した。

⑧ 似たことは外国語を学ぶときにも起こるので、「スープを食べた」と言った留学生がいた。

⑨ これは日本語の「食べる」と英語の「eat」の意味のはんいがちがったからおこった。

⑩ 世界中の言語で、このように一つの言葉のはんいを広げて使うかは変わってくる。

⑪ 母語でも外国語でも、言葉を学ぶときには言葉の広がり、面として理解することが大切だ。

⑫ 言葉の意味を面として考えることは、言葉やものの見方を見直すことにもつながる。

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<形式段落に書かれていることをもとに、いくつか意味段落に分けて、どのような構成になっているかとらえる>

 文章を読んでみると、次のような意味段落に分かれるていることがわかります。

 はじめ(序論)の部分は、形式段落①だけです。

 なか1(本論1)の部分は、形式段落②~④までです。

 なか2(本論2)の部分は、形式段落⑤~⑦までです。

 なか3(本論3)の部分は、形式段落⑧~⑩までです。

 おわり(結論)の部分は、形式段落⑪~⑫までです。

<意味段落毎に内容を50字~100字程度にまとめる>

 はじめ(序論)の部分をまとめると、次のようになります。

・知らない言葉を調べて意味が分かったと思うことがあるが、本当に言葉が分かったといえるか。言葉の意味は広がりがあるので、「言葉の意味が分かる」ことはおく深い。

 なか1(本論1)の部分をまとめると、次のようになります。

・言葉の意味に広がりがあることを、子どもに言葉を教えることで考えると、子どもに「コップ」の意味を教えるとき、コップには、色や形、大きさなどさまざまなものがあるので使い方も教えないといけない。

 なか2(本論2)の部分をまとめると、次のようになります。

・子どもはかぎられた例をもとに言葉を使うので、まちがいをする。「歯でくちびるをふんだ。」と言った子は、「ふむ」と「かむ」は「あるものを上からおしつける動作」を表す似た言葉なので失敗した。

 なか3(本論3)の部分をまとめると、次のようになります。

・似たことは外国語でも起こる。ある留学生は「朝食にスープを食べた。」と言った。これは日本語の「食べる」と英語の「eat」の意味のはんいがちがうことから起こったことだ。

 おわり(結論)の部分をまとめると、次のようになります。

・母語でも外国語でも、言葉を学ぶときには言葉の意味の広がりを考え、そのはんいを理解して、面として理解することが大切だ。言葉を面として考えることは、言葉やものの見方を見直すことにもつながる。 

<意味段落の内容をまとめたものを元に、要旨にまとめる>

 先程まとめた内容をそのままつなげると、次のようになります。

 知らない言葉を調べて意味が分かったと思うことがあるが、本当に言葉が分かったといえるか。言葉の意味は広がりがあるので、「言葉の意味が分かる」ことはおく深い。言葉の意味に広がりがあることを、子どもに言葉を教えることで考えると、子どもに「コップ」の意味を教えるとき、コップには、色や形、大きさなどさまざまなものがあるので使い方も教えないといけない。子どもはかぎられた例をもとに言葉を使うので、まちがいをする。「歯でくちびるをふんだ。」と言った子は、「ふむ」と「かむ」は「あるものを上からおしつける動作」を表す似た言葉なので失敗した。似たことは外国語でも起こる。ある留学生は「朝食にスープを食べた。」と言った。これは日本語の「食べる」と英語の「eat」の意味のはんいがちがうことから起こったことだ。母語でも外国語でも、言葉を学ぶときには言葉の意味の広がりを考え、そのはんいを理解して、「言葉を面」として理解することが大切だ。言葉を面として考えることは、言葉やものの見方を見直すことにもつながる。(438字)

  このままでもいいのですが、もう少し短い文章にまとめたいと思います。

 その際、何文字程度にするか予め決めておくといいでしょう。

 100字でも200字でもいいと思います。

 ここでは、200字以内にまとめることにします。

 先程の文章の中から、「言葉」や「意味」のような重複している言葉を取り除いたり、「言い間違い」というような束ねる言葉を付け加えたり、重要な言葉を残したりしながら200字になるように取捨選択を繰り返します。

 すると、要旨は、次のようになります。

 言葉には広がりがあるので「言葉の意味が分かる」ことはおく深い。言葉に広がりがあることは、子どもに言葉を教えるとき使い方も教える必要があることでも分かる。「歯でくちびるをふむ」や「スープを食べる」という言い間違いは、似た言葉や意味のはんいのちがいで起こった。言葉を学ぶとき言葉の意味の広がりやはんいを理解して、面として理解する必要がある。言葉を面として見ると、言葉やものの見方を見直すことにつながる。(199字

<まとめにかえて>

 いかがでしょうか。このような手順を踏むと、誰でも要旨をまとめることができます。

 とはいえ、要旨をまとめる学習は、全ての子どもがすぐにできることではありません。

 できれば、指導者である教員のみなさんには、最初は私がまとめた要旨を見ないで、自分で要旨をまとめてみてほしいと思います。そうすると、要旨をまとめることの苦しさと楽しさがわかるようになると思います。

 要旨をまとめるという学習は、1度したからといって、上手になるものではありません。では、どうすればいいのでしょうか。

 一つの方法として、社会科や家庭科などの他の教科書を使うという方法があります。

 それらの教科書に書かれている内容をこの方法を使ってまとめて見るというのはいかがでしょうか。

 きっと子どもたちは、国語の要旨をまとめるという学習をする意味がよく分かり、他の教科でも活用できるよさに気づくと思います。

⭐️ ⭐️

 なお、この教材については、次のページに私なりの指導計画と別の方法で要旨を150字にまとめたものも載せています。

言葉の意味が分かること・指導計画:読者との交流に進む内部リンク

 説明文の指導の仕方について、次の文章もお読みください。

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(2)2次と3次の指導に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(3)指導計画の実際に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(4)1次の指導の実際に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(5)2次の指導の実際①に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(6)2次の指導の実際②に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(7)筆者の表現の工夫に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(8)3次・調べ学習に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(9)3次・書く時の指導に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)考えておくとよいことに進む内部リンク

 要旨をとらえることを目標にしている教材には、次のようなものがあります。

言葉の意味が分かること 教材分析048に進む内部リンク

インターネットは冒険だ 教材分析119に進む内部リンク

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