説明文の指導の仕方(8)3次・調べ学習

指導方法
つばさ
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説明文の調べ学習の仕方を知りたいです。

 ここでは、次のことを書きます。

 3次の調べ学習について

 前後の学年の学習との関連について

3次の調べ学習について

 2次までは、共通の説明文教材「パラリンピックが目指すもの」という教材を使って、学習をしました。その際の注意点や留意点などについて説明してきました。

🟠本時の学習

 3次の1時間めでは、共通の説明文を読んだ後、自分の調べたいことについて調べる学習になります。

 本時の学習は、「自分の書きたいパラリンピックの内容を選ぶ。図鑑や図書を読み、パラリンピックについて調べる。」ことを行います。

 調べ学習をする時には、子どもが、自分の課題をしっかりもっている必要があります。

 指導者側からいえば、子どもが自分の課題をしっかりもてているか把握しておく必要があります。

説明文の指導の仕方(4)」で、学習の計画を立てる際に、子どもの疑問などを3つに分けました。

 A 本文を読むとすぐに解決できること、B この教材を読んでも、解決できないこと C この教材を読むことで解決できること、の3つです。

 この3つのことがらのうち、Bの疑問を、他の図書などで調べることにしました。それが、本時の学習です。

🟠調べ学習の際の留意点

 ある子どもはBの疑問として、「水泳とポッチャ以外に、パラリンピックの種目には何があるのか」「パラリンピックという名前は、どうしてついたのだろうか」などという疑問をもつでしょう。

 どちらも、とても素晴らしい疑問だと思います。

 しかし、「パラリンピックが目指すもの」という教材を読んでも、答えは書いていません。

 調べてみて初めて解決する疑問です。

 しかし、パラリンピックに関する様々な疑問をもったとしても、子どもにまかせるだけでは、なかなか子どもが思うような答えを、見つけることができないこともあります。

 そんな場合はどうするとよいのでしょうか。

 私は、前もってその答えを調べておき、図書に付箋紙を貼って、子どもが見つけられないときには渡せるように準備をしておきました。

 ある子どもは、自分の興味のあることがらについて、本や図鑑で調べ始めるでしょう。しかし、すぐに調べたいことが見つかるわけではありません。パラリンピックについて書かれた本や図鑑などを一冊渡しても、なかなか自力では読みこなせないことの方が多いです。

 そのような時に考えついたのが、子どもの読み取りの実態を考えて、指導者自ら作成した資料を渡す方法です。

 このブログに並行して私は、「よみもの」という子ども向けのブログを開設しています。そこに載せている文章の一部は、調べ学習用に作ったものでもあります。(「よみもの」では、「パラリンピックが目指すもの」に関する「よみもの」も作成しています。)  

パラリンピック Paralympicsに進むよみもの

ゴールボール Goalballに進むよみもの

くるまいすバスケットボール Wheelchair Basketballに進むよみもの

🟠図書を準備すること

 調べ学習の際の必要な配慮事項として、学級の人数分以上の資料を用意しておく必要があります。

 学校の図書室に行き、パラリンピックに関係する図書が何冊あるか確かめます。

 学校の図書が少ない場合は、近隣の公立図書館などから図書を借りるなどの手続きをしておく必要もあります。

🟠インターネットで調べること

 パソコンのインターネットで調べる活動もさせました。

 ただ、子どもの中にはインターネットの検索機能を使えば、知りたいことがだいたい何でも出てくると思っている子どもがいます。しかし、なかなか知りたいことが見つからないことも多いです。

 また、たとえ自分の疑問の答えが書いてあるホームページを、運よく見つけることができても困ったことはまだあります。

 一般のホームページは勿論のこと、子ども向けのホームページでも子どもが何年生でどのような漢字を知っているか全然考慮しないで作成されている場合が大半ですので、子どもにとって、読めない漢字がたくさん出てきます

 その他、本や図鑑の場合とインターネットとの大きな違いは、本や図鑑の場合は、出版されるまでに多くの人の目を通りますので、うそや間違った表現が少ないことです。

 しかし、インターネットの場合は、自分で書いたことを誰の目を通すこともなくそのまま載せることができますので、うそや間違いが含まれていることがあることを伝えることも必要です。

 様々な配慮をすることが必要ですので、調べ学習をさせることを敬遠される指導者も多いのですが、子どもにとってたいへん楽しい活動です。

 時間がかかることも多いのですが、子どもに力がつくのを実感できる活動でもあります。

前後の学年の学習との関連について

🟠小学校学習指導要領との関係

 現行の小学校学習指導要領では、第3学年及び第4学年の「書くこと」の「言語活動例」として次のように書かれています。

調べたことをまとめて報告するなど、事実やそれを基に考えたことを書くこと

書くことの言語活動例

 また、「読むこと」の「指導事項」として次のように書かれています。

目的を意識して、中心となる語や文を見付けて要約すること

読むことの指導事項

 そして、「読むこと」の「言語活動例」としてように書かれています。

記録や報告などの文章を読み、文章の一部を引用して、分かったことや考えたことを説明したり、意見を述べたりする活動。

読むことの言語活動例

🟠他の学年の学習の関連

 これらの学習指導要領の文言を受けて、東京書籍の3年生の教科書には、「要約」という言葉の意味と、どのようにすれば要約できるのかが書いてあります。同じように、4年生の教科書には、「引用の仕方」の説明が、5年生の教科書には、「さまざまな資料を活用しよう」との説明が、6年生の教科書には、「インターネットの利用」や「著作権」の説明が載っています。

 普段、指導する場合、目の前の担任している学年の子どもや教材ばかりに目が行きがちです。

 しかし、時には、少し大きな視点をもち、今回の学習が今までのどのような学習の上に位置づいているのか、また、今回の学習が上の学年や中学校での学習にどう関係しているのかを、知っておく必要があると思います。

 このような視点は、国語科の指導に限ったことではありません。他の教科などの学習でも大切なことだと思います。

 子どもは、学習したことを理解することができても、なかなか活用することができるようになるわけではありませんから、大切な学習事項は、何回も伝えてもいいのでしょう。

 指導する時に、今回の学習事項が初めて教えることなのか前の学年で、他の先生が教えたことがある内容なのかを知っておくのことも大切だと思います。

 例えば、「要約」や「引用の仕方」の説明は、それぞれ、3年生、4年生の教科書にしか出てきませんが、定着するまでは、毎年教えてもよい内容だと思います。

説明文の教材研究(5)大事な言葉と要約に進む内部リンク

🟠調べたことを書く時の留意点

 文章にまとめたり書いたりする際には、(引用は別ですが)調べたことをそのまま写すようにしないことが大切です。

 調べたことをそのまま写してはいけない理由としては、自分でも理解できないようなむずかしい言葉や表現をそのまま、ただ書き写すだけで学習が終わったと思うことがあるからです。

 自分でよくわかっていないことを書いても、読んだ人は、誰もわかりません。

 必ず、自分のよくわかる言葉に書き直すようにさせる必要があります。

🟠引用の仕方を教えること

 時には、引用をして、書く方がよい場合もあります。

 そのような場合は、4年生の教科書に載っている事柄ですが、「引用の仕方」を教えて、正しく引用させた上で、解説や自分の意見や感想を書くようにさせることが大切です。

 引用の際には、①引用のする部分は、かぎ(「 」)などを付けて書く。②引用する部分は、もとの文章のままぬき出す、③引用した出典(本の名前、書いた人、出てきたページ数など)を書きとめておくことなども大切なことです。

説明文の教材研究(6)引用に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(9)3次・書く時の指導に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)考えておくとよいことに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(7)筆者の表現の工夫に戻る内部リンク

説明文の指導の仕方(6)2次の指導の実際②に戻る内部リンク

説明文の指導の仕方(5)2次の指導の実際①に戻る内部リンク

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