説明文の指導の仕方(9)3次・書く時の指導

指導方法
つばさ
つばさ

調べたことを書くときの指導の仕方を知りたいです。

 ここでは、次の2つのことについて書きます。

 3次の調べたことを書くこと

 作文の苦手な子どもへの支援

3次の調べたことを書くこと

 指導計画では、3次の2時間め、3時間めの計画は次のように考えました。

⑨ 作文の構想を考える。その際、「パラリンピックが目指すもの」の説明文のどのような表現の工夫を取り入れるかも合わせて考える。

⑩ 作文を書き、リーフレットにする。(カード形式にしてもよい。)

 自分の疑問や課題について、他の教材を読んでわかったことを文章にまとめる時のことについて考えていきます。

🟠400字作文を活用する

 以前、このブログ内で、作文のすすめとして市毛勝雄氏の400字作文を紹介しました。

作文のすすめ(1)400字作文に進む本ブログ内

 今回も400字程度にまとめさせるとよいと思います。

400字作文」では、次のように書きました。

 これを応用して、はじめに、「疑問とその疑問を持った理由」、なか1・2で調べてわかったことおわりに調べて思ったこと」などを書くといいのではないかと思います。

 子どもに書かせる前には、どのようなものを想定するのか、事前に指導者が書いてみるとよいです。

🟠作文の例

 例を2つ示します。

  なぜパラリンピックというのか?         調部 鯛代(しらべたいよ)

 私は、「なぜ、パラリンピックという名前がついたのか」について調べました。教科書を読んでもわからなかったし、知りたかったからです。

 パラリンピックという言葉は、第2回パラリンピックから使われました。その時は、車いすの人々の大会でした。英語で、下半身のまひのことを「パラプレジア」と言います。この「パラブレジア」の上の部分と、「オリンピック」の下の部分を組み合わせて、「パラリンピック」ということばを作りました。

 その後、車いすを使っている人以外のしょうがいをもつ人々も大会に出るようになりました。そこで、「もうひとつの」や「平行あるいは並行しているようす」という意味をもつ英語の「パラレル」を使うようになりました。「もうひとつのオリンピック」という意味が、「パラリンピック」にはあるそうです。

 調べてみて、パラリンピックの名前の意味が分かって、よかったです。

  ゴールボール                 汁野 大隙(しるのだいすき)

 わたしは、パラリンピックにしかない「ゴールボール」について調べました。「ポッチャ」以外に何があるか知りたかったからです。

 「ゴールボール」は、目が見えない人も参加できるように考えられたきょうぎです。ぜんいんが同じように、目が見えなくするために「アイシェード」という目かくしをつけます。3人ずつコートに入ります。すずの入っているボールを転がすようにして投げます。ゴールにボールが入れば、とく点になります。

 せん手は、ボールの出す音や相手のせん手の動くときの音だけをたよりにしてきょうぎをしています。ですから、たとえば、わざと音を立てたり、ボールの音がしないように投げたりします。見ている人もしずかにするひつようがあります。せん手は、ねころがるように、体をひろげて、ボールをとって、ゴールをまもります。

 調べてみて、パラリンピックには、いろいろなきょうぎがあることがわかりました。

いかがでしょうか。

 このぐらい書けていれば、3年生としては、十分だと思います。

パラリンピックが目指すもの」に出てきた、大切な言葉には、強調の「」(かぎ)を使ってみたり、「たとえば」という言葉を使ったりして、書いてみました。

 東京書籍の3年生の教科書には、「てびき」に「調べたことをまとめて、リーフレットを作る」という方法で学習をすすめる計画になっています。

 教科書にあるように、リーフレットにまとめて、学級全体で「パラリンピック もの知り事典」を作るのもいい方法だと思います。

 文集にまとめる方法もあるでしょうし、新聞形式にして掲示版に掲示するという方法もあると思います。

 子どもが読みやすいように、漢字に読みがなをつけた作文例を、次のページに載せています。

パラリンピックに進む姉妹ブログ・よみもの

ゴールボール Goalballに進む姉妹ブログ・よみもの

車いすバスケットボール Wheelchair Basketballに進む姉妹ブログ・よみもの

作文の苦手な子どもへの支援

🟠作文の苦手な子どもへの支援

 ていねいに指導を積み重ねても、作文の苦手な子どもは、学級に一定数います。

 そこで、ワークシートなどを作成するなど、具体的な支援をする必要があります。

 パラリンピックの競技には、「パラリンピックが目指すもの」という説明文に出てくる水泳や卓球のようにルールの一部を工夫してしょうがいのある人が参加できるようにしているA群の競技と、ポッチャやゴールボールのようにパラリンピックにしかないB群の競技の2種類の競技があります。

 そこで、調べ学習の時から、自分は、A群の競技か、B群の競技のどちらを調べたいか考えさせます。

 そして、それぞれ次のようなワークシートを用意し、図鑑や本を読みながら、空欄を埋めつつ、調べ学習を進めていきます。

🟠ワークシートの例

A群のワークシートの例

 わたしは、A1(   )を調べて書きます。

 A1(    )は、水泳のように、ルールの一部を工夫して、しょうがいのある人が参加できるようにしているきょうぎです。

 A1(    )は、A2(      )しょうがいのある人が、参加するきょうぎです。

 ルールを工夫しているのは、たとえば、A3(     )です。

 調べて、A4(       )と思いました。

B群のワークシートの例

 わたしは、B1(   )を調べて書きます。

 B1(    )は、ポッチャのように、パラリンピックにしかないきょうぎです。

 B1(    )は、B2(      )しょうがいのある人が、参加するきょうぎです。

 B1(    )のルールは、B3(      )です。

 調べて、B4(      )と思いました。

 このようなワークシートを、まとめるていくだけで、作文の元ができあがります。

🟠ワークシートの記載例

 たとえば、次のようになります。

⭐️⭐️

 わたしは、B1ゴールボール)を調べて書きます。

 B1ゴールボール)は、ポッチャのように、パラリンピックにしかないきょうぎです。

 B1ゴールボール)は、B2目が見えなかったり、見えにくかったりする)しょうがいがある人が、参加するきょうぎです。

 B1ゴールボール)のルールは、B3ぜんいんが同じように、目が見えなくするために「アイシェード」という目かくしをつけます。3人ずつコートに入ります。すずの入っているボールを転がすようにして投げます。ゴールにボールが入れば、とく点になります。

 調べて、B4ゴールボールは、目の見えない人が活躍できるスポーツだ)と思いました。

⭐️⭐️

 ワークシートができると、作文はほぼ完成です。

 段落の初めを1ます下げることや、文末を敬体にそろえることなどの、作文を書く際の注意点を確認してから、原稿用紙を配り、書く時間をもつと、作文が仕上がります。

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