物語文の教材研究の仕方(2)視点(題名)

指導方法
つばさ
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教材研究をする時には、何が大切ですか?

 前回は、子どもと同じ目線で、教材を読むことの大切さを書きました。

 子どもと同じ目線で読むことは大切なのですが、それだけでは指導できません。

 指導するためには、客観的に分析的に読むこと必要です。

 今回は、分析的に読むために「視点を決めて、教材研究をする」ことについて書きます。

視点を決めて、教材研究をする

 まず、最初に、10この視点を紹介します。

①題名を読む。(題名に隠された意味をさぐる)
②設定を読む。(いつ、どこで、だれがどうしたかを読む。)
③人物を読む。(登場人物はだれか、中心人物はだれかなどを読む)
④あらすじを読む。(どのような事件やエピソードが起こるのかを見ていく。)
⑤場面に分ける。(いくつの場面に分かれるか考える。)
⑥会話文を読む。(会話文の中に登場人物の人柄、思いなどが隠れていることがある。)
⑦人物の行動を読む。(行動から登場人物の心の動きや気持ちがわかることが多い。)
⑧主題を読む。(その作品で、筆者は何が一番言いたいのかを考える)
⑨筆者の表現の工夫を読む。(どのような書き方の工夫があるか考える。)
⑩指導計画を考える。(分析したことをもとに、どのような学習をしていくか考える。)

 以上、とりあえず10この視点をあげました。

 教材分析は上にあげた10こと決まっているわけではありません。あくまで、私が考える視点です。

 教育書などを読んだり、教材研究などを続けたりすることで、若手の教員の人たちが、自分なりの教材を見る視点をもつことができるようになると嬉しいな、と思います。

題名を読む

 題名には、いろいろなつけ方があります。

ごんぎつね」や「大造じいさんとがん」のように登場人物の名前がそのまま題名になっているものもあれば、「注文の多い料理店」のように2つの意味がかくされているような題名もあります。

 教科書にある教材文は、学習のために読むことが決まっています。

 しかし、日々の読書は違います。

 愉しみのために私たちが本を読む場合、物語を読もうとするかどうかは、多くの場合、「どのような題名がついているか」を見て、決めることが多いのはないでしょうか? 

 題名を見て、読むことをやめたり、面白そうだな、読んでみたいな、と思ったりすることが多いと思います。

 そう考えると、作者は、かなりよく考えて題名を決めていると思われます。

 題名だけを見て、どのような物語かを予想することで、読む活動は、始まっているといえます。

 どういう意図で、その題名にしたのかを考えることは、大切な教材研究の一つです。

 そして、授業の際には、そのまま、「この題を見て、どんな内容か予想してみましょう。」という発問(学習課題)になると思います。

 私自身、通勤電車の中で、新聞を読んでいる時に、本の広告欄に「阪急電車」という題名を見て、読んでみたいなと思いました。

 その場でその本を買うことを決め、勤務帰りに買って帰りました。(映画化される随分前のお話です。映画もとても面白いですが、物語もたいへん面白いです。)

 題名を見て、誰もが同じ反応をするわけではありません。

 というより、読者によりその反応は様々です。それぞれの子どもがどのような反応をするのか考えることも立派な教材研究といえます。

注文の多い料理店」や「世界一美しいぼくの村」などは、作品を読んだ後に、題名の意味を再確認する活動をすることも意味があると思います。

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 他の視点や他の教材研究の仕方については、次のページを読んでください。

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)人物の会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題を読む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)伏線と落ち、情景描写と色に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに戻る内部リンク

 なお、この教材研究の仕方を使って行った教材分析があります。

 光村図書4年「初雪のふる日」の教材分析は次のページにあります。

初雪のふる日 教材分析①に進む内部リンク

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