物語文の主題について知りたいです。
国語科の教材研究の仕方の続きです。今回は、主題についてです。
主題を読む
物語を書く人は、読み手に何かを伝えたくて作品を書きます。
「人や動物などに優しくするとよいことが訪れますよ。だから優しくしましょう。」
「熱心に働きましょう。いいかげんなことをすると自分のためによくありません。」
「うそはいけません。正直に生きましょう。」など人の生き方を諭すような主題もあるでしょう。
また、「心のすれ違いの悲しさ」「友情を信じることの喜び」「親の愛情の深さ」など人の喜怒哀楽に訴えかけてくる主題もあるでしょう。
読み終わった後、ほのぼのとした気持ちにさせてくれる作品もあるでしょうし、「二度と戦争をしてはいけないな。」と戦争に対する強い憤りを沸き立たせてくれるような作品もあるでしょう。
物語を読んで、この作品は、何を伝えたいと思っているのか考えることは大切なことです。
ただ、考えておかなくてはいけないことは、読む人が同じような感動を受けたり、この作品の主題は○○だと、同じように感じたりするわけではないということです。
同じ作品を読んでも、ある人は主人公のつぶやいた言葉に感動を覚えるかもしれませんし、ある人は物語の終わり方によさを感じるかもしれません。
指導者である私たち教師が同じ作品を読んでも、その作品の主題を文に表すと、似ていることもあるでしょうが、違う内容になることもたくさんあると思います。
指導者が、自分なりに、作品の主題を考えることは大切なことです。
ただ、授業を通して、自分の感じたことと同じことを子どもが感じなければいけないと思う必要はありませんし、それを押し付けることはしてはいけないことです。
一読者として、「先生は、こう思った」という感想を話すことはよいことだと思います。
しかし、「この作品が伝えたかったのはこういうことです。」と決め付け、押し付けるのは厳に慎みたいことです。
時には、指導書を読んで、指導書に主題は○○と書いてあったから、それを教える必要があると考えることは、子どもにとって迷惑以外のなにものでもありません。
作品を読んで自分が感じたことでなく、指導書などの他者の考えを読んでそれを教えようとしているわけですからうまくいく筈がありません。
主題を話題にしようとする場合、考えておく必要があることに、作品を丸ごと読む必要があるということです。
国語の毎時間の学習では、1時間に扱える手ごろな長さということで、場面に分けて、作品の一部を話題にすることが多いです。
「第2場面において主人公が○○という行動をしたのは、~という理由からだった」というように、行動の理由や会話に隠された意味などを考えることが多いと思います。
主題を考えるためには、設定やあらすじなどをきちんとおさえておくということが必要です。
主題を考える際には、10~30字程度の短い文にまとめることも多いと思います。
おすすめの方法として、漢字一文字や二文字で表してみるというのも面白いと思います。
低・中学年ではむずかしいでしょうが、例えば、「大造じいさんとがん」を「戦」「頭」「誇」「情」など一つの漢字で表したり、「責任」「勇気」「高貴」など二文字の熟語で表したりします。
そして、「なぜそう思うのか」話し合わせてみると、高学年の場合、かなり深い話し合いにあることもあります。
全ての要素を切り取って短く言い切ることで、主題を考えることもできると思います。
また、主人公が考え方や生き方を大きく変化させる「クライマックス」はどこかを考え、主人公が考え方や生き方を大きく変化させた理由を考えることで、主題にせまる方法もあると思います。
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物語文の教材研究については、次のページもお読みください。
物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む(内部リンク)
実際の教材の教材分析については、次のページをお読みください。
初雪のふる日 教材分析001に進む(内部リンク)
世界一美しいぼくの村 教材分析002に進む(内部リンク)
世界でいちばんやかましい音 教材分析003に進む(内部リンク)
かさこじぞう 教材分析007に進む(内部リンク)
大造じいさんとガン 教材分析009に進む(内部リンク)
スーホの白い馬 教材分析012に進む(内部リンク)
おにたのぼうし 教材分析018に進む(内部リンク)
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