物語を書く指導(1) 指導のポイント

指導方法
つばさ
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物語を書く指導について知りたいです。

 小学校の国語の学習には、物語を書く学習があります。

 今回は、「物語を書く指導(1):指導のポイント」について書きます。

物語を書く指導(1):指導のポイント

🟠小学校学習指導要領では

 小学校学習指導要領には、低学年の国語の「書くこと」の言語活動例として、次のような記載があります。

 簡単な物語をつくるなど,感じたことや想像したことを書く活動

小学校学習指導要領 国語


 また、中学年の国語の「書くことの」言語活動例として、次のように書かれています。

 詩や物語をつくるなど,感じたことや想像したことを書く活動

小学校学習指導要領 国語


 ここ数回の小学校学習指導要領では、「物語を書く」学習を行うことになっています。しかし、明確な指導法は、まだまだ確立していないように思います。

 今回から数回にわたり、そのような物語を書く指導について書きます。

🟠出来事が3回繰り返されるお話を書こう

 作文を書くときのよい方法の1つとして、物語文や説明文を真似て書くという方法があります。

 今回からしばらく、あまんきみこさんの「名前を見てちょうだい」という作品を参考にして「出来事が3回繰り返絵されるお話を書こう」という単元名で行った授業実践について書きます。

 できた作品の1つは、「よみもの」に掲載している「みくのふしぎなピアノ」という作品です。

「みくのふしぎなピアノ」に進む私の作成している子ども用のブログ

🟠名前を見てちょうだいの教材分析

 あまんきみこさんの「名前を見てちょうだい」という作品は、物語によくある出来事が3回繰り返されるお話です。

 現在、東京書籍の2年生の教科書に掲載されています。

 このお話に似た作品には、「桃太郎」や「3匹のこぶた」などがあります。

桃太郎」では、犬、猿、雉が桃太郎にきび団子をもらおうと桃太郎に話しかけ、きび団子をもらい、その代わりに家来になります。この間に、桃太郎と犬や猿や雉との間に交わされる会話はまったく同じです。

3匹のこぶた」では、おおかみがこぶたを食べようと、藁の家、木の家、煉瓦の家という順に家を壊そうとしていきます。この間に、おおかみとこぶたの間に交わされる会話もほとんど同じです。

 しかし、「桃太郎」では、まったく同じ会話が3回繰り返されますが、「3匹のこぶた」では、末っ子のこぶたの際に、変化が見られます。末っ子のこぶたの作った煉瓦の家を壊すことができなくて、おおかみは、煙突から家に入ろうとして、暖炉に火を焚かれ、逃げて帰ることになります。

名前を見てちょうだい」は、どちらかといえば、「3匹のこぶた」に似た構成の作品です。

 お母さんに赤いすてきなぼうしをもらったえっちゃんは、刺繍された名前を見て喜びます。遊びに出かけようとすると、強い風が吹いてきて、ぼうしが飛んでいってしまいます。野原に走っていくと、きつねがぼうしをかぶり、自分のものだと言い張ります。「名前を見てちょだい」と聞くと、ぼうしにきつねの名前がついています。へんねえ、と思っていると、再び強い風が吹いてきて、今度は、こがね色の畑へとぼうしが飛んでいきます。そこには、牛がいて、同じような状況におちいります。またまた強い風が吹いてきて、七色の林へとぼうしが飛んでいきます。そこには、大男がいて、今度はぼうしを食べてしまいます。逃げ出すきつねや牛と違い、えっちゃんは、大男に毅然と立ち向かい「あたしのぼうしをかえしなさい」と怒鳴り、取り戻します。

 この作品には次のような特徴があります。

① 同じような会話や表現が繰り返し出てきます。

② 強い風が吹き、ぼうしが飛ばされることで、場面が変わります。

③ 腹を立てたえっちゃんの体が大きくなるなど、ファンタジー溢れる作品です。

🟠似た作風のあまんきみこさんの作品

 あまんきみこさんは、この手の作品がお好きと見えて、1980年、ポプラ社発行の「名まえをみてちょうだい」という作品集にも、よく似た出来事が3回繰り返される作品をたくさん執筆されています。

はやすぎる はやすぎる」では、昼にえがいた人魚たちが、夜中に夢の中に出てきて、まどの向こうの海に出て行こうとします。しかし、窓が閉まっていて出られません。えっちゃんは、かけぶとんが石のように重くて起きられません。次の日も同じような出来事が繰り返されます。3日目は前もって窓を開けてから寝ることにします。今度は、眠る前に人魚たちがあらわます。「はやすぎる。まだねむっていないよ」と言うエッちゃんに、人魚たちは、「今度は。私たちと遊びましょう」と言い、月が沈むまで遊ぶことになります。

スキップ スキップ」では、スキップを覚えたえっちゃんが、とぼとぼ歩いてくるこねこのミュウや、こいぬのクロスケ、ないているばらぐみのじろちゃんなどを「うれしいことがあるから、スキップするんじゃなくて、スキップするからうれしくなるんだよ」と話しかけ、順に元気づけていきます。

「みくのふしぎなピアノ」の挿絵(作:わだてるこ)

🟠単元の構成

 今回の学習では、この「名前を見てちょうだいという物語の構成を真似て、よく似た出来事を3回繰り返すお話を書くことにします。

 読解の場面では、場面を5つに分け、場面の切れ目や場面の会話の中でよく似た表現がたくさん出てくることに気づかせます

 合わせて、あまんきみこさんの「はやすぎる はやすぎる」や「スキップ スキップ」をなどの他の作品などを読み聞かせることで、物語の楽しさを味合わせたり、自分の書く物語の参考にさせたりしようと考えていました。

 物語を書く場面では、最初に指導者が作成した作品やその作り方を示してから、構成を考えさせていきます

 子どもたちは、指導者の作品も例にしながら、同じ表現が繰り返し出てくる物語を書くことで、自然と長い量の作品を書くことになります。

「楽しい作文を書いてみたい、長い文章を書いてみたい」という低学年の子どもの欲求を満たす学習が比較的容易にできます。また、長い文章が書けたことで、作文に対する自信が生まれてくると思います。

物語を書く指導(2) 単元目標と指導計画に進む内部リンク

物語を書く指導(3) 指導の工夫①に進む内部リンク

物語を書く指導(4) 指導の工夫②に進む内部リンク

物語を書く指導(5) 指導の工夫③に進む内部リンク

物語を書く指導(6) 指導の工夫④に進む内部リンク

物語を書く指導(7)  みくのふしぎなピアノ(全文)に進む内部リンク

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