問題解決学習のめざすもの

指導方法
つばさ
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問題解決学習を行うと何がいいのですか?

 指導法に「問題解決学習」という方法があります。

 この方法のよさはなんでしょうか。

 今回は、「問題解決学習のめざすもの」について書きます。

問題解決学習のめざすもの

🟠問題解決学習のめざすもの

<世の中にあるさまざまな問題>

 小学校の授業で教師が問う発問には多くの場合、明確な答えがあります。

 平行四辺形の面積を問う発問に対しては、底辺×高さという公式に当てはめると答えが出ます。

 私たちが生きている世の中にもさまざまな問題があります。

 しかし、これらの問題に対して、明確な答えがすぐに出ることはあまりありません。

 例えば、次のような問題があります。

① 地球の温暖化が進んでいるとされています。温暖化をどう食い止めばいいのでしょうか。

② 安倍元首相が暗殺され、宗教と政治の問題が大きな話題になっています。どのようにすれば多くの人が納得する解決になるのでしょうか。

③ コロナウイルスが流行しています。でも、経済活動を進めることも大切です。どのようにして、病気に気をつけながら、経済活動を活発にすればいいのでしょうか。

④ 円安が進んでいます。その結果、貿易赤字も膨らんでいます。物価の上昇もなかなかおさまりません。どうすれば、円安や物価の上昇をおさえることができるのでしょうか。

⑤ ロシアとウクライナの戦争がとても長引いています。どうすれば、戦争を終わらせることができるのでしょうか。

 とても残念なことに、これらの問題には、すぐに答えを見つけることができません。

 世の中にある問題は、授業のように1時間考えるだけでは、答えを導き出すことができないことがとても多いです。

 しかし、これらの問題をそのままほっておくのではなく、どうすれば解決できるのかをしっかりと考え、具体的な対応策をとる必要があります。

 私たちの身の回りにある問題は、このような大きな問題だけではありません。

 子どもたちだけでなく、わたしたち大人でも日々たくさんの問題に出合います

 知り合いの人とうまく人間関係が結べないということがあるかもしれません。

 なぜか知り合いが意地悪をしてくる、いじめに遭うということがあるかもしれません。

 反対に、自分の方が相手に嫌がらせをしてしまうということがあるかもしれません。

 このような問題も解決しないと、毎日を楽しく過ごすことができなくなります。

 このような問題を解決するような思考法を身につけるのが、問題解決学習のめざすものの1つだと言えます。

<問題解決の方法>

 では、問題解決するためにはどうすればいいのでしょうか。

 次のような順番に行うことが基本かもしれません。

問題解決の方法

① 何が問題か考える。

② その問題の原因をしっかりつかむ。

③ 問題を解決するための仮説をいろいろと考える。

④ いろいろと考えて、自分なりの解決策を工夫する。

⑤ 他の人とも相談し、よりよい解決策を考える。

⑥ 解決策を実行し、問題が解決するか確かめる。

⑦ 一連の問題解決を振り返る。

 ここで、大切なのは、①の「何が問題か考える」ことです。

 小学校の授業では、教員がいろいろと工夫して、子ども自身がさも思いついたように問題を与えるようにしますが、本来は、自分の身の回りにある問題に気づくことができるかどうかはとても大切なことです。

 ここでは、新任教員の学級での出来事をもとに少し考えてみます。

 問題としては、「授業中の私語がなかなか少なくならない」ということにしてみます。

 では、先ほど示した「問題解決の方法」をもとに考えてみます。

① 授業中の私語が多いと、教師として授業がやりにくいですし、子どもの学力も高まりません。困ったことです。

② 原因は何でしょうか。大きな原因は2つあります。1つは教師側、もう1つは子ども側です。

 教師側としては、A教師の授業がわかりにくい、B教師の声が小さい、C授業のテンポが悪いなどがあります。もっと別の原因があるかもしれません。

 子ども側としては、D学習習慣が身についていない、E授業がわかりにくい、F先生に反発しているなどが考えられます。もっと違う原因があるかもしれません。

③ 問題を解決するための解決策を考える必要があります。

 この時に教師側に立って考える際に大切なのは、「自分の行動と未来」を変えることはすぐにできますが、「相手の行動と過去」を変えることはできません。子どもの私語という行動を変えるためには、教師が自分の行動を変えることで、子どもの行動が少しずつ変容することを期待するだけです。

 ここでは、私語ができないように、子どもが具体的に活動する(音読する、書く、質問し答えさせるなどの)時間を増やすという方法を取ることにしてみます

④(以下、同様に進めていくと、・・・・・・。)

 このように、教師自身も学級経営のさまざまな場面にある問題を見つけ、問題解決方法を工夫する中で、少しずつ問題が解決し、指導力があがるかもしれません。

 問題は、すぐに解決しないかもしれません。

 しかし、問題解決学習的な思考法は、教師自身ももつことが大切ですし、子どもにも徐々に身につけさせることが大切だと思います。

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