発言を活発にするには、どうすればいいのでしょうか?
子どもが次々に発言をする学級は、活気があり、見ていても気持ちいいものです。
そのようなクラスを作るためには、どうすればいいのでしょうか。
ここでは、「発言の機会を増やす」ことについて書きます。
発言の機会を増やす
🟠一部の子どもだけが発言をする傾向
教員の発問に対し、子どもが次から次へと手を挙げ、はきはきと発言しているクラスを見ると嬉しくなります。
ただ、手放しで喜べないことがあります。
それは、発言が偏り、活発な一部の子どもが発言するだけで、多くの子どもが沈黙していることがあるからです。
本当に鍛えられているクラスは、ほぼ全ての子どもが発言をします。
ほとんど発言をしないクラスから見れば、一部の子どもだけでも、発言をする子どもがいるだけましなのかもしれません。
では、全員を発言させるようにするにはどうすればいいのでしょうか。
それを今回は考えたいと思います。
🟠発言に関するルールを問い直す
学校の教室という場面で、子どもも教員も陥っているおかしなルールに、「最初に発言したものが偉い」ということと「同じ内容の発言をしてはいけない」ということがあります。
そのため、元気な子どもは「はい、はい」と大きな声であててくれ、とアピールし、当たると、嬉しそうに発言します。
もし当たらないと、悔しそうに、舌打ちをしたり、すねたりする子どももいます。
あ〜あと、残念そうに手を下ろします。
教室に、20人も30人もいて、毎回一番に指名されるなんてことはありません。
でも、教員の多くは、折角意欲的に手を挙げているからと、よく手を挙げている子どもたちを指名します。
発言力のある子は、たくさん当たることでますます発表ができる子どもになり、指名されない子どもはほっておかれることで、発言の力は育たないままです。
🟠同じことを発言してよいルールにする
漢字の宿題をしてこないと多くの先生は叱ります。そこには自主性などありません。強制だけです。
覚えるためには、地道に「ノートに書く」という活動を繰り返す必要があります。
発言力を鍛えるためには、同じような強制が必要です。練習が必要です。
話す機会を全ての子どもに用意する必要があります。
そのためには、同じことを発言してもよいというルールを確認する必要があります。
漢字の学習では、みんな同じことを練習します。漢字ドリルにある言葉を写すのならば、全員が同じ言葉を写します。
辞書を使って他の言葉を調べて書いてもよいという約束をしているクラスもあるでしょうが、基本は全員が同じ言葉を写します。
発言でも同じことをしてよいことにします。
他の子どもと違う内容の発言を求めるのではなく、同じ発言でもよいことにします。
同じことをたくさん聞けば、聞いている子どもはそれだけたくさんみんなが発言するのだから大切だと理解し、覚えるようにもなるでしょう。
毎年、多くの学校で、新しい放送委員が、朝の時間や昼の時間、下校の時間などに放送をしています。
最初から上手な子どもいますが、多くの子どもは、うまく放送できません。まだまだ拙い子どももたくさんいます。でも、半年も繰り返していると、徐々に上手になります。3学期になると、どの子どもも本当に上手になります。放送という本番を繰り返すことで、本当に上手に放送できるようになっていきます。
学級でもぜひ全ての子どもに発言の機会を与えてほしいと思います。
特に1学期は、全ての子どもに順番に発言の機会を与え、発言をすることは、たいへんなことではなく、誰もが簡単にでき、誰もがしなければないないことだと理解させてほしいと思います。
🟠優れた若い教員の実践例
ある学校で、若い教員の授業を参観したことがあります。
指名の仕方でとても工夫しているなと思ったことがあります。
その教員は、1つの発問の後、3人の子どもを一度に指名していました。
1人めの子どもが自分の考えを発表した後、続けて、2人めの子ども、3人めの子どもが、発言をしていました。
学級では、この発言方法が、ルールになっているみたいで、同じ意見を言う子どももいれば、少し違う意見を言う子どももいました。
初めは手を挙げていなかった子どもも、2人め、3人めになると、1人めに発言した子どもの意見を聞いて、真似できるためか、徐々に手をあげる子が増えていました。
1つの発問に対する意見を続けて3回聞くことで、子どもの理解も増しているように思いました。
人数の多いクラスでしたが、発表したいという1年生の子どもの気持ちを上手に掴んで、みんなに発表させる工夫をしているなと思いました。
指名するテンポもよく、発表の後の褒め言葉も短く上手でした。
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