聞く時の構え 話すこと・聞くこと(9)

指導方法
つばさ
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聞く時の構えをもたせることは大切ですね。

 話を上手に聞く子どもとあまり上手でない子どもがいます。

 今回は、「聞く時の構え」について書きます。

聞く時の構え

🟠聞く時の構え

<聞くことを大切にする>

 小学校の学習場面では、子どもは多くの時間、担任や友だちの話を聞きます。

 上手に聞くことができるかどうかは、子どもが学力を定着させるためにもとても大切なことです。

 そこで、多くの学校や学級では、子どもに聞く時の構えをもたせたり、掲示物を作ったりすることで少しでも聞く力を育てようとします。

 日本語の聞くを英訳すると、2つの言葉が出てきます。

hear」と「listen」です。この2つの言葉の違いを調べてみると、次のような違いがあります。

hear」 ・・・自然と物音が耳に入ってきたり、たまたま音が聞こえたりする時使います。

listen」・・・意識して聞いたり、集中してじっと聞いたりする時に使います。

 子どもたちに育てたい「聞く力」とは、当然、後者の「listen」の方の聞く力です。

 とはいえ、子どもに聞く力を身につけさせることには時間がかかるというのも事実です。

 優れた教師は、このような時に、たくさんことを指示しないで、少しずつ絞って指導をしていきます。

 一番最初にするとよいことが、「体を使って聞く力を育てること」です。

 簡単にいうと、聞き手には、話す人の方を見るようにさせることです。

 担任の教員は、前に立っていますから、当然のように思われますが、多くの子どもは、教員を見ていないことも多いです。筆箱から何か取り出して触っていることもありますし、指遊びをしていることもあります。教科書やノートに何か落書きをしている子どももいます。

 若い教員や経験の浅い教員の場合は、この子どもの動きを見逃してしまいます。

 そのような時には、子どもに「話し手」の方を向かせるようにすると良いと思います。

 友だちの発言の際には、体ごと発言する子どもの方に向くようにするのです。

 簡単なようで、学級の子どもがこの行動を自然とできるようにするためには、少し時間がかかります。

 子どもに何かを習慣化させるためには、子ども以上に教員の地道な努力が必要です。

話をする人の方を見ましょう。手には何ももたないように、授業に関係のないものは筆箱の中や机の引き出しの中にしまいます。」ということをきちんと伝えます。

 そして、できている子どもは積極的に「○○さんは、発言する人の顔(や目)を(きちんと、いつも)見ていますね。」とほめるようにします。

 子どものよい態度が定着する前に、教員の方が伝えたり、ほめたりするのを忘れてしまい、定着しないままで、授業を続けることになることの方が多いように思います。

 たくさんのことを身につけさせようとするのではなく、まずは、「話し手の方を向く」という態度を育てると良いと思います。

<聞くこと>

 現行の小学校学習指導要領には、「話すこと・聞くこと」の指導事項が明記されています。ここでは、「聞くこと」に関することに絞り引用します。

 それぞれ、順に、低・中・高学年の指導事項です。

エ 話し手が知らせたいことや自分が聞きたいことを落とさないように集中して聞き,話の内容を捉えて感想をもつこと。

エ 必要なことを記録したり質問したりしながら聞き,話し手が伝えたいことや自分が聞きたいことの中心を捉え,自分の考えをもつこと。

エ 話し手の目的や自分が聞こうとする意図に応じて,話の内容を捉え,話し手の考えと比較しながら,自分の考えをまとめること。

小学校学習指導要領

 その中でも特に、低学年の指導事項について解説している部分を引用します。

エ 話し手が知らせたいことや自分が聞きたいことを落とさないように集中して聞き,話の内容を捉えて感想をもつこと。

 集中して話を聞き,話の内容を捉えて感想をもつことを示している。第1学年及び第2学年においては,話し手が知らせたいことや自分が聞きたいことを落とさないように集中して聞くことに重点を置いている。

 話し手が知らせたいことを落とさないように集中して聞くとは,話し手が自分に知らせたいことは何か考えながら聞くことである。そのためには,事柄の順序を意識しながら聞き,話の内容を把握することが大切である。  

 また,自分が聞きたいことを落とさないように集中して聞くとは,自分にとって大事なことや知りたいことを落とさずに聞くことである。そのためには,自分の聞きたいことを明確にして話を聞くことが大切である。

 話の内容を捉えて感想をもつことについては,話の内容に対して,自分が興味をもったところや感心したところなどを伝えることから始めて,徐々に自分の体験と結び付けるなどして感想が言えるようにしていくことが大切である。

小学校学習指導要領 国語科 解説

 どの事柄を読んでもなるほどと思えることです。

 しかし、この事柄をそのまま子どもに伝えても、子どもにとっては少し難しいかもしれません。

 そこで、多くの学校や学級では、簡単な言葉を使って「聞く時の構え」をもたせることがあります。

<聞く時の構え>

 学校の授業において、子どもは多くの時間、教員や友だちの話を聞きます。どのように聞くことができるか、ということは子どもが授業内容を理解する上でもとても大きいことです。

 少しでも子どもに聞く力を育てたいと思う教員は、聞く時のルールを決めていることがあります。

 ネットを調べてみるといくつかの学校や教育委員会のホームページなどに、「聞くこと」に関するルールが出ていました。

 子どもにたくさんのことを言ってもすぐに忘れるので、標語のようにしたり、折句にしたりするとよいでしょう。

 折句というのは、「あいうえお作文」という方がわかりやいかもしれません。

 折句とは、ある言葉を使って、それを頭文字にして簡単な文を作ることです。

言葉遊び(1)折句 遊び④に進む内部リンク

 聞く時の構え聞く時のルール)として、ネットに載っていた2つのルールを紹介します。

 1つめは、北海道釧路市立立桜が丘小学校の学校だよりに載っていました。

【聞くときの約束事】

~相手の目を見て、

~いい姿勢で、

~頷きながら、

~笑顔 で、

~終わりまで、

 子ども達が意識できるように廊下や教室の見えるところに掲示したり、教師が促したりすることを続けています。 

桜が丘小学校の学校だより 平成31年4月26日発行 No2

北海道釧路市立立桜が丘小学校の学校だよりに進む外部リンク

 2つは、「愛知県春日井市教育研究所」のホームページに載っていたものです。

ききかた名人 あいうえお(低学年)

いてにからだをむけて

っしょうけんめい

なずいて

がおで さいごまで

やっとおもえば しつもんを

発達段階に応じた学習スキルの掲示物

愛知県春日井市教育研究所のホームページ資料に進む内部リンク

 2つのルールは、少し似ていますが、少し違います。自分なりのルールを決めるといいと思います。

 少しずつよい学習習慣を育てるのが大切だと思います。

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 なお、あわせて、話すこと・聞くことに関する次のページもお読みください。

話すこと・聞くことの指導(1)何をめざすのかに進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(2)道順をどう話すかに進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(3)話すことに慣れるに進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(4)発言の機会を増やすに進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(5)朝の会の司会に進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(6)ショウアンドテルに進む内部リンク

話すこと・聞くことの指導(7)本の紹介に進む内部リンク

話す指導で思うこと 話すこと・聞くことの指導(8)に進む内部リンク

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