風のゆうびんやさん 教材分析038

教材分析
つばさ
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風のゆうびんやさん」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、2年生の教科書に載っている「風のゆうびんやさん」の教材分析をします。 

風のゆうびんやさん:教材分析

🟠風のゆうびんやさん:教材分析

 この作品は、東京書籍の2年生の教科書に載っています。  

<作者>

 竹下文子(たけした・ふみこ)さん作

 土田義晴 (つちだ・よしはる)さん絵

 出典:「風のゆうびんやさん(あかね書房・2001年年刊)

 竹下文子さんについて

 1957年(昭和32年)生まれです。日本の児童文学者です。

 福岡県生まれです。東京学芸大学教育学部卒業です。大学に在学中から、物語の執筆をしていました。

 1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞しました。1979年には「星とトランペット」(講談社)で第17回野間児童文芸奨励作品賞を受賞しました。その他、たくさんの賞を受賞しています。

 主な作品に「ねえだっこして」(金の星社・2004年)、「がんばれ!パトカー」(偕成社 2007年)、「ひらけ! なんきんまめ」(小峰書店・2012年)などがあります。

<題名>

 題名は「風のゆうびんやさん」です。

 題名どおり、風が郵便屋さんをしているということがわかりますが、風がどのように郵便を配達するのか、とても興味がわく題名です。

<設定>

 いつ(時):(明確に書かれていないが、春)

 どこ(場所):せまいみちやさかみちなど。

 だれ(登場人物):風。

<人物>

 ……主人公。ゆうびんやさんをしている。

 あげはちょう……公園のバラの花がさいた手紙をもらう。

 おじいさん犬……となり町のまごから手紙をもらう。

 すずめの親子……学校のはじまるおしらせをもらう。

 くも……すでおひるね中。

<あらすじ>

・風のゆうびんやさんは、風のじてん車にのってやってくる。かばんの中は手紙でいっぱい。

・せまいみちでも、さかみちでもすいすいはしる。

・あげはちょうには、こうえんのばらの花がさいた手紙をとどける。

・「あら、うれしい。ぜひ、行かなくっちゃ。」と、したくをはじめる。

・おじいさん犬には、となり町のまごたちの手紙をとどける。

・「みんな元気にくらしています、か。よかった、よかった。」と、なんども読みなおす。

・すずめには、すずめの学校がはじまるおしらせをとどける。

・「えさのさがしかたとか、いろんなことをならうのよ。」

・「うわあ、おもしろそう。早く行きたいな。」と、とびまわる。

・くもにも手紙をとどけるが、おひるね中なので、すのはしっこにおいておく。

・はいたつする手紙はまだたくさんあり、風のゆうびんやさんは元気よく走っていく。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を6つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

①  風のゆうびんやさんは、風のじてん車にのって、いろいろなところに手紙をとどける。

②  あげはちょうには、こうえんのばらの花がさいた手紙をとどける。

③  おじいさん犬には、となり町のまごたちの手紙をとどける。

④  すずめには、すずめの学校がはじまるおしらせをとどける。

⑤  くもにも手紙をとどけるが、おひるね中なので、すのはしにおいておく。

⑥  はいたつする手紙はまだたくさんあり、風のゆうびんやさんは元気よく走っていく。

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<人物の会話>

 この物語で、会話をするのは、手紙をもらった人物です。みんな手紙をもらってうれしそうです。

・あげはちょうは、次のように話します。

あら、うれしい。パーティーのしょうだいじょうですって。こうえんで、ばらの花がさいたんですって。ぜひ、行かなくちゃ。

・おじいさん犬は、次のように話します。

ほう、となり町にひっこしていった、まごたちからだ。みんな元気にくらしています、か。うん、よかった、よかった。

・すずめの親子は次のように話します。

すずめの学校がはじまるおしらせよ。

学校って、なあに。なにするところなの。

みんなであそんだり、うたをうたったり、それから、上手なとびかたとか、えさのさがしかたとか、いろんなことをならうのよ。

わあ、おもしろそう。早く行きたいな。

<人物の行動>

 この物語のおもしろさの一つは、人間でない風や虫や動物が、まるで人間のように話したり、行動したりすることです。一般的には、このような表現を「擬人法」と言います。

 風の行動は、特にいきいきしています。次のようなものがあります。

風のゆうびんやさんは、風のじてん車にのってやってきます

リンリンとベルをならして、ひゅうっととおりすぎていきます

せまいみちでも、さかみちでも、ゆうびんやさんは、口ぶえをふきながら、すいすいはしります

 なお、私が子ども用に作っている「よみもの」で、「」について簡単な文を書いています。よければ、お読みください。

風 Windに進む外部リンク・よみもの

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 明確な季節は書かれていませんが、公園でばらのはながさいたところから、春だということがわかります。

 みんなが、風のとどけるたよりを、楽しんでいる、ということかもしれません。

 風は、どこにでも出かけます。そして、みんなを楽しませます。

<表現の工夫>

 この物語がいきいきしている理由の一つに、オノマトペの豊かさがあります。

 オノマトペとは、物事の様子や状態や動きなどを表した表現のことです。

 オノマトペは、物事の様子や状態を表す擬態語(ゆっくり、きらきらなど)と、音を言葉で表した擬音語(ピーポーピーポー、ガチャガチャなど)、動物や人物などの発する鳴き声や声などを表した擬声語(ワンワン、キャーなど)の3つの種類に分けられます。

 そのうち、様子を表す擬態語は、平仮名で表現し、擬音語や擬声語は、片仮名で表現します。その使い分けを子どもに伝え、音に関係していることは片仮名で、音に関係していないことは平仮名であることをていねいに教えて、定着させることも大切です。

 具体的には、次のようなものです。

リンリンとベルをならして、ひゆうっととおりすぎていきます

せまいみちでも、さかみちでも、ゆうびんやさんは、口ぶえをふきながら、すいすいはしります

おしゃれなあげはちょうは、いそいそとしたくをはじめます

子すずめたちは、みじかいはねをひろげて、おかあさんのまわりをぴょんぴょんとびまわります

リンリンじてん車のベルをならして、ゆうびんやさんは、みどりの木かげをくぐります

 なお、オノマトペについては、次のページに詳しく書いています。

オノマトペ:教育用語⑦に進む内部リンク

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️ ⭐️

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

世界一美しいぼくの村 教材分析002に進む内部リンク

スーホの白い馬 教材分析012に進む内部リンク

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スイミー 教材分析030に進む内部リンク

なまえつけてよ 教材分析032に進む内部リンク

きつつきの商売 教材分析033に進む内部リンク

ふきのとう 教材分析034に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 2年生の子どもが書いた物語

絵本  みくのふしぎなピアノに進む内部リンク

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