ふきのとう 教材分析034

教材分析
つばさ
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ふきのとう」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、2年生の教科書に載っているふきのとう」の教材分析をします。 

ふきのとう:教材分析

🟠ふきのとう:教材分析

 この作品は、光村図書の2年生の教科書に載っています。  

<作者>

 工藤直子(くどう・なおこ)さん作

 平岡瞳(ひらおか・ひとみ)さん絵

 出典:この教科書のために書き下ろしされています。

 工藤直子さんについて

 1935年(昭和10年)生まれです。日本の詩人、児童文学者です。

 台湾の嘉義(かぎ)生まれです。工藤さんが生まれた当時、台湾は、日本の植民地でした。

 お茶の水女子大学教育学部を卒業しました。その後、博報堂に入社して、女性初のコピーライターになりました。

 1983年「てつがくのライオン」で、日本児童文学者協会新人賞を受賞しました。

 2008年には、「のはらうた V」で野間児童文学文芸賞を受賞しました。

 多くの詩や物語が教科書に掲載されています。特に、「のはらうた」シリーズの(童話屋・1984-2008)詩集から、「おれはかまきり」「かたつむりのゆめ」などの詩がたくさん掲載されています。

<題名>

 題名は「ふきのとう」です。

 ふきのとうについて書かれたことがわかります。子どもにとってはあまりなじみのない植物や食べものかもしれません。

 なお、私が子ども向けに作っている「よみもの」というブログで、「ふきのとう」について簡単な文章を作っています。

ふきのとうに進むよみもの・外部リンク

<設定>

 いつ(時):よあけ(ふゆのおわり)

 どこ(場所):竹やぶ。

 だれ(登場人物):竹のはっぱ、雪、ふきのとう。

<人物>

 竹のはっぱ……「さむかったね」とささやく。

 ふきのとう……主人公。外に出ようと、雪をどけようとしている。

 雪……ふきのとうの上につもっている。

 竹やぶ……雪の上にいて、お日さまがあたらないようにしている。

 はるかぜ……ねぼうしている。

 お日さま……はるかぜをおこす。

 このお話では、太陽が風を呼んで起こしますが、風がなぜ吹くのかについて、私が子ども用に書いている「よみもの」で簡単に書いています。

風 Windに進む外部リンク・よみもの

<あらすじ>

・よがあけ、竹やぶで、竹のはっぱが「さむかったね。」とささやいている。

・雪がすこしのこり、あたりはしんとしている。

・どこかで、「よいしょ、よいしょ、おもたいな。そとが見たいな。」という声がする。

・竹やぶのそばのふきのとうが、雪をどけようと、ふんばっている。

・雪は「ごめんね。わたしも早くとけて水になってとおくへ行ってあそびたい。」と言う。

・竹やぶは「わたしたちもゆれて、おどりたい。ゆれると雪に日が当たる。」と言う。

・お日さまは「はるかぜがねぼうして、竹やぶも雪もふきのとうもこまっている。」とわらう。

・そこで、お日さまは、南をむいて「おうい、はるかぜ、おきなさい。」と言う。

・おこされたはるかぜは、「みんな、おまちどお。」とふうっといきをはいた。

・はるかぜにふかれて、竹やぶはゆれ、雪はとけ水になり、ふきのとうはふんばってせがのびる。

・ふきのとうはかおを出し「こんにちは。」もうすっかりはるだ。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

①  よがあけ、竹やぶで、竹のはっぱが「さむかったね。」とささやいている。

②  ふきのとうが、雪をどけようと、ふんばっているが、雪は竹やぶがゆれないのでうごけない。

③  竹やぶは、はるかぜがふかないのでうごけない。そこでおひさまがはるかぜをおこす。

④  はるかぜがふき、竹やぶをゆらし、雪はとけて水になり、ふきのとうはふんばる。

⑤  ふんばってせがのびたふきのとうがかおを出し「こんにちは」。もうすっかりはるだ。

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<人物の会話>

 この物語には会話がいくつかあります。多くの会話は、自分が困っていることを話している会話です。

 ふきのとう、雪、竹やぶは、みんな困っています

・「よいしょ、よいしょ、おもたいな。」「よいしょ、よいしょ、外がみたいな。

・「わたしも早くとけて水になり、とおくへ行って、あそびたけど。」「竹やぶのかげになって、お日さまがあたらない。

「すまない。」「わたしたちもゆれておどりたい。ゆれておどれば、雪に日があたる。」「でも、はるかぜがまだこない。はるかぜがこないと、おどれない。」

 そこで、お日さまがはるかぜをおこします

・「おうい、はるかぜ、おきなさい。

 おこされたはるかぜは言います。

・「や、お日さま。や、みんな、おまちどお。

 こうして、みんなの悩みが解決することになります。

<人物の行動>

 この物語のおもしろさは、だれかのおかげで物事がどんどん解決していくことです。

 「風が吹くと桶屋が儲かる」という諺があります。「何かが起きると巡り巡って思いがけない意外なところにも影響が出る」という意味です。 

 この物語でも、ふきのとうが顔を出すためには、たくさんの関わりがあります。

はるかぜにふかれて、

 竹やぶが、ゆれるゆれる、おどる。

 雪がとけるとける水になる。

 ふきのとうが、ふんばるせがのびる。

ふかれて、ゆれて、とけて、ふっばって、ーもっこり。

 ここには直接書かれていませんが「竹やぶがゆれることで、お日さまの光が雪に当たりとけます。」太陽の光の熱が雪を溶かすということは、きちんとおさえることは必要かもしれません。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

春の喜び」ということかもしれません。

「雪がとけると何になる」というなぞなぞがあります。「水」という答えも正解ですが、「春になる」という答えもあります。

 この物語は、雪がとけて、ふきのとうが顔を出し、春になるというお話です。みんなのおかげで、春になった喜びを描いた物語です。

<表現の工夫>

 2年生の子どもに身につけてほしい作文の技術に会話文の横にある「言いました」という表現を少し工夫することがあります。会話文であることを示す「言いました」と書くだけでなく、「小さな声で」や「うれしそうに」という言葉をそえたり、「つぶやきました」「さけびました」という言葉に変えたるすることで、表現はとても豊かになります。

 子どもたちが書く作文に、このような表現をさせるためには、このような表現方法があることを意識させることはとても大切です。

 この物語には、そのような表現の工夫があります。

竹やぶの竹の葉っぱが、「さむかったね。」「うん、さむかったね。」とささやいています

どこかで小さな声がしました。「よいしょ、よいしょ、おもたいな。」

「竹やぶのかげになって、お日さまがあたらない。」とざんねんそうです

「でも、はるかぜがまだこない。はるかぜがこないとおどれない。」とざんねんそうです。

雲の上でお日さまがわらいました。「おや、はるかぜがねぼうしているな。」

 このような作文の指導については、次のページをお読みください。

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。


⭐️ ⭐️

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

世界一美しいぼくの村 教材分析002に進む内部リンク

世界でいちばんやかましい音 教材分析003に進む内部リンク

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きつつきの商売 教材分析033に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 2年生の子どもが書いた物語

絵本  みくのふしぎなピアノに進む内部リンク

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