おにたのぼうし 教材分析018

教材分析
つばさ
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おにたのぼうし」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、節分が近いということもありますので、「おにたのぼうし」です。

おにたのぼうし:教材分析

🟠おにたのぼうし:教材分析

 この教材は、教育出版3年下に掲載されています。

<作者>

 あまんきみこさん

 いわさきちひろさん

 出典:「おにたのぼうし」(ポプラ社・1969年

 1982年度版の絵本では、いわさきちひろさんが絵を描いています。

 あまんきみこさんについて

 1931年、旧満州の撫順市で生まれます。日本の児童文学作家です。

 太平洋戦争の終戦は、中国の大連で迎えます。ソ連軍占領下の大連で2年ほど過ごした後、大阪に引き揚げてきます。結婚後、東京に引っ越します。その後、勉学の意欲に駆られて、日本女子大学児童学科通信学部に入学し、児童文学者の与田準一さんに出会います。

 与田さんの勧めで、坪田譲治さん主宰の「びわの実学校」に「くましんし」を投稿し評価をえます。

 その後、「びわの実学校」発表の作品を集めた「車のいろは空のいろ」を出版します。

 あまんきみこさんの童話作品は、「ちいちゃんのかげおくり」「白いぼうし」「名前をみてちょうだい」などたくさんの作品が、教科書に掲載されています。

<題名>

 題名は「おにたのぼうし」です。この題名から、このお話から、鬼の子どものお話であり、帽子が関係していることが予想できます。

<設定>

 いつ(時):節分の夜

 どこ(場所):まことくんの家

 だれ(登場人物):まことくん

<人物>

 まこと……節分の夜、豆まきをしている

 おにた……おにの子ども。気のいいおにの子ども。

 女の子……まずしい家で病気のおかあさんと一緒に暮らしている

 おかあさん……女の子のおかあさん。病気でねている。

 <あらすじ>

・節分の夜、まこと君という名前の男の子が元気に豆まきをしている。

・まこと君は、茶の間、客間、子ども部屋、台所などに豆まきをしている。

・まこと君は、物置小屋にも豆をまこうとする。

・物置小屋には、去年の春からおにたという気のいいおにが住んでいる。

・おにたは、まこと君やまこと君の家族のためにいろいろな手伝いをしていた。

・豆まきの音を聞きながらおにたは「おには悪いって決めつけるのはおかしい。」と思う。

・おにたは角かくしの古い麦わらぼうしをかぶり、物置小屋を出て、粉雪がふる外に出る。

・どのうちも、ひいらぎの葉をかざっているので、おにたは家に入れない。

・おにたは、トタン屋根の家は、豆のにおいがしないことに気づく。

・トタン屋根の家には、女の子と病気のお母さんが住んでいた。

・女の子は、お母さんから「おなかがすいたでしょう。」と聞かれる。

・おにたは、女の子が何も食べていないのに、食べたとうそをついたことに気づく。

・おにたは、「ごちそうがあまった」と女の子の家にごちそうをとどける。

・女の子は、はしをとめ、「豆まきしたい。」とつぶやく。

・おにたは、悲しそうに身ぶるいをして「おにだっていろいろあるのに。」と言う。

・急におにたがいなくなり、あとには麦わらぼうしだけがのこる。

・女の子がおにたを探すと、ぼうしの下に黒い豆が残っているのに気づく。

・豆まきをしながら、あの子はきっと神様だと女の子は思う。

<場面>

 ここでは、このブログで紹介している6場面に分け、1場面を30字程度にまとめてみます。 

① 節分の夜、まこと君が、家のあちこちで豆まきをしている。

② 物置小屋には気のいいおにたが住むが、豆をさけて、家を出る。

③ どのうちも、ひいらぎをかざっていたので、おにたは家に入れない。

④ 女の子が、お腹をすかしていたので、おにたは食べものをとどける。

⑤ 豆まきしたいという言葉を聞き、おにたはいなくなりぼうしだけがのこる。

⑥ ぼうしの下に黒豆があり、豆まきしながら「あの子は神様だわ。」と思う。

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 この物語は、節分の夜の出来事です。おにたという名前の気のいいおには、やさしいけれど、自分のやさしさをそっとするおにです。

 豆まきが始まったので、まこと君の家を出ることにします。ある家で、お腹をすかせた女の子にごちそうを届けますが、女の子の「豆まきがしたい」という言葉を聞き、帽子だけを残していなくなってしまいます。女の子は、豆まきしながら「さっきの子は、神様だわ」と思います。

<人物の会話・行動>

会話について

 おにたの会話はとても重要です。いくつかあります。

 1つのおにたの会話は、次の会話です。

人間っておかしいな。おには悪いって決めているんだから。おににもいろいろあるのにな。

 おにたの人間に対する思いがよくわかります。

 2つめのおにたの会話は、女の子に対するおにたの会話です。

節分だから、ごちそうがあまったんだ。

 女の子を気づかい、おにたの優しさがあふれています。

 3つめは、「豆まきしたい」と聞いた時のおにたの会話です。

おにだって、いろいろあるのに。おにだった……。

 おにたの悲しさが込められた会話です。

行動について

 この物語では、おにたのやさしい行動がいくつか出てきます。

・きのうも、まこと君に、なくしたビー玉を、こっそり拾ってきてやりました。

・この前は、にわか雨の時、ほし物を、茶の間に投げこんでおきました。

・お父さんのくつを、ぴかぴかに光らせておいたこともあります。 

・女の子にごちそうを届けたのも、おにたのやさしい行動の1つでしょう。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 おには本当に悪いものなのか、ということでしょう。

 おににもやさしくて、神様のようにいいおにがいるということなのかもしれません。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

天気に関する表現 

・粉雪がふってきました。道路も、屋根も、野原も、もう真っ白です。

・女の子が出ていくと、雪まみれの麦わらぼうしを深くかぶった男の子が立っていました。

たとえに関する表現

・氷がとけたように、急におにたがいなくなりました。

女の子の様子を表す表現

・女の子は、はっとしたようにくちびるをかみました。でも、けんめいに顔をふりました。

・女の子が、フーッと長いため息をつきました。

・女の子はびっくりして、もじもじしました。

・女の子の顔が、ぱっと赤くなりました。そして、にこっとわらいました。

・お母さんが目をさまさないように、女の子は、そっと、豆をまきました。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 なお、節分に関係する言葉について、子どもでも簡単に読める文章を作っています。併せて、お読みください。

節分せつぶん Setsubunに進むよみもの・姉妹ブログ

りっしゅん Risshunに進むよみもの・姉妹ブログ

方巻ほうまき Ehomakiに進むよみもの・姉妹ブログ

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

白いぼうし 教材分析031に進む内部リンクあまんきみこさんの作品

初雪のふる日 教材分析001に進む内部リンク

世界一美しいぼくの村 教材分析002に進む内部リンク

世界でいちばんやかましい音 教材分析003に進む内部リンク

かさこじぞう 教材分析007に進む内部リンク

大造じいさんとガン 教材分析009に進む内部リンク

スーホの白い馬 教材分析012に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 2年生の子どもが書いた物語

絵本  みくのふしぎなピアノに進む内部リンク

 

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