「鳥になったきょうりゅうの話」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「鳥になったきょうりゅうの話」です。
鳥になったきょうりゅうの話:教材分析
🟠鳥になったきょうりゅうの話:教材分析
この教材は、光村図書の3年生の教科書に掲載されている説明文です。
<作者>
大島英太郎(おおしま・えいたろう)作・絵
出典:「とりになったきょうりゅうのはなし 」(福音館書店・2005年)
大島英太郎さんについて
1961年(昭和36年)に栃木県で生まれました。絵本作家です。
子どもの頃から、家の近くにあった渡良瀬遊水地に通って、長年、野鳥の観察を続けてきました。また、恐竜に関する質問状を国立科学博物館の研究者に送ったことがきっかけになって、恐竜にも興味をもつようになりました。
科学絵本や物語絵本、両方の分野で、鳥や昆虫、恐竜などについて描いた作品をたくさん発表しています。
<題名>
題名は「鳥になったきょうりゅうの話」です。
この題名を読むと、一部の恐竜が鳥になったみたいで、そのことを説明している文章だということがわかります。とても興味をひく題名です。
<はじめとおわり>
○ はじめ
最初に、「あなたは、きょうりゅうの化石を見たことがありますか。」と書かれています。そして、恐竜の化石がとても大きいこと、恐竜は大昔にいたこと、いろいろな恐竜がいたことなどについて話を続けています。
○ おわり
最後に、「昔々、大昔の地球を歩き回っていたティラノサウルスやブラキオサウルスなどの大きなきょうりゅうたちは、もういません。けれどもそのかわり、鳥という小さなきょうりゅうのなかまは、今も元気にこの地球で生きているのです。」と書かれています。
恐竜はもういなくなりましたが、代わりに鳥という姿に変わって、恐竜が生き続けているみたいです。
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む(内部リンク)
<形式段落>
形式段落は、全部で18段落です。
形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。
① あなたは、きょうりゅうの化石を見たことがあるか。
② はくぶつ館のきょうりゅうの化石を見ると、その大きさにびっくりする。
③ きょうりゅうが住んでいた大昔の地球は、あたたかくくらしやすい所だった。
④ きょうりゅうは、草食や肉食のもの、うろこのもの、羽毛のものなどいろいろいた。
⑤ きょうりゅうには小さいものもいて、羽毛の生えているものがいた。
⑥ その中に、てきにおそわれにくく、えさも多い木の上でくらすものがあらわれた。
⑦ これらのきょうりゅうは、体がかるく、手あしを動かし木に登った。
⑧ 木の上でくらすきょうりゅうは、長い月日の中で、木から木へとびうつるようになった。
⑨ それらのしそんには、手あしの羽毛が長くのびて、つばさの形になるものがいた。
⑩ とべるようになったきょうりゅうは、食べ物をもとめ、遠くまでとぶようになった。
⑪ そのころの地球には、地上の大きなきょうりゅうと空をとぶきょうりゅうがいた。
⑫ 今から六千六百万年ほど前、地球の様子がかわり大きなきょうりゅうは死にたえた。
⑬ 生きのこった小さなきょうりゅうが、鳥だ。鳥は、生きのこったきょうりゅうだった。
⑭ 鳥ときょうりゅうはちがって見えるが、体のつくりを調べると、とてもにている。
⑮ 鳥はきょうりゅうより小さい。なぜ、鳥たちはこのように小さくなったのだろうか。
⑯ 空をとぶには小さい方が都合がいい。小さければ、食べ物も少なくてすむ。
⑰ 昔のきょうりゅうの色はわからなかったが、羽毛の化石などから少しずつ分かってきた。
⑱ 大きなきょうりゅうはもういない。でも、小さなきょうりゅうのなかまの鳥は生きている。
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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む(内部リンク)
<意味段落>
ここでは、5つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①~④段落:序論(はじめ)
「昔々、地球にはきょうりゅうが住んでいた」
きょうりゅうは今はいません。きょうりゅうは、はくぶつ館の化石で見るくらいです。きょうりゅうが住んでいた大昔の地球は、あたたかくくらしやすい所でした。きょうりゅうには、草食のものや肉食のもの、うろこのもの、羽毛のものなどいろいろいました。
⑤~⑧段落:本論1(なか1)
「きょうりゅうはいろいろいて、木の上でくらすものもいた」
きょうりゅうには小さいものもいて、羽毛の生えているものがいました。その中に、てきにおそわれにくく、えさも多い木の上でくらすものがあらわれました。そのようなきょうりゅうは、体がかるく、手あしを動かし木に登りました。木の上でくらすきょうりゅうは、長い月日の中で、木から木へとびうつるようになりました。
⑨~⑫段落:本論2(なか2)
「空をとぶきょうりゅうがうまれた」
木から木にうつるきょうりゅうのしそんには、手あしの羽毛が長くのびて、つばさの形になるものがいました。とべるようになったきょうりゅうは、食べ物をもとめ、遠くまでとぶようになりました。そのころの地球には、地上の大きなきょうりゅうと空をとぶきょうりゅうがいました。でも、今から六千六百万年ほど前、地球の様子がかわり大きなきょうりゅうは死にたえてしまいました・
⑬~⑰段落:本論3(なか3)
「生きのこったきょうりゅうが鳥になった」
生きのこった小さなきょうりゅうが鳥です。鳥は生きのこったきょうりゅうです。鳥ときょうりゅうはちがって見えますが、体のつくりを調べると、とてもにています。鳥はきょうりゅうより小さいです。なぜ、鳥たちはこのように小さくなったのでしょうか。それは、空をとぶには小さい方が都合がよかったからです。小さければ、食べ物も少なくてすむからです。昔のきょうりゅうの色はわかりませんでしたが、羽毛の化石などから少しずつ分かってきました。
⑱段落:結論(おわり)
「きょうりゅうは鳥になった」
大きなきょうりゅうはもういません。でも、小さなきょうりゅうのなかまの鳥は今も元気に生きています。
<大事な言葉>
きょうりゅう、化石、はくぶつ館、肉食、羽毛、しそん、つばさ、鳥、手がかり、おしどり、あざやか、ティラノサウルス、ブラキオサウルス
また、わたしが子ども用に作っている「よみもの」で、いろいろな鳥について簡単な文を作っています。よければ、お読みください。
説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む(内部リンク)
<表現の工夫>
「問いかけ」
この説明文では最初に問いかけから書き出しています。
・あなたは、きょうりゅうの化石を見たことがありますか。
その他、次の問いかけもあります。
・なぜ、鳥たちはこのように小さくなったのでしょう。
このような問いかける言い方(説疑法)によって、読み手は、きょうりゅうや鳥について自分の知っていることを思い出し、なぜか考え、答えを知りたくなって次を読もうとします。問いかける書き方によって、読者の関心を引こうとしているのです。
説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む(内部リンク)
「数量化」
この説明文には、具体的な数量は1つしか出てきません。
きょうりゅうがこの地球からいなくなった時期の記述です。
次のように書いています。
・ところが、今から六千六百万年ほど前のこと、地球の様子が大きくかわり、大きなきょうりゅうのなかまはほとんど死にたえてしまいます。
このような具体的な数量化されたデータを示すことによって、恐竜がいなくなったのが、とても遠い昔だということがよくわかります。
説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む(内部リンク)
「イラスト」
この説明文には、7枚のイラストがあります。
イラストを使うことで、きょうりゅうの化石の様子や、生きていた頃のきょうりゅうの様子、鳥に変わりかけているきょうりゅうの様子など、いろいろなことがよくわかります。
言葉で説明することに加えて、具体的的なイラストがあることで、筆者の伝えたいことがよりよくわかるようになっています。
<要旨>
この説明文では、題名通り、「鳥になったきょうりゅう」のことが書かれています。なぜ、鳥のようなきょうりゅうが生まれたのか、大きなきょうりゅうの仲間が死にたえても、鳥として生き続けたことについて書かれています。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
⭐️ ⭐️
この教材は、「はじめて知ったことを知らせよう」という単元に載っている教材です。
はじめて知ったことを知らせよう 読書のすすめ(8)に進む(内部リンク)
なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(6) 引用に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む(内部リンク)
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(10)に進む(内部リンク)
⭐️ ⭐️
他の説明文の教材分析も併せてお読みください。
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