やくそく 教材分析071

教材分析
つばさ
つばさ

やくそく」という文章の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「やくそく」です。

やくそく:教材分析

🟠やくそく:教材分析

 光村図書の1年生の教科書に掲載されています。

<作者>

 小風さち(こかぜ・さち)さん・作

 黒井健(くろい・けん)さん・絵

 出典:この教科書のために書き下ろされたものです。

 小風さちさんについて

 1955年(昭和30年)東京都で生まれます。日本の童話作家です。

 白百合女子大学文学部仏文学科を卒業しました。

 1977年から1987年までイギリスのロンドン郊外に暮らしていました。

 著書に、「ゆびぬき小路の秘密」(1994年・福音館書店)、絵本「トーマスのもくば」(1994年・福音館書店)、「とべ!ちいさいプロペラき」(2000年・福音館書店)、「ちいさいときはなんだった?」(1990年・福音館書店)などがあります。

 小風さちさんの父親である松居直(まつい・ただし)さんは、福音館書店の編集者や社長、会長などをしていました。 

<題名>

 題名は「やくそく」です。

 この題名から、誰かが何かの約束をしたお話だということがわかります。

<設定>

 いつ(時):(明確に書かれていない)

 どこ(場所):おおきな木

 だれ(登場人物):あおむし

<人物>

 あおむし……主人公。おおきな木にすむあおむし。

 2ひきめのあおむし……あおむしにそっくりのあおむし。

 3びきめのあおむし……あおむしたちにそっくりのあおむし。

 おおきな木……あおむしたちがすむ木。

<あらすじ>

・おおきな木にあおむしがいて、まいにち木のはをたべて、ちょうになるひをまっていた。

・あるひ、木のはをたべていると、むしゃむしゃとおとがきこえた。

・じぶんとそっくりなあおむしが木のはをたべていた。

・「だめ、だめ。この木はぼくの木。ぼくのはっぱ。」あおむしがいうと、

 「この木はわたしの木。わたしのはっぱ。」といった。

・にひきがいいあいをしていると、もりもりとおとがきこえた。

・自分たちとそっくりなあおむしが木のはをたべていた。

・「そのはっぱはぼくのだぞ。」「わたしのはっぱをたべないで。」そういうと、

 「そんなことしるものか。」とさんびきめがいいかえした。

・そのとき、「うるさいぞ。」とおおきな木がぐらりとゆれていった。

・「みんな、もっとうえまでのぼって、そとのせかいをみてごらん。」

・あおむしたちは、木をのぼって、いちばんたかいえだまでつくと、めをまるくした。

・「ぼくら、こんなひろいところにいたんだね。」

 「そらも、こんなにひろいんだね。」

・とおくにうみがみえる。あおむしたちはうみをしらない。

・「あのひかっているところはなんだろう。」

・さんびきは、えだにならぶと、せのびをした。

・「きれいだね。からだがちょうにかわったら、あそこまでとんでみたいな。」

 「わたしも、あそこまでとんでみたい。」

 「それなら、みんなでいこう。」

・さんびきのあおむしは、やくそくした。そして、くんねりおりていった。

・木のはが、さらさらそよいでいる。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

① おおきな木にあおむしがいて、まいにち木のはをたべて、ちょうになるひをまっていた。

② 木のはをたべていると、そっくりなあおむしが木のはをたべていたので、いいあいをした。

③ いいあいをしていると、もういっぴきのあおむしがいて、さんびきでいいあいになった。

④ 「うるさい」と木がいい、木のうえまでいくようにいったので、さんびきはむかった。

⑤ 木の上はひろく、さんびきは、ちょうになると、ひかるところにいくやくそくをした。

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 このお話は、さんびきのあおむしが、じぶんの木だとけんかしていたが、木に「木の上に行くよう」に言われ、木の上で広い空を見て、遠くにある海を見ることで、ちょうになったら、一緒にそこに行こうとやくそくするお話です。

「やくそく」という題名のお話は、けんかしていたあおむしが、海に行くという「やくそく」をするように変わったというお話です。

<人物の会話>

 このお話には3びきのあおむしと、木が出てきます。

 最初3びきのあおむしは、この木はじぶんの木だと、次のような言い合いをしていました。

「だめ、だめ。この木はぼくの木。ぼくのはっぱ。」

「この木はわたしの木。だから、はっぱは、わたしのはっぱ。」

「そのはっぱはぼくのだぞ。」

「わたしのはっぱをたべないで。」

「そんなことしるものか。」

 しかし、木に次のように言われます。

「みんな、もっと上までのぼって、そとのせかいをみてごらん。」

 そして、ひろい空や海を見て、気持ちが次のように変わります

「あのひかっているところは、なんだろう。」

「きれいだね、からだがちょうにかわったら、あそこまでとんでみたいな。」

「わたしも、あそこまでとんでみたい。」

「それなら、みんなでいこう。」

<人物の行動>

 このお話の面白いところはなんでしょうか。それはさんびきのあおむしの行動です。

 さんびきのあおむしは、「この木はじぶんの木だ」とけんかをしています。

 しかし、木に言われて、木のうえまでのぼっていきます。

 そこで、ひろい空と遠くに光る海を見つけます。そして、いつの間にか仲良くなって、一緒に海まで行くことをやくそくします。

 それが、この題名にある「やくそく」の内容です。

 本当にこんなことが起こるわけではありません。でも、とても夢のある楽しいお話です。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 けんかしていたあおむしが、木の上で、ひろい空を見ることで、けんかをやめて、一緒に海まで行く約束をするまで仲良くなることでしょう。

「ひろい視野から、自分や周りのものを見ると、仲良くできるようになることがある」ということかもしれません。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

 特に目立つのは、あおむしの食べる様子を表す次のような表現です。

・どこかから、むしゃむしゃ、むしゃむしゃと、おとがきこえます。

・どこかから、もりもり、もりもりと、おとがきこえます。

 また、あおむしが木から降りてくる時の様子も面白いです。

・そして、くんねりくんねりおりていきました。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

おむすびころりん 教材分析068に進む内部リンク

おおきなかぶ 教材分析059に進む内部リンク

あいうえおであそぼう あひるのあくび 教材分析056に進む内部リンク

スイミー 教材分析030に進む内部リンク

ずうっと、ずっと、大すきだよ 教材分析029に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

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