おむすびころりん 教材分析068

教材分析
つばさ
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おむすびころりん」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「おむすびころりん」です。

おむすびころりん:教材分析

🟠おむすびころりん:教材分析

 光村図書の1年生の教科書に掲載されています。

<作者>

 羽曽部忠(はそべ・ただし)さん作

 出典:この教科書のために書き下ろされたものです。

 羽曽部忠さんについて

 1924年(大正13年)福島県会津で生まれます。福島師範を卒業しました。

 郷里の若山一中などで6年間教員をしていましたが、詩への情熱が増し、1951年(昭和26年)に上京して教員をしながら、「こどもと文学」「らてれ」「ぺんぎん」「ぎんやんま」「あんじゃり」などに詩や童謡、童話などを発表したり、児童詩の研究をしたりしていました。

 1969年(昭和44年)には、「ぜいたくな空」で福島県自由詩人賞を受賞しました。

 1989年(平成元年)には、「けやきの空」(かど創房・1988年)で、新美南吉文学賞を受賞しました。

 この「おむすびころりん」をはじめ「ばら」など6編の作品が小学校の教科書に掲載されていました。

 1993年(平成5年)に亡くなりました。

 このお話は、日本の昔話です。昔話というのは、「むかしむかし、あるところに」などの言葉で語り始められる空想的な物語です。特定または不特定の人物について描かれます。   

<題名>

 題名は「おむすびころりん」です。

 この題名から、おむすびがころがるお話だということがわかります。

<設定>

 いつ(時):むかしむかし

 どこ(場所):やまのはたけ

 だれ(登場人物):おじいさん

<人物>

 おじいさん……主人公。山の畑を耕し、おむすびを食べようとして、落としてしまいます。

 おばあさん……おじいさんの妻。

 ねずみ……おむすびをもらい歌を歌う。

<あらすじ>

・むかしむかし、やまのはたけでおじいさんがおむすびをたべようとした。

・そのとたん、おむすびがひとつ、ころころころりんとかけだした。

・またまてとおじいさんは、おいかけた。

・おむすびは、はたけのすみのあなのなかへ、とびこんだ。

・のぞいてみたがまっくらで、みみをあてると、おむすびころりんときこえてきた。

・おもしろいとふたつめころがすと、おむすびころりんと、おなじうたがきこえる。

・おなかすいてることもわすれて、おじいさんは、うたにあわせておどりだす。

・あしをすべらせたおじいさんは、あなへおちた。そこは、ねずみのおうちだった。

・そして、ごちそうをもらい、おどりをみせてもらい、おれいのこづちももらった。

・おれいのこづちをもっていえにかえり、おばあさんとおどりをおどった。

・すると、こづちをふるたび、しろいおこめやきんのこばんがでてきた。

・それから、ふたりは、なかよくたのしくくらしたよ。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

① やまのはたけでおじいさんがおむすびをたべようとしておとしてしまい、ころがってしまう。

② おむすびはころころころがりすみのあなにとびこんでしまい、なかからうたがきこえてくる。

③ ふたつめをころがすとおなじうたがきこえ、おじいさんはおどりだし、あしをすべらせる。

④ あなのなかはねずみのおうち。ごちそうをたべ、おどりをみて、こづちをもらってかえる。

⑤ おばあさんとこづちをふりふりおどると、おこめとこばんがでてきて、しあわせになった。

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 このお話は、おじいさんがおむすびを食べようとすると、おむすびが転がってしまい、あなの中に入っていまいます。そこは、ねずみのうちで、おむすびのお礼にと、こづちをもらうことになり、家に帰って踊りながら、こづちをふっていると、お米と小判がでてきて、二人は幸せになったというお話です。

<人物の会話>

 このお話には、鍵かっこ(「」)で示された会話はありません。しかし、その代わりに、一文字下げで示された、歌がたくさんでてきます。

 1つめは、途中で3回、最後に1回繰り返される、次の歌です。

 おむすびころりんすっとんとん。ころころころりんすっとんとん。

 2つめは、ねずみの家での次の歌です。

 おじいさんころりんすっとんとん。おむすびたくさんありがとう。おいしいごちそうさあどうぞ。ねずみのおどりをみてください。おれいにこづちをあげましょう。

 これらの歌は、とてもリズミカルです。

<人物の行動>

 このお話の面白いところはなんでしょうか。それはおじいさんの行動です。

 食べようとしたおむすびが転がってしまい、あなの中に入ってしまいます。本当は、悲しく悔しい出来事なのに、おじいさんは、中から聞こえたうたを喜び、さらにおむすびを入れる行動に出ます。そして、また歌が聞こえると、おじいさんはおどり出してしまいます。

 そして、足を滑らせて、おじいさん自身がおなに落ちてしまいます。そこはねずみの家で、おじいさんは、おむすびのお礼に、3つのお礼をもらいます。ごちそうとおどりとこづちです。

 こづちをもらって家に帰ったおじいさんは、おばあさんとも一緒に踊りを踊ります。

 すると、不思議なことに、こづちから、お米と小判がでてきます。

 昔話なので、空想的なお話です。本当にこんなことが起こるわけではありません。でも、夢のある面白いお話です。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 昔話なので、明確な主題があるわけではありませんが、強いていえば、次のようになるかもしれません。

「自分より体や立場の弱いものに対して、優しい気持ちをもつことが大切だ」ということかもしれません。

 ただ単に、おむすびが落ちるような嫌なことがあっても、楽しむ気持ちをもつことが大切というお話ということができるかもしれません。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

 特に目立つのは、リズム感のある同じ表現の繰り返しです。

・おむすびころりんすっとんとん。ころころころりんすっとんとん。

 特に「すっとんとん」という言葉は、他のところでもたくさんでてきます。

 おじいさんがあなに落ちたときにも、おばあさんと踊りを踊ったときにも「すっとんとん」という言葉は続きます。

 同じようなリズム感のある表現は、こづちをふり、お米や小判が出てきたときにもあります。

・こづちをふるたび、あれあれあれ

 しろいおこめがざあらさら

 きんのこばんがざっくざく

 このお話は、声に出して読んでみると、そのよさがよりわかるお話だと思います。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

おおきなかぶ 教材分析059に進む内部リンク

あいうえおであそぼう あひるのあくび 教材分析056に進む内部リンク

スイミー 教材分析030に進む内部リンク

ずうっと、ずっと、大すきだよ 教材分析029に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

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