物語文の教材研究の仕方(8)指導法

指導方法

 物語文の教材研究についてです。視点を決めて教材分析をする際の最後の視点です。

指導計画を考える。

 教材研究も仕上げに入ります。

 物語文の指導では、過去に様々な学習指導法が考案されてきました。

1.三読法

 有名なところでは、三読法というのがあります。

 これは、石山脩平氏が昭和10年代に提唱した方法です。

 石山氏の「国語教育論」という著書の中で提唱された「国語解釈の指導方法」というのが土台になっています。

 三読法とは次のような学習指導過程で進みます。
① 通読・初読…まず、文章全部を読んで、登場人物や場面の設定などを読みとります。
② 精読…次に、場面ごとにくわしく読みとります。
③ 味読…最後に、もう一度文章全部を読み、まとめをして感想を持ちます。

 三読法では、自然と文章を繰り返し読むことになりますので、より内容を正確につかむことができます。

2.一読総合法

 一読総合法という方法もあります。

 私たち大人が読書する場合、同じ文章を何回も繰り返し読むことはあまりありません。

 そこで、三読法のように同じ文章を繰り返し読む学習法を批判して生まれました

 最初から通読をせずに、場面ごとに学習内容を区切り、子どもに少しずつ学習場面を提示しながら学習していきます。

 題名読みに始まり、次にどうなるかということを予想させつつ、書き込みや話し合いをしながら学習していく方法です。

 大久保忠利氏が考案し、児童言語研究会という研究団体が推進してきた方法です。

3.単元学習

 単元学習を基にした学習方法というのもあります。

 有名なところでは、中学校の実践ですが、大村はま氏の指導があります。

 大村はま氏の名言は、次のところをお読みください。

ほめるネタを一生懸命作らなければいけないに進む内部リンク

 単元学習というのは、教材を読むことを学習の目標にするのではなく、「いきいきと話す」「本を紹介する」などという目標を設定し、その目標を達成するために、教材文を読んだり書いたり話したりする方法です。

 今挙げた3つの学習指導方法以外にも過去に様々な学習指導法が開発され少しずつ改良されながら伝承されてきています。

 私たちが指導のために使う教科書や指導の参考にする指導書もそのような過去の学習指導方法をもとに、作成されています。

 例えば、東京書籍の2年生の教科書に「かさこじぞう」という昔話があります。

 この教材を使った学習では、学習の大きな目標が「むかし話をしょうかいしよう」になっています。

かさこじぞう」という昔話を読むことだけが目的ではありません。

「かさこじそう」を含めた多くの昔話を読むことを通して、昔話特有の「我が国の伝統的な言語文化に親しむこと」や「昔話を読み、面白いと思ったところを友達と伝え合い共有すること」ができるようになることが、この単元の学習の目標です。

 ただ、多くの学級では、「かさこじぞう」という昔話を読む学習に多くの時間が割かれることが多く、他の昔話を読むという学習にはあまり時間をかけないという実態が多いように思います。

 なぜなら、他の昔話を読むという学習過程は、子ども自身に委ねられる部分が多く、指導や支援が行き届きにくいということを、ベテランの教員であればわかっているからです。

 昔話の本を学級の子どもの人数以上にきちんと揃えるておくという準備も必要です。

 学校の図書館にない場合は、地域の公立図書館などから取り寄せておくという作業も事前にする必要があります。

 きちんと指導をしようとすれば、他の昔話を教師自身が前もって読んでおくことも必要でしょうが、そのような時間はなかなかとれないことも多いでしょう。

 また、経験の少ない教員であれば、具体的にどのように、日々の授業をすればいいのか戸惑い、「かさこじぞう」だけをとりあえず学習して終了という形になることも多いように思います。

 教材研究では、日々の授業内容を具体的に考える、指導計画を立てることが必要になります。

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 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 教材の教材分析については、次のページをお読みください。

初雪のふる日 教材分析①に進む内部リンク

世界一美しいぼくの村 教材分析②に進む内部リンク

世界でいちばんやかましい音 教材分析③に進む内部リンク

かさこじぞう 教材分析⑦に進む内部リンク

大造じいさんとガン 教材分析⑨に進む内部リンク

スーホの白い馬 教材分析⑫に進む内部リンク

おにたのぼうし 教材分析⑱に進む内部リンク

モチモチの木 教材分析⑲に進む内部リンク

海の命 教材分析⑳に進む内部リンク

雪の夜明け 教材分析㉓に進む内部リンク

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