比喩 数量化 程度差などについて知りたいです。
説明文の教材研究の仕方について書いています。
今回は、「比喩 数量化 程度差」についてです。
説明文の教材研究:比喩 数量化 程度差
🟠説明文の教材研究:比喩 数量化 程度差
<表現の工夫>
説明文の教材研究の仕方について書いています。
今回は、「表現の工夫」の中の「比喩 数量化 程度差」について書きます。
説明文の筆者は、自分の考えや意見を読み手にわかりやすく伝えるために様々な工夫をして表現します。
私は、これらの表現のことを「表現の工夫」と名づけています。
大阪教育大学名誉教授の小田迪夫氏は、「説明文の授業」(田近洵一編・国土社・1996年)の中で、次のような文章を書いています。
説明表現の方法に関して指導者が知っておくべき、また学習者に気づかせるべき表現について、以下に列記しておく。(①~④、⑥は引用者により省略)
⑤ 比喩的表現によって、未知、未経験のものごとの理解が容易になる。
⑦ 数量化されたデータを根拠にすることによって、述べようとすることの確かさが強まる。
⑧ 程度差のあるものごとを取り上げ比較する言い方で、述べようとすることが強調される。
説明文の授業
今回は、この3つのことについて、具体的な説明文を使って説明します。
<比喩的表現>
「比喩的表現」についてです。東京書籍の3年生の教科書に「自然のかくし絵」という説明文があります。
この説明文の題名の「自然のかくし絵」という表現そのものが、「比喩的表現」です。
この説明文では、「保護色」について具体的な虫の例を取りあげて説明しているのですが、「自然のかくし絵」という表現をすることで、子ども達の理解が進みます。
また、本文の中でも、コノハチョウという虫の羽を「かれ葉のような色」と表すことで、どのような色をしているかよくわかるようにな書き方になっています。
小田迪夫氏が述べるように、「比喩的表現によって、未知、未経験のものごとの理解が容易」になります。
<数量化されたデータ>
説明文では、数値化されたデータはいろいろな説明文で出てきます。
東京書籍の5年生の教科書には「手塚治虫」と「宮沢賢治」の伝記が載っています。伝記では、何年にどのような出来事が起こったか説明するときに、年月が書いてあると、伝記で書かれた主人公の行動と時代背景との関係がよくわかります。
東京書籍の5年生の教科書には「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」という説明文があります。この説明文では、アザラシやペンギン、イルカやクジラなどの海に住む動物の生態について書いています。
この説明文には、海に住む動物の泳ぐ速さや動物の体の大きさの関係などについて、イラストや図表を使って説明しています。その時に、たくさんの数量化されたデーターが出てきます。
この説明文では、いろいろな動物の泳ぐ速さを比べたことについて書いています。この説明文では次のように書いています。
これだけ体の大きさが異なるのに、泳ぐ速さは時速4.0から8.0キロメートルのせまい範囲に収まっていることが分かった。この結果から考えられるのは、かれらにとって大切なことは、できるだけ速く泳ぐことではなく、できるだけ楽に移動することだ。
動物たちが教えてくれる海の中のくらし
このように「数量化されたデータを根拠にすることによって、述べようとすることの確かさが強ま」っていることがわかります。
<程度差のあるものごとの比較>
この「程度差のあるものごとを取り上げ比較する」書き方も、先程取り上げた東京書籍の教材文「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」で使われている表現です。
まず、体重12キログラムのキングペンギンと体重330キログラムのウェッデルアザラシの時速を比較して説明しています。
次に、説明文の文章の中で述べるだけでなく、ウトウからシロナガスクジラまで14種類の体の大きさの違う動物の「体の大きさと泳ぐ速さの関係」を図表にして取りあげています。そして、ウトウとシロナガスクジラでは、体の大きさが約18万倍も異なっているのに、泳ぐ速さは時速4.0から8.0キロメートルのせまい範囲に収まっていることについて書いています。
このように「程度差のあるものごとを取り上げ比較する言い方で、述べようとすることが強調され」ています。
<表現の工夫をとりあげる理由>
このように説明文には、様々な「表現の工夫」があります。このような「表現の工夫」を学ぶことのよさは何でしょうか。それは、自分が客観的に理解することのできた表現の工夫は、自分が書いたり話したりする表現をする時に、自分でも、効果を意識して使える可能性が高まるからです。
私たちはたくさんの言葉を知っています。しかし、その言葉は、大きく2種類に分かれます。1つは、理解することのできる言葉、もう1つは、表現に活用することのできる言葉です。
一般的に、表現に活用することのできる言葉よりも理解することのできる言葉の方が量は多いです。
英語の学習で考えると持って理解しやすいかもしれません。
英文を読み、理解することができる単語と、英作文を書くときに活用できる単語は、質量ともに違うと思います。
できるだけ、国語の学習において、理解できる語彙や表現を増やすだけでなく、表現できる語彙や表現を増やしていきたい、これが、「表現の工夫」を学ぶ理由です。
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なお、関係する次の項目についても、併せて読んでください。
説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む(内部リンク)
説明文の教材研究(7)表現の工夫(対比)に戻る(内部リンク)
説明文の教材研究(8)列挙 反復 問いかけに戻る(内部リンク)
説明文の教材研究(6)引用に戻る(内部リンク)
説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に戻る(内部リンク)
説明文の教材研究(2) はじめとおわりに戻る(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(1)に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(1)に進む(内部リンク)
物語文の指導の仕方(1)に進む(内部リンク)
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