説明文の教材研究(1) 教材研究の視点

指導方法
つばさ
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説明文の教材研究の視点について知りたいです。

 国語科の「読むこと」の学習では、物語文と説明文の学習をすることが多いです。

 物語文と説明文では、教材の性質が少し違います。

 そこで、今回は、「説明文の教材研究:教材研究の視点」について、書きます。

説明文の教材研究:教材研究の視点

🟠説明文の教材研究:教材研究の視点

<国語の指導>

 最近、国語の指導では、単元を貫く言語活動を重視し、単元の初めの1次から、3次で行なう活用を見越して、単元の大きなめあてを子どもに提示し、子どもが絶えず何のために、何の学習をしているのか理解させることが大切だとされています。

 学習の指導方法はこれまで、物語文を場面ごとに区切ったり、説明文を意味段落ごとに区切ったりして、1時間に扱う範囲を限定し、同じような学習方法を繰り返すことがよい学習方法で、子どもに力をつける早道であるとされてきました。

 しかし、文部科学省の教科調査官などから、「それで本当に力がついてきましたか」、という疑問を投げかけられたこともあります。

 私自身、自分が普段の読書で行う「1回しか読まない」という行為と、学校の国語の授業で行なう「同じ個所を何回も何回も読む」という行為の乖離に疑問を感じていました。

 自分自身に読解力がついたのは、様々な文章を多読したことによる効果が大きかったように思います。

 小学校から高等学校までの学校生活で、教員から指導を受けた以上に、たくさんの読書を通して、少しずつ読解力が身についたように思います。

<教材研究の大切さ>

 最近は、小学校学習指導要領の改訂やそれに基づいた教科書の編集によって、単元を丸ごと読むことがよい指導方法であるということが、多くの指導者に定着してきているように思います。

 ただ、今まで通り、教材を場面や意味段落ごとに区切り、指導しておられる指導者もまだまだ沢山おられます。

 丸ごと読むか、細かく場面や段落を分けて読むかは、別にして、私たち指導者は、扱う教材をきちんと教材研究しておく必要があります。扱う教材の特性を知り、その教材に合った学習方法を選択することで、子どもたちに力をつけることができます。

<教材研究の方法>

 普段、楽しみのための読書の際には、「1回しか読まない」ことが多いのですが、教材研究の際には、やはり何回も繰り返し読みます。

 教材を丸ごと読んだり、物語文の場合は、場面に分けて読んだりします。

 説明文の場合は、意味段落ごとに区切って読みます。

 内容を中心に何が書かれているかを考えながら読みますし、書きぶりに注目して、筆者の書き方の工夫を読むこともあります。

 普段の読書では、書き込みなどしませんが、教材研究の際には、教科書の教材をコピーし、書き込みをすることもあります。

 教材文をパソコンで打ち直すこともあります。

 ノートなどに視写することもあります。

 最近は、デジタル教科書もありますので、パソコンを上手に活用して教材研究することもよいと思います。

 教科書の教材文を写真で撮り、そこにデジタルのペンで書き込みをしたり、色をつけたりするのも良いかもしれません。

 教材研究の際は、やはり、分析的に、多様な視点で、教材を読みます。教材文を分析的に読むための、視点をいくつ持っているかということは、とても大切なことです。

 みなさんは、いつくぐらい思いつきますか?

<小学校学習指導要領における視点>

 小学校学習指導要領では、「読むこと」の指導事項を、学習過程に沿って,次のように構成しています。

○構造と内容の把握

○精査・解釈

○考えの形成

○共有

 この4つの指導事項のうち、最初の2つは、説明文の教材研究の視点になります。

構造と内容の把握」については、次のように書かれています。

○構造と内容の把握

 叙述に基づいて,文章がどのような構造になっているか,どのような内容が書かれているかを把握することを示している。「構造と内容の把握」とは,叙述を基に,文章の構成や展開を捉えたり,内容を理解したりすることである。

 各学年のアは,説明的な文章における構造と内容の把握について示している。 第1学年及び第2学年では,内容の大体を,第3学年及び第4学年では,考えとそれを支える理由や事例との関係などを,第5学年及び第6学年では,文章全体の構成を捉えて要旨を把握することを示している。

時間的な順序事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えること。(1、2年)

段落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との関係などについて, 叙述を基に捉えること。(3、4年)

事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成を捉えて要旨を把握すること(5、6年)

小学校学習指導要領解説 国語編

 上記の引用の中の赤字の部分などは、教材研究の視点になると思います。

精査・解釈」については、次のように書かれています。

○精査・解釈

 構成や叙述などに基づいて,文章の内容や形式について,精査・解釈することを示している。「精査・解釈」とは,文章の内容や形式に着目して読み,目的に応じて必要な情報を見付けることや,書かれていること,あるいは書かれていないことについて,具体的に想像することなどである。

 各学年のウは,説明的な文章における精査・解釈について示している。第1学年及び第2学年では,文章の中の重要な語や文を,第3学年及び第4学年では,中心となる語や文を見付けること,第5学年及び第6学年では,必要な情報を見付けたり,論の進め方について考えたりすることを示している。

ウ 文章の中の重要な語や文を考えて選び出すこと。(1、2年)

ウ 目的を意識して,中心となる語や文を見付けて要約すること。(3、4年)

ウ 目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けたり,論の進め方について考えたりすること。(5、6年)

小学校学習指導要領解説 国語編

 上記の引用においても、赤字の部分などは、教材研究の視点になると思います。 

<説明文の教材研究の視点>

 説明文の教材研究の視点は、たくさんあります。

 例えば、次のような視点があります。

 題名、はじめとおわり、段落の構成の仕方、意味段落と形式段落、キーワード、キーセンテンス、数量化されたデータ、問いかけと答え、文末表現、接続語、比喩、引用、対比する述べ方、事例の列挙の仕方、反復的表現、図やグラフ、写真など、説明文を読むための視点はいくつかあります。

 教材研究の方法としては、教材文を読んで、気づいたことをチェックする方法もあるでしょうし、何をチェックするか視点を前もってきめておいて教材文を読む方法もあります。

 今回は、説明文の教材研究の仕方をいくつか書きました。次回からは、教材文を例にして、もっと具体的に述べたいと思います。

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 なお、関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

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ウナギのなぞを追って 教材分析④に進む内部リンク

数え方を生みだそう 教材分析⑤に進む内部リンク

さわっておどろく 教材分析⑥に進む内部リンク

ありの行列 教材分析⑩に進む内部リンク

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説明文の指導の仕方(1)に進む内部リンク

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