ありの行列 教材分析010

教材分析
つばさ
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ありの行列」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「ありの行列」です。

ありの行列:教材分析

🟠ありの行列:教材分析

 この教材は、光村図書の3年下に掲載されている説明文です。

<作者>

 大滝哲也(おおたき・てつや)作

 安田尚樹(やすだ・ひさき)絵

 出典:教科書のために書きおろしされた文章です。

 大滝哲也さんについて

 1926年、東京の生まれです。動物学者です。特に、昆虫について研究をされました。国立予防衛生研究所室長、金沢大学教授などを歴任されました。2011年に亡くなりました。

<題名>

 題名は「ありの行列」です。

 題名を読むと、ありがよくしている行動である行列について書いていることが予想されます。

<はじめとおわり>

○ はじめ

 筆者は「夏になるとよく行列を見かけること、ありは目がよく見えないこと、しかし、なぜ行列ができるのでしょうか。」と書き出しています。

 この文を通して、ありの行列の不思議について説明していくことがわかります。

○ おわり

 筆者は、最後に「このように、においをたどって、えさのところへ行ったり、巣に帰ったりするので、ありの行列ができるというわけです。」と締めくくります。

 このように、というまとめる言葉を使って説明を終えています。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

<形式段落>

 形式段落は、全部で9段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① 目がよく見えないありの行列を見かけるが、なぜありは行列ができるのか。

② アメリカ人のウイルソンという学者が、ありの実験をして観察をした。

③ ありの巣からはなれたところにさとうをおくと、行列を作り巣にもどった。

④ 石でじゃますると、少し列がみだれたが、また行列をつくることができた。

⑤ かんさつから、ウイルソンは、ありが道しるべを道においたと考えた。

⑥  ウイルソンはありの体を研究し、おしりからえきを出すことがわかった。

⑦  この研究からウイルソンはありの行列のできるわけを知ることができた。

⑧  えさを見つけたありはえきを出し、ほかのありたちはにおいをかいて歩く。

⑨  ありはにおいをたどってえさとすを行き帰りするのでありの行列ができる。

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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

①段落:序論(はじめ):

 ありの行列を見かける。ありは目がよく見えない。なぜありの行列はできるのか。

②~⑤段落:本論1:(なか1)

 すからはなれたところにえさをおく観察①と石でじゃまする観察②をしてありの行列を観察し、ありは道しるべを出していると考えた。

⑥~⑦段落:本論2(なか2):

 ありの体の仕組みを研究し、ありはおしりからとくべつのえきを出していること、そのえきのにおいにそってほかのありは歩いていることがわかった。

⑧段落:結論(おわり)

 このように、ありはにおいをたどってえさとすを行き帰りするのでありの行列ができる。

 この説明文は、とてもわかりやすい文章構造をしています。きわめてすぐれた説明文です。

<大事な言葉>

 行列、巣、学者、実験、かんさつ、はじめに、次に、道すじ、道しるべ、えき、におい、じょうはつ、さえぎる、目的地、このように

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

問いかけ

 この文章では、最初に、「ありはものがよく見えません。それなのに、なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。」と問いかける言い方(疑説法)を用いています。この問いかけがあることで、読み手の知的欲求が高まり、内容を知りたい、文章を読みたいという思いが高まります。

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

イラスト

 この説明文では、2つのありの行列について行った2つの実験の様子をイラストにして表しています。このイラストがあることで、実験の様子がよくわかります。

<要旨>

 この説明文では、ありの行列について疑問をもったアメリカ人のウイルソンさんが観察や実験を行い、ありの行列は、「ありが体からえきを出し、そのえきのにおいをほかのありがたどる」という秘密を解き明かしました。そのことを筆者の大滝さんがわかりやすい文章でまとめたものです。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」に挙げた視点のうちにいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

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