ウナギのなぞを追って 教材分析004

教材分析
つばさ
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ウナギのなぞを追って」という説明文の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「ウナギのなぞを追って」です。

ウナギのなぞを追って:教材分析

🟠ウナギのなぞを追って:教材分析

 この教材は、光村図書の4年下に掲載されている説明文です。

<作者>

 塚本勝巳(つかもと・かつみ)作

 出典:教科書のために書きおろしされた文章です。

 塚本勝巳さんについて

 1948年、岡山県で生まれます。東京大学農学部出身の魚類学者です。特に、ウサギの研究で有名で、「うなぎ博士」の愛称で知られています。

<題名>

 題名は「ウナギのなぞを追って」です。

 題名を読むだけで、ウナギのなぞについて書かれた文章だとわかります。

<はじめとおわり>

はじめ

 筆者は「今年もウナギがどんな一生を送る生き物か調査するためにマリアナの海に来たこと」から書き出しています。

おわり

 筆者は、ウナギはどこでたまごを産むか明らかになったことについて書きます。ただ、他にもウナギのなぞは多く、マリアナの海には行くことは続きます。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

<形式段落>

 形式段落は、全部で13段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① 今年もウナギがどんな一生を送る生き物か調査するためにマリアナの海に来た。

② 日本の川や海にいるウナギがたまごを産む場所は、遠い南のマリアナの海である。

③ 80年ほどかかって、最近、ウナギのたまごを産む場所がマリアナだとわかった。

④ ウナギのたまごの場所をさがす調査は、小さいウナギをさがすことから始まった。

⑤ ウナギの赤ちゃんが最初にとれたのは、1967年のことだった。

⑥  筆者が調査に加わったのは1973年で、調査のはんいを広げていった。

⑦ 1991年、生後20日のレプトセファルスをとることができた。

⑧ 1994年、調査を整理し、たまごを産む場所は3つの海山近くだと予想した。

⑨ ウナギのたんじょうは、新月の日前後と関係していることが分かった。

⑩ 2005年、生後2日のレプトセファルスを見つけることができた。

⑪ 新月のころ、海山の近くという2つの予想のもとで、さらに調査を続けた。

⑫ 2009年、ウナギのたまごを見つけ、まちがいないことがわかった。

⑬ ウナギがどこでたまごを産むかわかったが、まだなぞはふえるばかりだ。

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 なお、この部分については、リライト教材として、漢字に読みがなをつけたものを、姉妹ブログの「よみもの」に用意しています。

ウナギのなぞを追って・要点に進む外部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

①~③段落:序論(はじめ):ウナギのたんじょうがマリアナの海であることの紹介。

④~⑫段落:本論(なか):ウナギのたまごを見つけるまでの調査についてくわしく紹介。

⑬段落:結論(おわり):ウナギのたんじょうの場所はわかっても、ウナギのなぞは増えるばかりである。

 この説明文では、ウナギのなぞについて、時間的な経過に合わせて、わかったことを順にわかりやすく説明しています。

 また、序論(はじめ)と本論(なか)の間、本論(なか)と結論(おわり)の間に1行があいていて、説明の分かれ目がわかりやすくなっています。

<大事な言葉>

 ウナギ、マリアナの海、調査、レプトセファルス(ウナギの赤ちゃんのこと)、赤道海流、海山、新月、フロントなど

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

数量化

・この説明文では、調査を行なった年月日などの数字を使うことで、いつ調査を行ったのか詳しくわかるようにしています。

・ウナギの大きさについても、ウナギの赤ちゃんやたまごの大きさを示すことで、どのぐらいの大きさかわかるようにしています。

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

専門的な言葉の説明

・専門的な言葉である「レプトセファルス」や「フロント」などの言葉を使っていますが、これらの言葉を使う場合には、読者がよくわかるように、「ウナギの赤ちゃん」「塩分のこさがことなる海水のさかい目」というふうに言葉の説明をていねいにしています。

写真や図

・この説明文では、5枚の地図、5枚の写真、レプトセファルスの生まれた数と月の見え方を比べた図表を使うことで説明がよりわかりやすくなる工夫をしています。

・特に、レプトセファルスの写真とウナギのたまごの写真があることで、言葉だけでは伝わりにくいことが、よくわかるようにしています。

<インタビュー記事>

 この説明文の後には、塚本さんに対するインタビュー記事も載せています。

 このインタビュー記事があることで、うなぎに対する塚本さんの考えが、より詳しくわかるような工夫がされています。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」に挙げた視点のうちのいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 なお、NHKのfor Schoolの5・6年生の理科に、「ウナギ」の動画が複数あります。

「ウナギの一生」に進む外部リンク)2分33秒

「ウナギのなぞにせまれ」に進む外部リンク)10分

「ウナギ」に進む外部リンク)42秒

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

⭐️   ⭐️

 他の説明文の教材分析も併せてお読みください。

数え方を生みだそう 教材分析⑤に進む内部リンク

さわっておどろく 教材分析⑥に進む内部リンク

ありの行列 教材分析⑩に進む内部リンク

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