茂市久美子さんの書かれた読書をすすめる文章についてです。
読書をすることはとても意味のあることです。
今回は、茂市久美子さんの書かれた「心の養分」という文章と「むかしの童話を読む方法」の紹介です。
心の養分:教材分析
🟠心の養分:教材分析
この教材は、東京書籍の3年生の教科書に掲載されている文章です。
<作者>
茂市久美子(しげいち・くみこ)・作
出典:この教科書のために書き下ろされました。
茂市久美子さんについて
1951年、岩手県新里村(現在の宮古市)で生まれます。日本の児童文学作家です。
実践女子大学英文科卒業です。
1992年に岩泉線を舞台にした「おちばおちばとんでいけ」で第3回ひろすけ童話賞を受賞しました。この他、「おちばおちばとんでいけ」(国土社・1991年)、「あなぐまモンタン」シリーズ(学研)、「つるばら村」シリーズ(講談社)などたくさんの本を書かれています。
古里をイメージした作品が多いのは、幼少のころに曾祖母から聞いた昔話の影響と、少女時代に童話を読んで多感な時代を過ごし、アンデルセンのような物語を書くのが夢だったからだそうです。
ヒマラヤに咲く青いケシの花を見るのが夢だった茂市さんは、夫の山岳写真家の藤田弘基さんと一緒にネパールやヨーロッパの山岳地方を訪ねて、「氷河と青いケシの国 : ネパール紀行」(あかね書房・1981年)、「私のヒマラヤ紀行」(恒文社・1994年)などの紀行文も出版しています。自然を素材にして、子どもにも大人にも感動を与える本を書き続けています。
茂市久美子さんの「ゆうすげ村の小さな旅館ーウサギのダイコン」は、東京書籍の3年生(下)に掲載されています。
ゆうすげ村の小さな旅館 教材分析027に進む(内部リンク)
<題名>
題名は「心の養分」です。
<はじめとおわり>
○はじめ
・この文章は、次のような文から始まります。
わたしの生まれたところは、山の中にある村で、実は、駅前で小さな旅館をしていました。村には、本屋さんがなく、わたしが、小学校の三年生になるころまで、月に一度、わが家に、近くの町から、注文した本やざっしをふろしきにつつんでとどけに来てくれるおじいさんがいました。
○おわり
・この文章では、次のような文で終わっています。
わたしは、今でも、ときおり、グリムやアンデルセン、そして、小川未明と新美南吉の童話を読みます。そのたびに、心に養分をもらっています。
<形式段落>
① 子どものころにすんでいた村には本屋がなく、本をとどけてくれるおじいさんがいた。
② おじいさんがふろしきづつみを開けるとき、どんな本があるかいつもわくわくした。
③ わたしは、小さいころ体が弱かったので、家で本を読んでいるほうがすきな子どもだった。
④ わたしが小学三年生のころすきだったのは、グリムやアンゼルセンの童話だった。
⑤ さらに、小川未明と新美南吉の童話もよく読んだ。
⑥ すきな本を何度も読むのは、知らない国へたびして友だちに会いに行くのとにている。
⑦ 本は心の養分になる。わたしが童話作家になれたのは、本から養分をもらったからだ。
⑧ 今でもグリムやアンデルセン、小川未明や新美南吉の童話を読み、心に養分をもらっている。
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<意味段落>
ここでは、5つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。
①段落:はじめ(序論)
わたしの生まれた山の中の村には、本屋さんがなく、わたしが、小学校の三年生になるころまで、毎月、近くの町から、注文した本やざっしを届けてくれるおじいさんがいました。
②~③段落:なか①(本論①)
おじいさんがふろしきづつみを開けるとき、どんな本があるかいつもわくわくしました。わたしは、小さいころ体が弱かったので、外でみんなと遊ぶより、家で本を読んでいるほうがすきな子どもでした。
④~⑤段落:なか②(本論②)
わたしが小学三年生のころすきだったのは、グリムやアンデルセンの童話でした。グリムの「いばらひめ」、アンデルセンの「お月さまのしたお話」など同じ本を何度もくり返して読みました。さらに、小川未明と新美南吉の童話もよく読みました。小川未明の「赤いろうそくと人魚」、新美南吉の「手ぶくろを買いに」も何度も読みました。
⑥~⑦段落:なか③(本論③)
すきな本を何度も読むのは、知らない国へたびして、そこに住む人たちと友だちになり、彼らに会いたくなって、何度もたずねていくのににています。友だちになったかれらは、いつもそこにいて、まってくれています。本は心の養分になります。わたしが童話作家になれたのは、本から養分をもらい、それらをいつもそばにおいて、大人になるまで読みつづけたおかげかもです。
④段落:おわり(結論)
わたしは、今でもグリムやアンデルセン、小川未明や新美南吉の童話を読み、心に養分をもらっています。
<大事な言葉>
旅館、注文、ふろしき、上がり口、記おく、グリム、アンデルセン、小川未明、新美南吉
<表現の工夫>
「列挙」
この説明文ではたくさんの好きな作家とたくさんの好きな童話をあげています。
グリムの童話では、「いばらひめ」「ラプンチェル」の2作品を挙げています。
アンデルセンの童話では、「お月さまのしたお話」「人魚ひめ」の2作品を挙げています。
小川未明の童話では、「赤いろうそくと人魚」、新美南吉では「手ぶくろを買いに」をあげています。
グリム兄弟やアンデルセンの童話は知っていても、小川未明と新美南吉を初めて知る子どももいるかもしれません。「赤いろうそくと人魚」と「手ぶくろを買いに」は以前は教科書に載っていたこともある名作ですが、今はどの教科書にも載っていません。
<要旨>
この説明文では、好きな童話などをくり返し読むことのよさと、本を読むことは心の養分になることについて書いています。よい本は、大人になって読むこともよいことについて書いています。
むかしの童話を読む方法:青空文庫
🟠むかしの童話を読む方法
<童話を読む方法>
茂市久美子さんは、4人(5人)の童話作家を紹介しています。
グリム兄弟さんとアンデルセンさんと小川未明さんと新美南吉さんの5人です。
この4人(5人)の童話作家の童話は、学校の図書館にもたくさんありますので、図書館で本を借りるというのが一番簡単な方法です。
学校になければ、近くの公立図書館で本を借りるというものよい方法です。
でも、もしかすると、学校や近くの公立の図書館には、同じ作者の本が学級の人数分ないことがあるかもしれません。本はたくさんあっても、一度にみんなが読むだけの本はないかもしれません。
そんな時どうすればいいのでしょうか。
そのような時、その童話が少し昔に書かれた童話であれば、とてもよい方法があります。
それは「青空文庫」を利用することです。
<青空文庫とは?>
青空文庫というのは、著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品を公開しているインターネット上の電子図書館です。
GIGAスクール構想が実行され、多くの小学校で、一人一台のパソコンやインターネット環境が整いつつあります。
GIGAスクール構想 情報教育に進む(内部リンク)
青空文庫は、富田倫生さん、野口英司さん、八巻美恵さん、らんむろ・さてぃさんの4人が呼びかけ人となって、1997年に設立しました。
財産権としての著作権は、作者の死後50年間保護されます。ただし、2018年(平成30年)末まで著作権の存続していた作品については死後70年間保護されます。
4人の作家の誕生年と死亡年は次の通りです。
グリム兄弟さん(兄:ヤーコプ・グリム:1785ー1863年;弟:ヴィルヘルム・グリム:1786ー1859年)
アンデルセンさん(ハンス・クリスチャン・アンデルセン:1805ー1875年)
小川未明さん(おがわ・みめい:1882ー1961年)
新美南吉さん(にいみ・なんきち:1913ー1943年)
4人(5人)は、みんな50年以上前に亡くなっていますので、著作権は切れています。
ですから、青空文庫で読むことができます。(いばらひめは、まだ登録されていません。)
青空文庫に進む(外部リンク)
グリム兄弟さんに進む(外部リンク・青空文庫)
ラプンチェルに進む(外部リンク・青空文庫)
アンデルセンさんに進む(外部リンク・青空文庫)
お月さまのしたお話(別名:絵のない絵本)に進む(外部リンク・青空文庫)
人魚ひめに進む(外部リンク・青空文庫)
小川未明さんに進む(外部リンク・青空文庫)
赤いろうそくと人魚に進む(外部リンク・青空文庫)
新美南吉さんに進む(外部リンク・青空文庫)
手ぶくろを買いにに進む(外部リンク・青空文庫)
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