インターネットの投稿を読み比べよう 教材分析067

教材分析
つばさ
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インターネットの投稿を読み比べよう」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「インターネットの投稿を読み比べよう」です。

インターネットの投稿を読み比べよう:教材分析

🟠インターネットの投稿を読み比べよう:教材分析

 この教材は、東京書籍の6年生の教科書に掲載されている説明文です。

 東京書籍の教科書では、2年から6年生にかけて2つのよく似た文章を読みくらべる教材を作成し掲載しています。

 2年生では「サツマイモのそだて方」、3年生では「ほけんだより」、4年生では「広告」、5年生では「新聞記事」、6年生では「インターネットの投稿」を取り上げくらべています。

<作者>

「新しい国語」編集委員会・作

 この説明文には、はじめの文章とスポーツニュースと11の投稿があります。これらのの文章は、東京書籍の教科書の編集委員会により書き下ろされました。

《はじめの文章》

 題名は、「インターネットの投稿を読み比べよう」です。

<はじめとおわり>

はじめ

・この文章では、次のように書き出しています。

 インターネットには、多くの情報があふれています。わたしたちは、そこから情報を得るだけでなく、情報を発信することもできます。

おわり

・この文章では、次のような文章で終わっています。

 次からのページには、あるニュースをめぐってインターネットに投稿された意見が並んでいます。以下の点に注意して、読み比べてみましょう。

・それぞれの書き手は、どんな意見や主張を述べているか。

・読み手を説得するために、どのようなくふうをしているか。

・インターネットの議論の参加の仕方や態度はどうか。

・書き手の意見や主張についてどう思うか。

<形式段落>

① インターネットには情報があふれていて、だれでも情報を受信したり発信したりできる。

② 投稿を読むときは、書き手の意見や主張、理由などを考え、自分の考えを持つようにする。

③ このことは、自分が意見を投稿する際も同じで、理由や適切な事実や事例を挙げるとよい。

④ インターネットでは顔が見えないので、態度や相手の気持ちや反応にも気をつける。

⑤ あるニュースに投稿された意見を、次の4点に気をつけて読み比べてみよう。

⑥ 書き手の意見や主張。くふう。参加の仕方や態度。書き手の意見や主張への感想

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<意味段落>

 ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。

①段落:はじめ(序論)

 インターネットの掲示板、ブログ、SNSなどには情報があふれていて、だれでも情報を受信したり発信したりできます。     

②~④段落:なか(本論)

 投稿を読むときには、書き手の意見や主張、理由付けの仕方、事実や事例の挙げ方などを考えた上で、自分の考えを持つようにしましょう。このことは、自分が意見を投稿する際も同じで、理由や適切な事実や事例を挙げるとよいです。インターネットでは相手の顔が見えないので、態度や相手の気持ちや反応にも気をつけましょう。 

⑤~⑥段落:おわり(結論)

 あるニュースに投稿された意見を、次の4点である「書き手の意見や主張」「くふう」「参加の仕方や態度」「書き手の意見や主張への感想」に気をつけて、読み比べてみましょう。

<大事な言葉>

 インターネット、投稿、情報、発信、掲示板、ブログ、SNS、事実、事例、説得力、賛同、共感

<要旨>

 この説明文では、インターネットの投稿について詳しく書いてあります。そして、実際にインターネットの投稿を読み比べて、考えてみることをすすめています。

《スポーツニュース》

「見出し」

 延長13回 232球投げぬいたエース

「本文」

 高校野球に新たな怪物が誕生した。大会初日の第4試合、○○高校の木村選手が延長13回、232球を一人で投げぬ板。木村投手のねばり強い力投で、チームを勝ちへと導いた。……。

 ここでは、読者A~Fさんの6名が、全部で11の投稿をしている。

《投稿1:読者Aさんのコメント:1回め》

「書き手の意見や主張」

 勝つことだけを考え、体に負担をかけ続けてスポーツすることはない。

「くふう」

 スポーツを通して健康な心や体を育てるという、スポーツの目的に反するという理由を述べている。

「参加の仕方や態度」

 普通。

「書き手の意見や主張への感想」

 最初なので、書き手への感想はない。

《投稿2:読者Bさんのコメント:1回め》

「書き手の意見や主張」

 スポーツは、勝利を求めてするからよい。

「くふう」

 勝ちたいという意欲があるから、選手は練習を積み、体をきたえ、技術を進歩させられるという理由を述べている。

「参加の仕方や態度」

 最初に、他者の意見に反対と述べる。少しきつい言い方。

「書き手の意見や主張への感想」

 読者Aさんのコメントに反対する。 

《投稿3:読者Cさんのコメント:1回め》

「書き手の意見や主張」

 体に無理な負担をかけてまでスポーツをすることは反対。

「くふう」

 中学生のとき、練習し過ぎてひざを痛め、サッカーを続けることができなかったという、自分の経験を述べている。

「参加の仕方や態度」

 書き手ではなく、書き手の意見へ反対と述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 読者Bの意見に反対の立場。

《投稿4:読者Dさんのコメント:1回め》

「書き手の意見や主張」

 スポーツは勝利こそ第一。

「くふう」

 コーチの言葉「いい選手はけがをしません。」を引用をしている。

「参加の仕方や態度」

 失礼な書き方。いきなり相手の否定から始まっている。基本的な書き方が常体である。

「書き手の意見や主張への感想」

 読者Cさんの意見に反対の立場。

《投稿5:読者Eさんのコメント:1回め》

「書き手の意見や主張」

 スポーツは、体だけでなく心も成長させるすばらしいもの。

「くふう」

 スポーツの目的が「健康」の人と、「勝利」の人がいるので議論がかみあっていないという論点の整理をしている。

「参加の仕方や態度」

 相手の意見に対して疑問を述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 読者Dさんのコメントは失礼だとしている。

《投稿6:読者Fさんのコメント;1回め》

「書き手の意見や主張」

 厳しい練習をして勝利するより、一生スポーツを楽しむほうが重要。

「くふう」

 世論調査という具体的な数値を示している。

「参加の仕方や態度」

 市内のバレーボールチームに参加しているという自分の立場を述べている。

 文章の文末も敬体で、穏やかに自分の意見を主張している。

「書き手の意見や主張への感想」

 他の人のコメントに直接的な反対意見を述べていない。

《投稿7:読者Eさんのコメント:2回め》

「書き手の意見や主張」

 スポーツを楽しむことは大切だが、楽しさだけでは多くのものは学べない。

「くふう」

 柔道の金メダリスト古賀稔彦さんの「練習で限界をこえた自分を知っておかなければ本番で勝てない。」という言葉を引用している。

「参加の仕方や態度」

 相手の意見を尊重しつつ、自分の意見を述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 相手の考えを尊重している。

《投稿8:読者Bさんのコメント:2回め》

「書き手の意見や主張」

 スポーツは楽しさばかりでは、技術面でも精神面でも強くなれない。

 限界にいどみ、勝利という結果を出すことがよいこと。

「くふう」

 最初に、読者Eさんに賛成だと述べている。

「参加の仕方や態度」

 他の人のコメントに賛成であると述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 他の人のコメントに賛成しつつ、自分の考えを主張している。

《投稿9:読者Aさんのコメント:2回め》

「書き手の意見や主張」

 過度な運動は害になることがある。

 一般人は、むやみにひとにぎりの名人のまねをすべきではない。

「くふう」

 他の人の意見を尊重しつつ、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」という孔子の名言を引用している。

 スポーツに関する調査結果を自分の考えの理由としている。

「参加の仕方や態度」

 相手の意見を「尊いこと」「EさんとBさんのコメントにはうなずける点もある」と尊重しつつ、反対意見を述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 他の投稿者の意見のよさを認めつつ、自分の考えを述べている。

《投稿10:読者Fさんのコメント:2回め》

「書き手の意見や主張」

 勝利を目指すとしても、けがを生むような練習やプレーを防ぐことが重要。

 そのために、指導する立場の人が注意することも大切。

「くふう」

 みんなが共感できるであろう「うまくなりたい、強くなりたい、速く走りたい。」という思いを最初に述べている。

「参加の仕方や態度」

 みんなが共感できるように自分の考えを主張している。

「書き手の意見や主張への感想」

 相手の考えを直接否定するような書き方はしていない。

《投稿11:読者Cさんのコメント:2回め》

「書き手の意見や主張」

 けがを生み出すような過度な練習には反対

「くふう」

 自分の経験や以前感じていた自分の思いを述べている。

「参加の仕方や態度」

 「いろいろな考えがあることが分かりました。」と意見から学べたことを述べている。

「書き手の意見や主張への感想」

 いろいろな考えがあるとしつつ、「けがを生み出す過度は練習は反対」という自分の考えを明確にしている。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

 なお、この学習では、実際に投稿する体験をしてみることも意味があると思います。そのような際、学級内で自由に投稿できる「Padlet(パドレット)」を活用することはとてもよいことだと思います。Padletの活用については、次のページをお読みください。

Padletの活用(電子掲示板) 情報教育に進む内部リンク

⭐️   ⭐️

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

⭐️   ⭐️

 他の説明文の教材分析も併せてお読みください。

サツマイモのそだて方 教材分析063に進む内部リンク

「ほけんだより」を読みくらべよう 教材分析064に進む内部リンク

広告を読みくらべよう 教材分析065にすすむ内部リンク

新聞記事を読み比べよう 教材分析066に進む内部リンク

イースター島にはなぜ森林がないのか 教材分析046に進む内部リンク

アップとルーズで伝える 教材分析045に進む内部リンク

メディアと人間社会 教材分析013に進む内部リンク

プロフェッショナルたち 教材分析017に進む内部リンク

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