「ミリーのすてきなぼうし」の教材分析について知りたいです。
よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。
しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。
そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。
今回は、「ミリーのすてきなぼうし」です。
ミリーのすてきなぼうし:教材分析
🟠ミリーのすてきなぼうし:教材分析
この教材は、光村出版の2年に掲載されている物語文です。
<作者>
きたむらさとし作・絵
出典:「ミリーのすてきなぼうし」(BL出版・1972年)
きたむらさとしさんについて
1956年(昭和31年)東京都で生まれます。日本の児童絵本作家、イラストレーターです。
高校中退後、フリーランスのイラストレーターとして東京で広告、雑誌関係の仕事をしていました。
1979 年にイギリスに渡った後、1982年にイギリスで絵本作家としてデビューしました。イギリスを中心に世界で活躍しました。その後、2009年に日本に帰国し、神戸市に住んでいます。
神戸市外国語大学客員教員をしています。
その他「ぞうのエルマー」シリーズの翻訳者としても活躍されています。
<題名>
題名は「ミリーのすてきなぼうし」です。
この題名から、ミリーという人のすてきな帽子のお話だとわかります。どのようなぼうしなのか興味がわく題名です。
<設定>
いつ(時):(きちんと書かれていない)
どこ(場所):町の中(ミリーのさんぽのとちゅう)
だれ(登場人物):ミリー
<人物>
ミリー……この物語の主人公。かわいい女の子。
ぼうしやの店長……すてきなぼうしを売っているぼうしやさん。
ママ……ミリーのお母さん。ミリーのぼうしが見えなくてもやさしく接してくれる。
<あらすじ>
・ミリーは、さんぽのとちゅう、ぼうしやさんの前で、色とりどりのぼうしが気に入った。
・ミリーは店長さんにたのみ、そのぼうしをかぶらせてもらうと、ぴったりだった。
・ねだんは九万九千九百九十九円で足りなかった。
・そこで、ミリーは店長さんにもう少しやすいぼうしをたのみ、さいふの中を見せた。
・中は、空っぽでした。店長さんは、「よいのがある」と言って店のうらに行った。
・店長は、大きさも形も色もじゆうじざいのとくべつなぼうしをもってきて、ミリーの頭にのせた。
・とってもいいかんじなので、ミリーは、さいふのなかみをぜんぶ店長にわたして、店を出た。
・ミリーは、ぼうしが気に入ったが、形が見えないので、ぼうしをぞうぞうすることにした。
・ぼうしやさんにあったいろんな色のぼうしよりもっと羽のあるクジャクのぼうしをそうぞうした。
・ミリーがケーキやさんの前でケーキをそうぞうすると、ぼうしはケーキのぼうしになった。
・花やの前を通ると、ぼうしは、花でいっぱいのぼうしになった。
・そのとき、ミリーは、みんな、じぶんのぼうしをもっていることに気づいた。
・むこうからきたおばあさんのぼうしは、くらくてさびしい水たまりだった。
・ミリーがほほえむと、ぼうしから鳥や魚がとびだし、おばあさんのぼうしにうつっていった。
・うれしくなったミリーがうたうと、ぼうしもいっしょにうたった。
・ミリーは家に帰り、ぼうしが大きくて家に入れなかったので、ちがうぼうしをそうぞうした。
・ミリーはママにあたらしいぼうしを見てもらうが、ママには見えないので少しおどろいた。
・でも、ママは、「すてきね。ママも、ぼうし、ほしいな」とこたえることにした。
・ミリーは「ママだってもっているのよ、ほんとうは。そうぞうすればいいの。」と言った。
・そうだ。だれでももっている、じぶんだけのすてきなぼうしを。
なお、この部分については、リライト教材として、漢字に読みがなをつけたものを、姉妹ブログの「よみもの」に用意しています。
ミリーのすてきなぼうし(あらすじ)に進む(外部リンク・よみもの)
<場面>
ここでは、このブログで紹介している5場面に分け、1場面を40字程度にまとめてみます。
① ミリーは、ぼうしやさんの前で、色とりどりのぼうしが気に入り買うことにした。
② ぼうしを買おうとしたが、お金がなかった。でも店長さんがすてきなぼうしを売ってくれた。
③ ぼうしをかぶったミリーが、いろいろなぼうしをそうぞうすると、いろいろなぼうしにかわった。
④ 家に帰り、ミリーはママにぼうしを見せたが、ママにはぼうしが見えなかった。
⑤ ミリーは「だれでもすてきなぼうしをもってるの。そうぞうすればいいの。」と言った。
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この物語は、ミリーの心の中の出来事が、本当にあったことのように描かれています。やさしいぼうしやの店長が、ただでぼうしを売ってくれます。そして、ミリーがいろいろなぼうしを想像すると、ぼうしはその度にいろいろなぼうしに変わります。
最後に、ミリーはママに言います。「ママだってもっているのよ、ほんとうは。そうぞうすればいいの。」と言います。この物語は、想像することの楽しさを教えてくれます。
<人物の会話・行動>
○ 会話について
この物語では、重要な会話がいくつか出てきます。
1つめは、ミリーさんとぼうしやの店長との会話です。
「羽のついたぼうしを、見せてください。」
「はい、ただいま。」
「じゃあ、これください。」
「かしこまりました。」
「おねだんは、九万九千九百九十九円でございます。」
ちょっと足りないみたいです。
「あの、もうすこしやすいのありますか?」
「どのくらいのおねだんのものがよろしいでしょう。」
「あのー、これくらい。」
ミリーさんは、空っぽのおさいふを見せました。
「はあー、そのくらいですかー。」
「あっ、あります。」
「ちょうどよいのが、一つありました。しょうしょうおまちください。」
「これは、とくべつなぼうしです。
「大きさも形も色も、じゆうじざい。おきゃくさまのそうぞうしだいで、どんなぼうしにもなる、すばらしいぼうしです。」
「じゃあ、これにしますわ。」
こうして、ミリーさんは、ぼうしを買うことにします。
ここまでのやり取りを聞いていても、本当にやさしく思いやりがあり、素晴らしいアイディアをもち、子どもにもていねいに接することのできるすばらしい店長さんです。
2つめは、ミリーさんとママとの会話です。
「ママ、わたしのあたらしいぼうし、見て。きれいでしょ。」
「あたらしいぼうし。」
ママは、ちょっとびっくりします。ぼうしが見えなかったから。でもママはこうこたえます。
「まあ、すてきね。ママも、そんなぼうし、ほしいな。」
「ママだってもっているのよ、ほんとうは。そうぞうすればいいの。」
ママもとても優しい人です。そのママに対し、ミリーは想像することの大切さを伝えます。
○ 行動について
この物語では、ミリーの行動がとても面白いです。
お金をぜんぜんもっていないのに、ぼうしを買いにお店に入るのもとてもユニークです。
でも、親切な優しい店長さんの機転で、自由自在のぼうしを売ってもらうことができます。
その後、ミリーは、いろいろなぼうしを想像するという行動をします。その行動は成功します。
孔雀の帽子、ケーキの帽子、花いっぱいの帽子、噴水の帽子をかぶることができます。
おばあさんに微笑むことで、おばあさんの帽子に鳥や魚を渡すことできますし、帽子と一緒に歌を歌うこともできます。
<主題>
この物語の主題は、何でしょうか?
「想像することの楽しさ」ということかもしれません。想像することで、誰でも自分だけの素敵な帽子をかぶることができます。もしかすると、帽子以外のものも創造できるのかもしれません。
想像し人生を楽しくすること、それがこの物語の主題なのかもしれません。
<表現の工夫>
この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。
◯ ダッシュ(ー)
ダッシュがたくさんたくさん使われています。
ダッシュを使うことで、ミリーや店長さんやママが色々と考えていることがわかるようになっています。
◯ 倒置法
普通の文の書き方ではなく、言いたいことを強調するために、文の順番をいれかえることです。
・ママだって、もってるのよ、ほんとうは。そうぞうすればいいの。
・そうです。だれだってもっているのです。じぶんだけのすてきなぼうしを。
<まとめにかえて>
この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。
教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。
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この教材は、「お気に入りの本をしょうかいしよう」という単元に載っている教材です。
お気に入りの本をしょうかいしよう 読書のすすめ(7)に進む(内部リンク)
物語文の教材研究については、次のページをお読みください。
物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む(内部リンク)
物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む(内部リンク)
他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。
ふきのとう 教材分析034に進む(内部リンク)
風のゆうびんやさん 教材分析038に進む(内部リンク)
かさこじぞう 教材分析⑦に進む(内部リンク)
スーホの白い馬 教材分析012に進む(内部リンク)
名前を見てちょうだい 教材分析050に進む(内部リンク)
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