おにぎり石の伝説 教材分析112

教材分析
つばさ
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新しい教材の「おにぎり石の伝説」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、5年生の教科書に載っている「おにぎり石の伝説」の教材分析をします。

 この教材は、2024年(平成6年)の4月から採択されている教科書で新たに付け加えられた教材です。

おにぎり石の伝説:教材分析

🟠おにぎり石の伝説:教材分析

 この作品は、東京書籍の5年生の教科書に載っています。2024(令和6)年からの新教材です。  

<作者>

 戸森しるこ(ともり・しるこ)さん

 西村ツチカ(にしむら・つちか)さん

 出典:この教科書のために書き下ろしされました。

 戸森しるこさんについて

 1984年(昭和59年)生まれです。日本の児童文学作家です。

 埼玉県生まれです。「ぼくたちのリアル」(講談社・2016年)で講談社児童文学新人賞、児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞のフジテレビ賞を受賞しました。「ゆかいな床井くん」(講談社・2018年)で野間児童文芸賞を受賞しました。

 戸森さんは、空想好きの子どもだったそうで、一日の大半を現実とは違う世界で過ごしていました。そして、それを普通と思っていたそうです。でも、大学生になり、急に現実が忙しくなってきて、ふと気がついたら心の中の空想のキャラクターがいなくなっていました。しかも、いなくなっても平気な自分がいることにひどくショックを受けて、そのことが原因で大学を一年休学したそうです。

 当時通っている心療内科の先生に、「物語を書こうと思う」と言ったら「それはすごくいい」と賛成してもらえ、書きはじめたら元気になれたそうです。

<題名>

 題名は「おにぎり石の伝説」です。

 おにぎり石というのは何かな、と子どもがとても興味をひくような題名ですし、その上、その伝説とは何かな、と、さらに興味をもつ題名だと思います。

<設定>

 いつ(時):ある日。

 どこ(場所):学校のうら庭。

 だれ(登場人物):五年二組の女子の間。

<人物>

 ぼく……主人公。このお話を伝えている人。名前は、真。

 ぼくたち……ぼくと同じ五年二組の友だち。

 女子……ぼくと同じ五年二組のクラスメイト。

 先生……五年二組の担任の先生。

 一成……じゅくで仲良くなった五年一組の友だち。

<あらすじ>

・始まりは、こんな一言だった。「この石、なんだかおにぎりみたい。」

・その一言がきっかけで、空前のおにぎり石ブームが始まった。

・それは、すべすべした手ざわりの、小さな三角形の石で、指先サイズのおにぎりに見えた。

・おにぎり石は、学校のうら庭のじゃりがしかれた場所で、ふつうの石にまぎれて発見された。

・集中してさがして、せいぜい一日一個、とてもラッキーな感じのする確りつで見つかった。

・初めは、五年二組の女子の間で、おにぎり石が人気になり、ぼくたちもつられ始めた。

・おにぎり石にまつわる、みょうなうわさ話が聞こえるようになった。

・その昔、あるたんけん家が、なぞの「おにぎり島」から持ち帰った石、この学校ができる前、ここに「おにぎりランド」があった、きょうふの「おにぎり大魔王」ののろいの石など、数々の「おにぎり石伝説」に、ぼくらはうっかりむねをおどらせた。

・休み時間には、みんなでおにぎり石さがしをし、担任の先生のつくえの上に石がかざられた。

・見つけられるとクラスの人気者。石をさがしながら、ぼくは少しもやもやしていた。

・ある日、じゅくで仲良しの一成から「真のクラス、変じゃない? うら庭に何があるの?」

と聞かれた。一成は、となりのクラス、五年一組だ。

・ぼくは、ぎょっとした。なぜなら、ほかのクラスにはひみつという暗もくのルールがあったから。

・ぼくはおにぎり石を自まんしたいのと、一成の口が固そうだったので、話すことにした。

・「実は、これをさがしているんだ。貴重なんだ。伝説のおにぎり石だ。」

・一成がとつぜん、「ぷっ。」とふき出した。ぼくはむっとし、「何で笑うんだよ?」と聞いた。

・「ごめん。とりあえず、明日の放課後、うちに来てよ。話はそれからだ。」意味がわからない。

・次の日、ぼくは、初めて一成の家に行った。屋根が三角。まるでおにぎり石のような三角屋しき。

・「いらっしゃい。庭へどうぞ。」一成は、ぼくを庭に案内してくれた。

・ぼくがそこで目にしたのは、何千、何万のおにぎり石の大群だった。

・一成は言った。「これは人工的に作られた石だよ。もちろん、大魔王の呪いのわけもない。」

・ぼくは絶句だ。「学校のおにぎり石は……?」

・「知らないけど、カラスなんかが、ここから持っていくんじゃないか?」

・一成は心配そうに言った。「言わないほうがよかった? 二組の夢がこわれたかなあ。」

・ぼくは首をふり、あることを思いつき「ちょっとお願いがある」と言った。

・次の日の放課後、五組二組のみんなは、おにぎり石さがしを中だんし、一成の家に集まった。

・おにぎり石だらけの庭を見ると、みんなあっけにとられながらも、やっぱりよろこんでいた。

・「おにぎり石パラダイスだ。」「最高すぎる!」「一つもらっていい?」

・ぼくは、タイミングを見計らって、わざと水を差すようなことを言った。

・「でも、たくさんあると、なんだかかちが下がる気がしないか?」

・空気が読めないやつだって、言われるかもしれない。ぼくは一成に目くばせした。

・「おいおい、勝手にやってきて、失礼なやつだなあ。」と計画通りに、おどけて言った。

・「確かに、こんな石のどこがいいんだろうって、ぼくは思っちゃうけどね。」

・一成の冷静な一言を聞いて、みんなは顔を見合わせた。いっしゅんの後、だれかが言った。

・「真の気持ち、分かるよ。めったに見つけられないのが、よかったんだよな。」

・そうしたら、みんなも口々に同じことを言い始めた。気持ちが伝染していった。

・最終的に「がっかりだよ。」と言い合い、かたを落としながら、みんなでえがおになった。

・おにぎり石の庭で、ぼくたちはそろってくすくす笑っていた。こんなのは久しぶりだ。

・「一つずつなら、持って帰っていいよ。」一成は言ったけど、、持ち帰ろうとするやつは、もう一人もいなかった。むしろ、おにぎり石を庭に「返きゃく」するやつも出てきた。

・おにぎり石のせいで、クラス内にびみょうな上下関係ができ始めていたことに、みんな気づいていたんだと思う。

・ゲームを終わらせるためには、何か強力なパワーかアイテムが必要だったんだ。

・新たな気持ちで見てみると、おにぎり石は、とてもきれいで、すごくユニークな石だった。

・みんなが帰った後、ぼくは一成にお礼を言った。

・「ありがとう。確かにぼくたち、何かにとりつかれていたのかもしれない。」

・これで、ぼくたちのおにぎり石伝説は終了、一件落着ってわけだ。

・えがおで片手をあげた一成の手をパンとたたいて、ぼくはそう思った。

<場面>

 この物語は、場面と場面の間に1行空きで、5つの場面に分けて書かれていますので、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

①  ぼくのクラスでおにぎりの形をした石をさがすおにぎり石ブームが始まった。

②  ある日、となりのクラスの一成におにぎり石の話をすると、一成はふき出した。

③  一成の家に行くと、庭にはおにぎり石の大群があり、人工的な石だと説明された。

④  クラスのみんなを一成の家に集め、石にかちがないことを言うと、みんな同意してくれた。

⑤  ぼくは一成にお礼を言い、ぼくたちのおにぎり石伝説が終わったことをよろこんだ。

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<人物の会話>

 このお話に出てくる会話文は、たくさんあります。クラスの仲間がたくさん出てきますので、様々な会話が出てきます。

 でも、一番重要な会話文は、最初に出てくる次の会話でしょう。

「この石、なんだかおにぎりみたい。」

 この一言がきっかけで、主人公の真のクラスでは、おにぎり石ブームが始まります。

 そして、次のような会話が口に上ります。

「すべすべしていて、ふつうの石とはちがう気がする。」

「こんな石が自然にできるなんて、不思議だよね。」

「見つけた人は、幸せになれるらしいよ。」

 このようなクラスの会話は時折、書き表せられていて、クラスの雰囲気がよく分かります。

 重要な会話はたくさんありますが、特に重要な会話は、真と友だちの一成との会話です。

 おにぎり石のすばらしさを語る真に対して一成は「ぷっ。」とふき出します。

「何で笑うんだよ?」

「ごめん。とりあえず、明日の放課後、うちに来てもらっていいかな。話はそれからだ。」

 そして、次の日、一成の家に行くと、一成はたくさんのおにぎり石を見せてこう言います。

「これは人工的に作られた石だよ。自然にできた物ではないし、もちろん、大魔法ののろいのわけもないし。」

「でも、じゃあ、学校のおにぎり石は……?」

「知らないけど、例えばカラスかなんかが、ここから持っていくんじゃないか? いたずらか、ちょっとした思いつきでさ。どっちにしても、深い意味なんかないよ。」

 たくさんの石を見たぼくは、クラスのみんなを集め、おにぎり石についてこう言います。

「でもさ、こんなにたくさんあると思うと、なんだかかちが下がるような気がしないか?」

 そして、一成との計画通り、みんなの気持ちを、おにぎり石から変えることに成功します。

<人物の行動>

 この物語に限ったことではありませんが、世の中には、様々なブームがいつの間にか始まり、やがてブームは終わります。

 この物語では、「この石、なんだかおにぎりみたい。」の一言から、五年二組のおにぎり石ブームが始まります。みんな、休み時間には、先を争っておにぎり石を探し、様々なおにぎり石のうわさ話が生まれます。

 そして、主人公のぼくである真は、となりのクラスの一成におにぎり石は人工的な石であることを知らされます。

 そして、このブームを終わらせるように、一成と計画し行動をします。

 クラスのみんなを一成の家の庭に集めます。たくさんのおにぎり石を見て喜ぶみんなに対して、「でもさ、こんなにたくさんあると思うと、なんだかかちが下がるような気がしないか?」と言います。そして、予定通り、一成に次のようなせりふを言ってもらいます。

「おいおい、勝手にやってきて、失礼なやつだな。」

「確かに、こんな石のどこがいいんだろうって、ぼくは思っちゃうけどね。」

 この言葉を聞いて、「真の気持ち、分かるよ。めったに見つけられないってところが、よかったんだよな。」という言葉に続き、みんなも口々に同じことを言い始め、いっせいに色が変わるみたいに、気持ちが伝染していきます。

 このようにして、あれほど加熱したおにぎり石のブーム伝説は終了し、一件落着します。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 集団があると、何かのきっかけで、ブームが始まり、加熱し、やがてブームが終わるということかもしれません。

 あるいは、集団があると、なぜか自然と上下関係が生まれてしまうということかもしれません。

 あるいは、仲のいい友達とうまく計画すると、何かに取りつかれたような状態からみんなを解き放ち、えがおをとりもどせることできるようになる、ということかもしれません。

 このお話を読み、学級で主題について自由に話し合ってみるという学習活動を計画するのも楽しいものになるかもしれません。

<表現の工夫>

 このお話での表現の工夫の一つは、推理小説のように、種明かしを少しずつする表現方法にあります。

 第2場面で、伝説のおにぎり石について語るぼくの様子と一成の様子を次のように書きます。

・石にまつわる伝説を三つほど語り終えたところで、一成がとつぜん、「ぷっ。」とふき出したから、ぼくはむっとした。

「何で笑うんだよ。」

「ごめん、とりあえず、明日の放課後、うちに来てもらっていいかな。話はそれからだ。」

 意味が分からない。

 その答えは、第3場面に書かれています。

 同じように、おにぎり石が人工物だと知ったぼくは、ある計画を思いつき、第3場面の最後に次のように書かれています。

・確かに夢から覚めた気分だったけど、そのおかげで、ぼくはあることを思いついたのだった。

「ちょっとお願いがあるんだけど。」

 そして、その答えは、第4場面に書かれています。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

世界でいちばんやかましい音 教材分析003に進む内部リンク

大造じいさんとガン 教材分析009に進む内部リンク

海の命 教材分析020に進む内部リンク

雪の夜明け 教材分析023に進む内部リンク

なまえつけてよ 教材分析032に進む内部リンク

サボテンの花 教材分析039に進む内部リンク

だいじょうぶ だいじょうぶ 教材分析040に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

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