かさこじぞう 教材分析007

教材分析
つばさ
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かさこじぞう」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、これを書いたのが、大晦日を次の日に控えた日でしたので、「かさこじぞう」です。

かさこじぞう:教材分析

🟠さかこじぞう:教材分析

 この教材は、東京書籍、学校図書、教育出版の2年下に掲載されています。

 現在発行されている国語の教科書4つのうち3つに掲載されている作品です。

<作者>

 岩崎京子(いわさき きょうこ)作

 出典:「かさこじぞう」(ポプラ社・1967年)

 岩崎京子さんについて

 1922年、東京生まれの児童文学作家です。恵泉女学園高等部を卒業されました。その後、同人雑誌「童話」に作品を発表しました。1959年発表の「サギ」で、日本児童文学者協会新人賞を受賞します。動物や自然を愛する誠実な人間の姿を淡々と描く作風です。たくさんの日本の民話を再話し、創作されています。

<題名>

 題名は「かさこじぞう」です。

<設定>

 いつ(時):むかしむかし

 どこ(場所):あるところ

 だれ(登場人物):じいさまとばあさま

<人物>

 じいさま……たいそうびんぼう。自分のてぬぐいをじぞうさまにあげるくらいやさしい人。

 ばあさま……じいさま同様やさしい人。

 町の人………正月買いもんの人や、それらを売る人。まつを売る人もいる。

 じぞうさま…じぞうさまは六人いる。じいさまとばあさまに正月のしなをとどける。

<あらすじ>

・むかしむかし、あるところにじいさまとばあさまがあった。

・二人はびんぼうで、やっとくらしていた。

・ある年のおおみそか、じいさまとばあさまは、もちこを買うためにすげがさを作ることにする。

・かさを五つもって、じいさまは町に売りに出かける。

・町には大年の市が立ち、にぎやかで、売る人にまざって、じいさまもかさを売ろうとする。

・しかし、かさは売れない。仕方なく家に帰ることにする。

・じいさまは、村の外れの野っ原に来ると、じぞうさまが六人立っていることに気づく。

・じいさまは、じぞうさまの雪をかきおとすと、売るもののかさをかぶせていく。

・しかし、六人のじぞうさまに対して、かさこは五つなので足らない。

・じいさまは、自分のつぎはぎのてぬぐいをとると、いちばんしまいのじぞうさまにかぶせる。

・家に帰り、かさが売れなかったことと、じぞうさまにかさをかぶせた話をばあさまにする。

・ばあさまはいやな顔ひとつしないで、いいことをしたと、言う。

・二人は、もちつきのまねごとをする。

・二人は、つけなをかみ、おゆをのんで休む。

・ま夜中、そりを引くかけ声がして、じいさまはふしぎに思う。

・耳をすますと、じさまとばさまの家をさがして、歌を歌っている声が聞こえる。

・そして、そりは二人の家のまえでとまると、なにかを下ろしていく。

・二人が外に出ると、空ぞりを引く六人のじぞうさまのすがたをみかける。

・二人は、じぞうさまにもらったものでよい正月をむかえることができた。

<場面>

 ここでは、このブログで紹介している5場面に分け、1場面を30字程度にまとめてみます。

①まずしいじいさまとばあさまは正月のしなを買うためにかさを作る。

②じいさまは、町にかさを売りに行かけていくが、ひとつも売れない。

③雪の中、じいさまは6人のじぞうさまを見つけて、かさをかぶせる。

④じいさまをやさしくむかえた後、二人はもちつきのまねをしてねる。

⑤ま夜中、六人のじぞうさまは、正月のしなをそりで二人にとどける。

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 この物語は、典型的な昔話の書き出して始まります。

 民話にありがちな、ハッピーエンドのお話です。

<人物の会話>

 この物語には、重要な会話がいくつかあります。

 会話の中には、じいさまとばあさまの優しさがあふれた会話がたくさんあります。

 1つめの重要な会話は、じいさまのじぞうさまに対する会話です。

「おお、お気のどくにな。さぞつめたかろうのう。」

「こっちのじぞうさまは、ほおべたにしみをこさえて。それから、このじぞうさまはどうじゃ。はなからつららを下げてござらっしゃる。」

「そうじゃ、このかさこをかぶってくだされ。」

「おらのでわりいが、こらえてくだされ。」

「これでええ、これでええ。」

 これらの会話には、自分のことよりも、じぞうさまを気づかうじいさまの優しさがたくさん込められています。

 2つめの重要な会話は、ばあさまのじいさまに対する会話です。

「おお、じいさまかい。ざぞつめたかったろうの。かさこは売れたのかね。」

 よく言われることですが、ばあさまは、かさが売れたかどうかを先に聞くよりも、じいさまの体のことを心配しています。

<人物の行動>

 じいさまやばあさまの行動にもやさしい行動がたくさんあります。いくつか書きます。

 1つめは、二人がすげがさをいっしょめんめいつくることです。

 2つめは、じいさまが、じぞうさまに行う一連の行動です。

 ・じぞうさまのおつむの雪をかきおとす。

 ・ぬれてつめたいじぞうさまの、かたやら、せなやらをなでました。

 ・売りもののかさをじぞうさまにかぶせると、かぜでとばぬよう、しっかりあごのところで結んであげました。

 ・自分のつぎはぎの手ぬぐいをとると、いちばんしまいでのじぞうさまにかぶせました。

 ・やっとあん心して、うちに帰りました。

 3つめは、おばあさんのおじいさんに対する行動です。

 ・すると、ばあさまはいやな顔ひとつしないで

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 それは、心のやさしい老夫婦が、かさをさし上げたおじぞうさまのおかげで楽しいお正月が迎えられたということです。

 人々のよい行ないには、よい結果がもたらされるということかもしれません。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

 1つは、最初と最後の文章が「と」で終わっていることです。

 格助詞の「と」があることで、引用や伝聞であることを示しています。このお話が話者の体験ではなく、話者の伝え聞いたお話を語っていることがわかります。

 その他、たくさんあります。

 この作品の表現について、詳しく考察した論文があります。

 現在、京都教育大学教育学部准教授寺田守さんの書かれた「かさこじぞう(岩崎京子)」という文章です。ぜひ、お読みください。

かさこじぞう(岩崎京子)に進む外部リンク

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

初雪のふる日 教材分析①に進む内部リンク

世界一美しいぼくの村 教材分析②に進む内部リンク

世界でいちばんやかましい音 教材分析③に進む内部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 2年生の子どもいた物語

絵本  みくのふしぎなピアノに進む内部リンク

 

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