体罰から子どもを守る 安全教育⑱

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つばさ
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体罰から子どもを守ることは大切ですね。

 最近、保育所で乳幼児が保育士から体罰や虐待を受けたという事件があり、ニュースで大々的に取りあげられました。

 小学校などの学校でも、時折、体罰が問題になることがあります。

 今回は、「体罰から子どもを守る」ことについて書きます。

体罰から子どもを守る

🟠体罰から子どもを守る

<体罰とは>

 体罰とは、教員や保育士、親や保護者などの子どもを守るべき立場の人間が、乳幼児や児童や生徒への保育や教育や家庭などの場において、その身体に対して直接的または間接的に肉体的苦痛を与える行為をいいます。

 「学校教育法」第11条には、次のように書かれています。

 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。 ただし、体罰を加えることはできない

学校教育法

 
 また、「児童虐待の防止等に関する法律」第14条には、次のように書かれています。

 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない

児童虐待の防止等に関する法律

<学校における体罰>

 学校における体罰について考える際、問題になるのが「懲戒」との違いです。

 懲戒とは、教員が児童・生徒に対して、問題になる言動の再発を防ぐという教育目的に基づいて、行為や制裁を与えることです。

 体罰を禁止しながらも、教育上の必要がある場合の懲戒は可能と明記しているので、懲戒は法律で認められています。

 懲戒には、退学・停学・訓告のほかに、注意・警告・叱責・説諭・訓戒といった方法があります。

 懲戒は、懲戒権にもとづいて、基本的に言葉による注意を与えることですが、いずれの方法でも、児童・生徒にとって不利益ではあるものの、肉体的な苦痛を伴いません。

 懲戒において、子どもに肉体的な苦痛を与えないということはとても大切です。

 教師が行う体罰にあたる行為には、次の3種類があります。

・傷害行為

・危険な暴力行為

・暴力行為

 当然、これらの行為は、決して許されるものではありません。暴力を伴う指導は、指導の名に値しません。時には、犯罪行為として逮捕されたり、法的な刑罰に問われることもあります。

 子どもが、大人から体罰を受けて、一時的に不適切な行為をやめたとしても、本当の意味で不適切な行為のよくないことがわかって、やめているわけではなさそうです。

<教員などの取るべき対応策>

 子どもの健全な成長のためには、効果のある適切な指導法を模索すべきです。

 子どもの成長を願って、子どもを冷静に叱ることはとても大切です。しかし、感情に任せて、子どもを怒ることは効果がなさそうです。

 子どもの行為に対して怒りが増した際には、「アンガーマネージメント(怒りの管理方法)」を実施することが大切なようです。

 アンガーマネージメントの具体的な方法としては、「怒りを感じたら最初の6秒をやり過ごすことが大切だ」とされています。 6秒待つことで冷静さが生まれ、相手への怒りが失速し、落ち着いて話したり、対応したりすることができるようになるそうです。 怒りを感じたら、頭の中で、「1、2、3…」と数を数えることを習慣にするといいみたいです。

日本アンガーマネジメント協会のホームページに進む外部リンク

ほめ方・しかり方 小学校初任者研修011に進む内部リンク

説教の効果はその長さと反比例するに進む内部リンク

<大阪市における10年前の事件>

 大阪市立桜宮高等学校(現、大阪府立校)では、今から10年前2012年(平成24年)12月23日バスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が男性顧問(当時)からの体罰を苦に自殺する事件が起こりました。顧問は懲戒免職となり、傷害罪などで有罪判決が確定しています。

 事件当時、男子バスケットボール部の顧問は、日本バスケットボール協会の公認コーチ資格を持つ優秀な教員でした。チーム強化やプレー向上には、対抗試合の勝利へと繋がる有効手段として体罰を伴う指導が効果的という認識であったみたいです。

 桜宮高等学校は、正課として体育科およびスポーツ健康科学科を設置しています。運動部活動を活発に行い、高い成果を目標に掲げる方針もありました。顧問の教員が行う指導方法は、赴任当初から、卒業生や保護者などから高評価を得ており、クラブ活動の指導上の体罰も、是認・推奨とされたみたいです。この顧問の手腕で、バスケ部は全国大会の常連チームへ成長しており、保護者らも熱心に応援し、市内でも有数の強豪チームに育っていました。

 しかし、熱心とされた体罰を伴う指導方法は、男子生徒の自殺により、糾弾されることになります。

 その後、大阪市教育委員会では、「体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくりのために」~体罰・暴力行為の防止及び発生時の対応に関する指針・児童生徒の問題行動への対応に関する指針~」を作成し、全市をあげて、体罰撲滅に取り組みました。

体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくりのためにのページに進む外部リンク

<最近の大阪市の様子>

 2022年12月22日に配信された毎日新聞のニュースサイトには、「体罰処分の教員、大阪市が全国最多 市立学校で8年間798人」という、次のような記事があります。

 大阪市立学校で体罰を理由に処分された教員が2013~20年度の8年間で延べ798人に上ることが市教育委員会への取材で判明した。

 文部科学省の統計では全国の自治体で最も多い。大阪市では12年に生徒が自殺した市立桜宮(さくらのみや)高校の体罰事件をきっかけに暴力根絶の取り組みが進むが、今も教育現場で体罰がはびこる実態が浮かび上がった。

 市教委によると、処分の内訳は停職や減給などの懲戒処分が84人、懲戒に至らない文書訓告や口頭注意などが714人だった。処分が重い懲戒処分は内容や理由が原則発表されるが、懲戒に至らない処分の詳細は公表されていない。(中略)

 事件後、大阪市では体罰や暴力行為への処分基準を改め、子どもに非がない場合は必ず懲戒処分を科すなど厳罰化した。学校では少なくとも年2回、児童生徒に体罰被害の有無を聞くアンケートをしている。こうしたこともあり、12年度に9人だった処分人数は、翌年度には371人に急増した。その後は減少傾向にあるが、いまだに処分される教員が後を絶たない。

 市教委の担当者は「事件以降、疑わしい事案も厳しく対応し、報告も徹底させて顕在化させてきた」とした上で、絶えない処分に「誠に遺憾。取り組みを一層推進させたい」と話した。 

2022年12月22日に配信された毎日新聞のニュース

毎日新聞のニュースに進む外部リンク

 大阪市では、体罰撲滅に向けて、様々な方策をとっているみたいです。

 しかし、なかなか撲滅には至っていないのが現状のようです。

<体罰を見かけたら>

 自分自身が体罰をしないのは大切なことですが、もし体罰を見かけた場合は、適切な対応をとることも大切です。

 学校の管理職、教育委員会、警察、児童相談所など、子どもを守る立場の公的な機関などに通報し、子どもが体罰を受けている状態から抜け出す具体的な対応策をとることが大切です。

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