食物アレルギーから子どもを守る 安全教育⑰

安全教育
つばさ
つばさ

食物アレルギーから子どもを守ることは大切ですね。

 子どもの中には、食物アレルギーの子どもがいます。

 食物アレルギーは、時に、子どもの命を奪うことがあります。

 今回は、「食物アレルギーから子どもを守る」ことについて書きます。

食物アレルギーから子どもを守る

🟠食物アレルギーから子どもを守る

<食物アレルギーとは>

 食物アレルギーは、乳幼児から大人まで幅広い年齢層で見られるアレルギー症状です。

 人それぞれ反応する食材が違います。

 アレルギー症状を起こす代表的な食材は、鶏卵、乳製品、小麦などです。

 その他、クルミやカシューナッツなどの木の実類、落花生、キウイフルーツやバナナなどのフルーツ、イクラやたらこなどの魚卵、そば、大豆、魚類などがあります。

 主な症状としては、目のかゆみ、せき、じんましん、嘔吐などです。

 時には、複数の症状が全身に出るアナフィラキシーショックになります。

 アナフィラキシーショックが起こった場合に、すぐに適切な処置をしないと亡くなることもあります。

 2013年(平成25年)の調査では、食物アレルギーの子どもは、小中高校生のうち、4.5%(約40万8千人)の子どもがもっているとされています。

<10年前の出来事>

 この記事を書いているのは2022年(令和4年)の12月20日です。

 ちょうど今から10年前の2012年(平成24年)12月20日に東京都調布市の小学校で一人の小学校5年生の女の子が給食に出たチヂミを食べて、食物アレルギーで亡くなるという悲しい事件が起こりました。

 女の子は、乳製品にアレルギーがあり、普段は、乳製品を取り除いた「除去食」を食べていました。

 普段その女の子は、めったにお代わりをすることはありませんでしたが、学級では、「給食を完食すること」を目標にしていました。チヂミはあまり人気がなかったので、その女の子は、学級の目標達成に貢献しようと、チヂミを食べました。

 そのチヂミの中に、乳製品が入っていて、女の子は気分が悪くなり担任に訴えました。

 まもなく、その女の子は、アレルギーの全身症状であるアナフィラキシーショックになりました。その女の子は、反応を抑える「エピペン」を持っていましたが、学校関係者がすぐに打つことはありませんでした。

 学校長が、女の子にエピペンを打ったのは、異変から14分後のことでした。

 この事故では、様々な問題が指摘されています。

  1. クラスに完食する目標があり、担任がお代わりする人を募った
  2. チヂミの欄に「×」印があったのに、担任は確認しなかった
  3. 不調を訴えた後、安静にすべきなのに、背負ってトイレに連れて行った
  4. すぐにエピペンを打たなかった

 どれか1つでも、正しい判断をしていたら、この死亡事故は防げただろうと言われています。

<食物アレルギーへの対応>

 学校では、給食を提供することが基本です。

 そこで、食物アレルギーをもつ子どもに対して適切な対応が必要です。

 大きな柱は、次の3つです。

 ・保護者との連携と情報共有

 ・日常的な取り組み

 ・緊急時の対応

 それぞれについて詳しく書きます。

<保護者との連携と情報共有>

 食物アレルギーをもつ子どもの情報を正確につかみ、保護者と連携しつつ、学校の全教職員で情報の共有を行うことが大切です。

 保護者から正確な情報を得ることが大切です。

 誰がどのような食物アレルギーをもっているのかを把握し、全教職員で確認しておく必要があります。

<日常的な取り組み>

 学校全体で日常の取り組みを行うと共に、事故の防止に取り組むことが大切です。

 担任や管理職、養護教諭、栄養教諭など一部の教員だけが情報を知っているのではなく、食物アレルギーをもつ子ども一人ひとりに対して、各教職員の役割を明確にしておく必要があります。

 該当食材が給食に含まれる場合は、職員室の前面黒板などに掲示するなど、どう対応するのか決めておく必要があります。

(児童名、学年組、完全除去、部分除去、給食の代わりになる弁当の持参の有無などの掲示)

<緊急時の対応>

 緊急時に適切に対応することが大切です。

 もし万が一食物アレルギーが起こった場合、迅速に適切に対応するために、学校体制やマニュアルを整備しておきます。

 本人対応だけでなく、病院、消防署、保護者、教育委員会などに誰が連絡するのかなど連絡体制などを整えておく必要があります。

 また、年に数回は、食物アレルギーになった場合のエピペンの使い方など、緊急対応のための講習会などを開く必要があります。

 先程書いた調布市の例では、救急車を呼んだり、保護者を呼んだりしている間に時間が過ぎてしまい、エピペンを打つという適切な対応ができませんでした。

 何を最優先すべきか、教職員が対応策を把握しておく必要があります。

<調布モデル>

 調布市では、この事故を教訓にして、「調布モデル」という食物アレルギー対策を作りました。

普通食を除去食の見た目を変える

 例えば、普通食は紙を使うが、除去食にはアルミを使うなどすぐ見てわかるようにしました。

トレイの色を変える

 普通食の子どもはグリーン、除去食の子どもはピンクを使います。給食で提供されない食材にアレルギーがある子どもは、ブルーのトレイを使い、異変があれば、アレルギーかもと気付きやすいようにしました。

アレルギー対応の献立表を複数のものがもつ

 担任、栄養士、管理職、保護者が同じ献立表を持ち、複数の目で確認するようにしました。

調布市立学校食物アレルギー対応マニュアルに進む外部リンク

<子どもへの認識を深める>

 食物アレルギーに対する子どもの認識を、食物アレルギーがある子どもに対しても、食物アレルギーのない子どもに対してもきちんとする必要があります。

 食物アレルギーについて、子どもが読んでもわかる簡単な文章を、私の作っている姉妹ブログの「よみもの」に載せています。併せてお読みください。

食物しょくもつアレルギーとは?に進む外部リンク・よみもの

食物しょくもつアレルギーになる理由に進む外部リンク・よみもの

⭐️     ⭐️

 なお、「安全教育:子どもを守ること」に関係する記事を集めた一覧表は次のページにあります。

安全教育:子どもを守る 一覧表に進む内部リンク

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました