虐待から子どもを守る方法について知りたいです。
虐待は、残念なことに、多くの家庭で起こっています。
虐待を早期発見し、子どもが安全に安心して暮らせることはとても大切なことです。
今回は、「虐待から子どもを守る」ことについて書きます。
虐待から子どもを守る
🟠虐待から子どもを守る
<児童虐待の定義>
児童虐待防止法第ニ条では、「児童虐待」の定義を次のように定めています。
第二条 児童虐待防止法において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
児童虐待防止法
また、厚生労働省のホームページによりますと、「児童虐待」は、4種類に分類されます。
身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つです。
それぞれの虐待について具体的には、次のように書かれています。
身体的虐待
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
<児童虐待の実態>
令和4年(2022年)9月9日に、児童虐待の令和3年(2021年)度の実態の報告が、厚生労働省から発表されました。
それによりますと、次のような数値でした。
児童相談所での虐待相談の内容別件数 令和3年(2021年)度 (速報値)
心理的虐待 124,722(60.1%) (+3,388)
身体的虐待 49,238( 23.7%) (▲797)
ネグレクト 31,452( 15.1%) (+22)
性的虐待 2,247( 1.1%) (+2)
総数 207,659(100.0%) (+2,615)
令和4年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料より ※ 項目の順番を数値の大きい順に、引用者により変更している
子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は、昨年度は全国で20万7659件で、その前の年よりも2615件増え、過去最多を更新しています。
虐待の内容別でみると、暴言を吐いたり、子どもの目の前で家族に暴力を振るったりする「心理的虐待」が12万4722件で最も多く、全体のおよそ6割を占めています。増加件数は、3388件でした。
次に多いのは、殴るなどの暴行を加える「身体的虐待」が4万9238件で全体の23.7%です。こちらは、797件少なくなっています。
3番めは、子どもの面倒をみない「ネグレクト」で、3万1452件で全体の15.1%です。増加件数は22件です。
4番めは、「性的虐待」の2247件で、1.1%です。
厚生労働省は、前の年度よりも対応件数が増えた要因として、相談窓口の普及などにより、家族や児童本人などからの通告が増えたことをあげています。
また、会議の資料の中で、児童虐待の発生予防・早期発見策として次の5つをあげています。
①相談・支援につながりやすい仕組みづくりや相談窓口の周知
②学校等における虐待等に関する相談体制の強化
③学校・教育委員会における児童虐待防止・対応に関する研修等の充実
④地域における身近な相談機関の新たな整備と家庭支援事業の実施
⑤支援を必要とする妊婦への支援の強化
この5つの対策の中で、学校が2つ出ていることからも考えて、児童虐待において、学校の役割が高く、大いに期待されていることがわかります。
ここに挙げた資料のいくつかは、次のページにあります。興味のある方は、ぜひご覧ください。
令和4年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料に進む(外部ページ)
<学校における児童虐待防止の具体的な手立て>
学校では、多くの場面で、子どもが虐待を受けていないかどうかを把握しようとしています。
多くの教職員が、普段の子どもの言動から、子どもが、保護者や同居家族などから虐待を受けていないかどうかを把握しようとします。
具体的には、子どもの服装、表情、持ち物、顔や体の傷、言動などです。
身体測定の際などには、養護教諭は、さりげなく子どもの身体に怪我や青あざなどがないかどうかを見ています。また、体重が減少していないか、前回の結果と比べてみています。
顔などに、大きな怪我をしてきた場合は、担任の教員は、さりげなく子どもから、なぜ怪我をしたのかを聞きます。
虐待が疑われる場合や具体的に虐待が把握できた場合には、児童相談所などに通告します。
子どもに明らかな危険が差し迫っている場合は、児童相談所が、先に子どもを保護した上で、他の児童相談所の職員が、保護者などから話をお聞きする場合もあります。
過去に虐待事例のあった子どもや、気になる子どもなどについては、児童相談所の担当者、役所の担当者、教育委員会の担当者、警察官、主任児童委員など、学校外の子どもを見守る役割を担う方々と情報交換の会議などをすることもあります。
勿論、学校関係者を含めて、それらの方々は、守秘義務がありますので、会議の内容が、見守りや虐待防止対策以外の目的で外部に漏洩することはありません。
<その他の虐待防止策>
東京都福祉保健局では、児童虐待を防止するために、市民向けに、「虐待に気づくためのチェックリスト」を作成し、配付・公開しています。
虐待に気づくためのチェックリストに進む(外部リンク)
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なお、虐待事件については次のページをお読みください。
保育園の虐待事件 教育ニュースに進む(内部リンク)
なお、「安全教育:子どもを守ること」に関係する記事を集めた一覧表は次のページにあります。
安全教育:子どもを守る 一覧表に進む(内部リンク)
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