公立学校の教員の採用 教育ニュース

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公立学校の教員の採用について知りたいです。

 最近の教員関係のニュースの1つとして、全国的に教員のなり手が減ってきており、教員採用試験を受験する数が減ってきていることがあります。

 令和4年(2022年)9月9日に、文部科学省が、「令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について」という資料を公開しました。

 そこで、今回は、「公立学校の教員の採用」について書きます。

公立学校の教員の採用

🟠公立学校の教員の採用

<教員を取り巻く現状>

 最近の教員関係のニュースの1つとして、全国的に教員のなり手が減ってきており、教員採用試験を受験する人数が減ってきていることがあります。

 原因として次のようなことが考えられます。

 1つは、教員の仕事内容は、ブラックであり、一般企業では当たり前の残業手当さえきちんと支払われていないという現状があります。

 2つめは、教員の仕事は忙しく、授業以外にも、様々なことをしなければいけないということがあります。

 3つめは、昔のように教員が、子どもや保護者や世間から尊敬されることも少なくなるばかりでなく、モンスターペアレンツと呼ばれる保護者などへの対応などで心を病んで、休職などに追いやられる教員も増えています。

 このような状況を知って、教員は魅力的な職業ではなく、教員になりたいと思う若者が減ってきています。

 上記のように考える人もたくさんいるとは思います。

 しかし、本当に教員になりたいと思う若者は少なくなっているのでしょうか?

 そんなことはありません。実は、教員に憧れ、教員をめざす若者はたくさんいます。

 教職をめざす若者は、どのような時代にも、たくさんいますし、たくさんいました。

 そして、これからもたくさんいると思います。

<教員になるためにはどうすればいいのか?>

 教員になるためには、自分の希望する学校や教科の免許状を取得する必要があります。

 そのためには、大学で教員になるのに必要な単位を取得し、教育実習を経験し、教員免許状を得る必要があります。

 職業として、長期的に安定した勤務をするためには、毎年夏に各自治体で行われる教員採用選考に合格する必要があります。

 しかし、必ずしも教員採用試験に合格しなければ、教員になれないわけではありません

 教員採用試験に不合格でも、教員になりたい人は、勤務を希望する自治体に「講師」として登録します。

 そして、必要な教員数に空きがあれば、教員になれます。職種にもよりますが、どこの自治体でも教員の数は足りていませんので、多くの場合、「講師」として採用されます。

 講師として勤務した時に、体罰をするなどの大きな失敗をして、教育委員会のブラックリストに載っていなければ、たいてい採用されます。

 数年前に、団塊の世代が大量に退職したこともあり、講師でよければ教員になることは、それほど難しくないかもしれません。

 しかし、安定した立場で、教員を職業として続けていくためには、多くの自治体で、毎年夏に行われる教員採用試験に合格し、「教諭」になる必要があります。

 「教諭」になれば、不祥事を起こして懲戒免職にでもならない限り、60才の退職まで勤務することができます。退職後も、再任用教員や講師として勤務を続けることができます。

<教員採用試験に合格するためには>

 教員採用試験に合格し、「教諭」になるためには、試験に合格するための学力や、教員としての資質を磨く必要がありますが、必ずしも、高い学力と教員としての資質があるから、必ず合格できるわけではありません。

 そこには、需要と供給のバランスが存在します。

 子どもの人数によって、その年にその自治体で、必要な教員の数は決まります。採用される教員の人数は、必要な教員数と、前年度の教員数と、退職した教員数によって変化します。

 子どもの出生率は、毎年減ってきていますので、必要な教員がずっと同じわけではありません。

 選考試験で教諭を大量に合格させ、採用した後、子どもの数が急激に減ってしまうと、必要な教員の数が減ってもしまいます。しかし、一度採用した教諭の首を切ることは簡単ではありません。

 そこで、多くの自治体では、勤務に期限のある「講師」を大量に採用し、いつでも首を切ることのできる立場の教員を確保することにします。

 最近多くの一般企業で普通に行われている派遣の職員を増やす状況が、教員の採用に関しては、随分以前から普通に行われてきています。

<なぜ、たくさんの講師を採用するのか>

 このような講師をたくさん採用する状況は、教員の置かれた恵まれた立場や職場環境が影響しているところがあります。

 教員採用試験に合格すると、「教諭」は、たいへん恵まれた立場になります。

 公務員として、年間20日間程度の年休がもらるのは、講師も同じです。

 恵まれているのは、妊娠したり病気になったりした時です。

 妊娠した場合、産前産後休暇が取得できます。その後、同じような給料はでなくなりますが、育成制度を最長3年間程度取得することができます。

 病気になった場合も、医師の診断書があれば、病休制度を利用することができます。

 自治体によっては、肉親を看護するために看護休暇を半年から数年間取得することもできます。

教諭が産休や育休、病休、看護休暇を取得するためには代わりの教員が必要になります。

教諭の代わりに勤務する教員は、「講師をいう立場の教員を配置することが普通です。

 正式採用された教諭が、元の職場に戻ってきた時に、講師の首を切ることは比較的簡単です。

 元々、教諭が休む代わりの講師は、教諭が戻ってくる前までの日付を区切って、採用されることになりることが普通です。1つの講師の期間が終われば、同じ学校の他の教諭の代わりや他の学校の教諭の代わりを勤めることになります。

 教員の勤務条件をよくするためには、教育委員会は、勤務条件の厳しい講師を雇う必要があります。

 誰かの勤務条件がよくなるために、誰かの勤務条件が劣悪な状況になるのは、仕方がないことなのでしょうか?

<令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況>

・全体の競争率(採用倍率)は、3.7倍(平成3年度と同率で過去最低)で、前年度の3.8倍から減少しています。

 ・採用者総数は、3万4274人で、前年度に比較して793人減少しています。

 ・受験者総数は、12万6391人で、前年度に比較して7876人減少しています。

・全体の競争率は19自治体で増加し、42自治体で減少しています。

※ここでの「全体」は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭の合計のことです。

【小学校】

・競争率(採用倍率)は、2.5倍(過去最低)で、前年度の2.6倍から減少しています。

・採用者数は、1万6152人で、前年度に比較して288人減少しています。

・受験者数は、4万636人で、前年度に比較して2812人減少しています。

 (このうち、 新卒は256人増加し、既卒は3068人減少しています。)

 もっと、詳しい実施状況の情報については、次のページを参照してください。

令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況についてに進む外部リンク

<採用試験の実施状況に関する感想>

 全職種で12万人、小学校に限っても4万人の人々が教員になりたくて、教員採用試験を受験している状況は、本当に少ないといえるのでしょうか。

 多くの人は、教員になりたくと強く思い、教員採用試験の準備をして受験しています。

 中には、講師として勤務し、日々教員として、忙しい日々を過ごしつつも、勤務の間に採用試験に向けた勉強を並行して行っている人もいます。

 中には、何回も採用試験に不合格になりながらも、何年も教員採用試験を受験している人もたくさんいます。

 多くの教員は、子どものことが本当に好きで、子どもの役に立ちたいと思っています。

 忙しくても、子どものために、よい授業をしたいと願っていますし、そのために、多くの時間を使いたいと思っています。

 まもなく、多くの自治体で、今年の夏に実施した令和5年度採用の公立学校教員採用選考試験の結果が発表されます。

 中には、たくさん努力したにも関わらず、不合格になることがあるかもしれません。

 しかし、不合格になったからといって、あなたの資質が教員に向いていないとは言えません

 よい教員の条件は、教員採用試験に合格することではありません。

 教員採用試験に合格しても、そこで努力をやめてしまう教員もいます。

 よい教員の条件は、日々努力を継続して、よい授業をし、子どもを笑顔にすることです

 教諭と講師の違いについては、次のページにも書いています。

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