教員の働き方への緊急提言 教育ニュース

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つばさ
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教員の働き方への緊急提言がありました。

 教員の働き方に関する事柄には、いろいろな課題があります。

 今回は、「教員の働き方への緊急提言」について書きます。

教員の働き方への緊急提言 教育ニュース

🟠教員の働き方への緊急提言 教育ニュース

<教員の働き方改革緊急提言>

 最近、教員に関係するニュースで聞くことの多い話題に、教員不足と教員の成り手の減少ということがあります。

 このことを解決するために、文部科学省をはじめ、各自治体では、教員の過重労働を減少させようと「教員の働き方改革」を進めようとしています。

 そのような状況の中で、中央教育審議会の特別部会は、「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策 (提言) ー教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指してー」という緊急提言をまとめ、2023年8月28日に、部会長の千葉大学教育学部の貞広斎子教授が、永岡桂子文部科学大臣に手渡しました。

教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策 (提言) に進む外部リンク

 この緊急提言では、次のような文言が書かれています。

【緊急提言】 

 教師を取り巻く環境整備について、直ちに取り組むべき事項として、国、都道府県、市町村、各学校など、それぞれの主体がその権限と責任に基づき、主体的 に以下の各事項に取り組む必要がある。

 1.学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進

 2.学校における働き方改革の実効性の向上等

 3.持続可能な勤務環境整備等の支援の充実

教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策 (提言) ー教師の専門性の向上と持続可能な教育環境の構築を目指してー

 地域など教員以外への業務の分担に加え、標準を大幅に上回る授業時数は見直すことなどを対応策に盛り込んでいます。

 緊急提言の中で、教員を取り巻く環境は国の未来を左右しかねない危機的な状況にあるとして、国や自治体、学校に加え、保護者や地域住民、企業など社会全体で一丸となって課題に対応する必要があるとしています。

 ここからは、具体的な内容について書きます。

<1.学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進>

 この項目に対する取り組むべき内容は、次の3つです。

(1)学校・教師が担う業務に係る3分類」を徹底するための取組

(2)各学校における授業時数や学校行事の在り方の見直し

(3)ICT の活用による校務効率化の推進

 もう少し具体的に書きます。

 「学校・教師が担う業務に係る3分類」についてです。

 学校や教員の業務を、「基本的には学校以外が担うべき業務」、「学校の業務だが、 必ずしも教師が担う必要のない業務」、「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の3つに整理し、14の具体例を挙げています。これは、2019年(平成31年)1月の中央教育審議会答申で提案されたものです。

 この取組は、一定程度進捗してきていますが、地方自治体や学校間において、取組状況に差があるとしています。

 次に、「授業時数や学校行事の見直し」についてです。

 1年間の授業時数が国の標準を大幅に上回る1086時数以上の学校は、来年度から見直すこと、学校行事は重点を置くものを選び、準備も簡素化することなどを提言しています。

 さらに、「 ICT の活用」についてです。

 ICTは、個別の学びと協働的な学びに必要不可欠なツールであるとともに、教師の長時間勤務を解消し、働き方改革を実現する上でも極めて大きな役割をするものです。

 ただ、教員がICTを授業準備や成績処理に活用している状況は、学校や教員個人により差があります。

<2.学校における働き方改革の実効性の向上等>

 この項目に対する取り組むべき内容は、次の3つです。

(1)地域、保護者、首長部局等との連携協働

(2)健康及び福祉の確保の徹底

(3)学校における取組状況の「見える化」に向けた基盤づくり

 もう少し具体的に書きます。

 「地域、保護者、首長部局等との連携協働」とは、次のようなことです。

 学校における働き方改革等を、学校運営協議会や総合教育会議などで積極的に議題化することを求めています。

 また、保護者などからの過剰な苦情などに対しては、教育委員会などの行政機関が積極的に支援することを求めています。

健康及び福祉の確保の徹底」とは、次のようなことです。

 教員の勤務時間が超えている場合は、学校の業務の検証や見直しをすることをさらに求めています。

 また、休憩時間の設定については、次のような例が書かれています。ある学校では、休憩時間を放課後に設定した上で、その時間には職員会議を開催しないようにした等の取り組み例があります。このような事例を参考にして、教師が勤務時間の途中に休憩時間を適切に確保することができるようにすることを求めています。

取組状況の見える化」とは、次のようなことです。

 教員の勤務時間の管理については、ICTの活用などを通して、客観的な在校等時間の把握を行い、公平な「見える化」に向けた基盤づくりを国や各教育委員会がすることを求めています。

<3.持続可能な勤務環境整備等の支援の充実>

 この項目に対する取り組むべき内容は、次の4つです。

(1)教職員定数の改善

(2)支援スタッフの配置充実

(3)処遇改善

(4)教師のなり手の確保

教職員定数の改善」とは、「骨太方針 2023」に示された「小学校高学年の教科担任制の強化」などの教職員定数の改善を図ることが必要としている。

 小学校高学年の教科担任制のよさは、2つあると考えられています。

 1つは、子どもたちが早期から専門的な教科指導が受けられることです。

 もう1つは、教師にとって、持ち時間数の軽減があります。2022年(令和4年)度から4年程度かけて段階的に取組を進めることとされています。この取組によって、2025年(令和7年)度には、計算上、小学校高学年の学級担任の週当たり授業時数は 3.5時間程度の軽減が図られるとされています。

支援スタッフの配置充実」については、次のようなことです。

 教員業務支援員は、教員が、教員でなければできない業務に集中できるようにするために、学習プリント等の準備や来客・電話対応等をサポートする業務に従事しています。予算上、 14 学級以上の小・中学校への配置規模にとどまっていますが、速やかに改善する必要があるとしています。

 また、教員勤務実態調査速報値によると、前回調査に引き続き、副校長・教頭の在校等時間が最も長時間となっていることを踏まえ、副校長・教頭の学校マネジメント等に係る業務を専門的に支援するための人材の配置を支援することも求めています。

 加えて、特に急増する不登校の子どもへのきめ細かな支援を行っていくために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのほか、校内教育支援センターの設置促進のための学習指導員の配置充実を図る必要があるとしています。

 さらに、部活動の地域連携や地域クラブへの移行に向けた環境整備に当たって、 部活動指導員の配置充実も図る必要があるとしています。

処遇改善」については、次のような考えがあります。

 給特法等の法制的な枠組みを含めた具体的な制度設計は、今後、議論を深めていくことが必要です。その議論には時間がかかるので、先行して、主任手当や管理職手当の額を速やかに改善することを求めています。

教師のなり手の確保」については、次のような考えがあります。

 教師のなり手を新たに発掘するためのに、教育委員会と大学・民間企業等との連携・協働による教職の魅力発信をすることが大切だとしています。さらに、マッチングの効率化や入職前研修等への支援、大学と教育委員会による教員養成課程の見直しや地域枠の設定、奨学金の返還支援に係る速やかな検討を図る必要があるとしています。

<まとめにかえて>

 教員の働き方に関する緊急提言について紹介しました。

 このようにいろいろな提言がされていますが、残念なことに、即効性のある提言は見当たりません。

 この「緊急提言」を読んでも、教員の働き方が急によくなるようには思えません。また、来年度から教員の志願者が急激に増えるようには思えません。

 とはいえ、ほんの僅かな進捗状況であろうとも、少しずつでも教員の職場環境が改善され、教員をめざす志願者が増えることを切に願います。

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