教員の働き方改革 教育ニュース

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つばさ
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教員の働き方がなかなか改善されません。

 教員の働き方に関する事柄には、いろいろな課題があります。

 今回は、「教員の働き方改革」について書きます。

教員の働き方改革 教育ニュース

🟠教員の働き方改革 教育ニュース

<教員の働き方改革について>

 最近、教員に関係するニュースで聞くことの多いことに、教員不足と教員の成り手の減少ということがあります。

 多くの自治体で、教員採用試験をしても受験者数が伸び悩み、教員の成り手が減少しています。

 その原因の一つが教員の過重労働という実態がありますし、教員の労働形態はとてもブラックであるというイメージの定着があります。

 そのようなよくない勤務実態やイメージを払拭するために、文部科学省をはじめ、各自治体では、教員の過重労働を減少させようと「教員の働き方改革」を進めようとしています。

 教員の過重労働は今に始まったことではありません。30年以上前から病気休職者の増加や過労死が報告されてきています。

 10年前の2013年のOECDの調査では、日本の教員が飛び抜けて長時間労働であることも報告されています。次のような内容です。

 教員の回答による一週間当たりの仕事にかける時間は、参加国平均では38時間であるが、日本は最も多く54時間である。

 また、これとは別の質問で、教員が指導(授業)に使ったと回答した時間は、参加国平均では週19時間に対し、日本の教員は週18時間で同程度であり、日本の場合、一般的事務業務など授業以外の業務に多くの時間を費やしている

 学校内外で個人で行う授業の計画や準備に費やす時間は、参加国平均は週7時間で背ある一方、日本の教員は9時間である。

OECD国際教員指導調査(TALIS)2013年調査結果の要約

OECD 国際教員指導環境調査 (TALIS) に進む外部リンク) 

 このような長時間労働に対して、教員はとても特殊な勤務条件になっています。

 「給特法」と呼ばれる公立学校の教職員の給与や労働条件を定めた法律があります。正式には「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」いいます。

 この法律では、本来、校長などの管理職は、教員に対して修学旅行や職員会議などの4項目を除いて、超過勤務を命じることができないことになっています。原則として、教員には時間外労働が生じないことになっています。

 そのため、残業代は支払われないで、「教職調整額」が支給され、給料の4%が一律に支払われることになっています。

 「給特法」は1971年に制定され、50年以上施行されてきています。この法律を厳密に解釈すると、教員が勤務時間外に仕事をしているのは、教員が自ら望んで好きにやっている、自発的な行為であるということになってしまいます。

 なんとも、実態をかけ離れた勤務体系が長年続いていることを考えると、仕事に対してフラットな考えをもつ若者が教員を目指さないのは極めて当たり前のことなのかもしれません。

 Twitter(ツイッター)などを読んでいますと、志をもって教員になった若者でも「もう限界です」「教員辞めることにしました」「教員の仕事がこれほど大変だとは思いませんでした」「朝から晩まで、土日も自由な時間がありません」「私はそこまで人生を捧げることはできないので、やはり私に先生は向いてないと思います」などという声がたくさん載っています。

<教員の働き方改革について>

 文部科学省は、2019年(平成31年)「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」という通知を出しています。

学校における働き方改革についてに進む外部リンク

 教員の働き方改革では、2点の改善策が考えられています。

 1つは、労働時間管理の徹底です。

 もう1つは、業務の役割分担・適正化です。

 後者の「業務の役割分担・適正化」としては、「A:基本的には学校位牌が担う業務」「B:学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務」「C:教師の業務だが負担軽減が可能な業務」として次のようなものが例示されています。

A:基本的には学校位牌が担う業務

 登下校に関する対応、放課後から夜間などの見回り、学校徴収金の徴収・管理、地域ボランティアとの連絡調整

B:学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務

 調査・統計などへの回答など、休み時間の対応、校内清掃、部活動

C:教師の業務だが負担軽減が可能な業務

 給食時の対応、授業準備、学校評価や学校行事などの準備・運営、進路指導、支援が必要な児童生徒・家庭への対応

 教員の働き方改革は必ずしも成功していません。

 2023年(令和5年)4月28日に、教員の勤務実態調査が文部科学省から公表されました。

教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】についてに進む外部リンク

 それによりますと、以前の調査と比べて、在校勤務時間は、小中学校とも平均30分短縮しましたが、持ち帰り時間は平均10分間増えています。

 勤務時間外の労働時間が月45時間を超える教員は、小学校で64.5%、中学校で77.1%もいます。  

 過重労働の改善がうまくいかない理由は2つあると考えられています。

 1つは、学習指導や生活指導の負担が増していることです。

 もう1つは、教員の仕事の特殊な状況があまりよく理解されていないことです。

 例えば、「教師の業務だが負担軽減が可能な業務」として「給食時の対応」が挙げられていますが、これは、学校現場の実態を全く理解していない人の発想です。

 給食指導においては、次のような仕事があります。

①子どもが手を洗っているかの確認

②給食係が清潔な服装になっているかの確認

③  配膳が適切に行なわれているかの確認

④  食事中の環境は安全かどうかの確かめ

⑤  食べ残しや偏食する子どもへの対応

⑥  時間内に給食が終わるように食べるのが遅い子どもへの対応

⑦  食物アレルギー児童への対応

 これらの大量の仕事の一部を分担するなどなかなかできません。誰かに代わってもらうよりも自分でする方は確かですし、安全です。どの部分を切り取れば安全に給食指導ができるようになるのか発案者に聞きたいぐらいです。

 給食のサポートをお願いするとしても、サポートする人にいろいろと伝えることの時間が方が増えてしまいそうです。

 教員の働き方改革は喫緊の問題だと思います。

 どうすれば、本当の意味で教員の負担が軽減し、教員の働き方改革が進むか、文部科学省や自治体をはじめ、各学校で考え、改革に取り組む必要があると思います。

<なぜ教員一人一人が授業準備をすることが当たり前なのか>

 ここからは、個人的な考えを書きます。

 新任の教員を増やす方策をして考えられるのは、教員一人一人がすることになっている授業準備を、教育委員会などで代わりに作成することにすると良いのではないかなと思います。

 普通の一般企業であれば、研修期間があり、研修が終わった後に、実際の実務に就くことが多いように思います。

 しかし、小学校の教員の場合、4月1日に赴任した一週間後の4月8日には、1つの学級を受け持ち、担任として、週に30時間近い授業を受け持つことになります。

 それらの授業準備は、新任教員自らがすることが当たり前だとされています。

 不思議なことに、研修は、授業を抜け出して、教育委員会などの外部に出向いて受けることもあります。

 学校によっては、代わりの教員が授業を見てくれる場合もありますが、多くの場合、そのような抜けた授業の自習課題なども新任教員自ら準備しておく必要があります。

 慣れない授業準備や様々な校務分掌で疲れ果て、多くの新任教員は、こんな筈ではなかったと思うことになります。

 新任教員の代わりに、しばらくの間、誰かが授業準備をしたり、校務分掌を代わりにしたりする制度を作ることはできないのでしょうか。

 現状では、学校現場には、そのような仕事をするような教職員は配置されていませんので無理でしょうが、もっと自由に働ける立場の教職員を配置して、新任教員の援助をするようにする制度を設けるとよいのではないないかなと思います。

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