作文のすすめ(18) お気に入りの表現

指導方法

読む学習をしたときに「お気に入りの表現」を見つけるという方法があります。

 小学校の国語の時間には、作文を書くことがよくあります。

 作文を書くときに活用できる可能性のある方法について書きます。

 今回は、「お気に入りの表現」について書きます。

🟠お気に入りの表現

<お気に入りの表現>

 文章を読んでいると、とてもすてきな表現に出合うことがあります。

 物語文を読んでいても、説明文を読んでいても、この文章の書き方はとてもいいなあと思うことがあります。

 今回は、そのような「いいなあ」「すてきだな」「かっこいいなあ」と思えるような文章を読む活動の時に見つけておきましょうということです。

 私は、このような学習活動を「お気に入りの表現を見つけよう」と名付けて、行っていたことがあります。

 例えば、光村図書の教科書には、「言葉のたから箱」というコーナーがあります。

「言葉のたから箱」には「考えや気持ちを伝える言葉」として「人物を表す言葉」「物や事がらの様子を表す言葉・物事を表す言葉」「考え方を表す言葉」「気持ちを表す言葉・心情を表す言葉」について、合わせて50個以上の言葉が集められています。

 「気持ちを表す言葉・心情を表す言葉」としてそれぞれの学年では、次のような言葉があります。

 2年生……わくわくする、ほっとする、おろおろする

 3年生……きげんがいい、待ち遠しい、かっとなる

 4年生……関心をもつ、心が動く、じれったい

 5年生……会心、むねにひびく、もの悲しい

 6年生……胸をふくらませる、くすぐったい、なごりおしい

 同じように、東京書籍の教科書には、「ことばあつめ」や「言葉の広場」というコーナーがあります。

 「ことばあつめ」としてそれぞれの学年で次のような言葉を集めるようにしています。

 2年生……学校にあるもの

 3年生……人物の様子

 4年生……物事の様子

 5年生……つなぐ言葉、比べるときの表現

 6年生……思考に関わる言葉、原因と結果

 また、「ことばの広場」では、次のような言葉が集められています。

 2年生……学校にあるもの、家にあるもの、町や村にあるもの、くらしの中でよくつかうことば

 3年生……人物の様子、物事の様子、動物、植物

 4年生……物事の様子、人物の様子、言語

 5年生……つなぐ言葉、比べるときの表現、思考に関わる言葉

 6年生……思考に関わる言葉、原因と結果、つなぐ言葉、関係を表す言葉

 具体的には、次のような言葉が出てきます。

 2年生……ひらがな、かたかな、漢字

 3年生……ぎこちない、たどたどしい、よどみない

 4年生……めまぐるしい、あっけない、ぶっきらぼう

 5年生……考えおよぶ、思いとどまる、思いなやむ

 6年生……明言する、かもしれない、可能性が高い

<理解言語と表現言語>

 私たちが、言葉を使うときには、大きく分けて、2つの利用の仕方があります。

 1つは、その言葉の意味や用法を知り、聞いたり読んだりするときに意味がわかる言葉です。

 このような言葉は、理解言語と呼ばれることがあります。

 もう1つは、その言葉の意味や用法を知り、自分が話したり書いたりするときに使うことができる言葉です。

 このような言葉は、表現言語と呼ばれることもあります。

 今回、お勧めしていることは、「物語文」や「説明文」を読んだときに、いいなあと思える一文や複数の文章を選び出して、「お気に入りの表現」としてストックしていくことです。

 国語のノートに視写してもいいかもしれません。

 ノートの1ページと同じ大きさのB5の紙を用意して、そこに視写するようにしてもいいかもしれません。

 このような言葉のストックを集めるようにすると、作文を書くときに、使うことができるようになるかもしれません。

 例えば、4年生の教科書に載っている「一つの花」という物語文があります。

 この物語文の読み取りの学習を終えた時に、この物語の中で自分がいいなあと思える「お気に入りの表現」を集める活動をしておきます。

 例えば、ある子どもは、この物語文の中に出てくる「でも、今、ゆみ子のとんとんぶきの小さな家は、コスモスの花でいっぱいに包まれています。」という文章が「お気に入りの文章」にしたとするとします。

 すると、この子どもは、自分が書く作文に次のような表現を使うことができるようになるかもしれません。

先日、家族であじさいで有名なお寺に行きました。そのお寺は、あじさいの花で包まれていました。紫、赤、青、いろいろな色の花がとてもきれいでした。

 豊かな作文表現ができるようになるためには、すばらしい表現を知り、まねすることはとても有効な方法だと思います。

 そのような具体的な方法の1つとして、読む学習をしたときに、「お気に入りの表現」を1つ見つけるという活動を取り入れるということは、とても有益なことだと思います。

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 作文の指導については、次のページもお読みください。

作文のすすめ(7)子どもの発達段階を知るに進む内部リンク

作文のすすめ(8)低学年向けに進む内部リンク

作文のすすめ(9)中学年向けに進む内部リンク

作文のすすめ(10)高学年向けに進む内部リンク

作文のすすめ(11)卒業文集に進む内部リンク

作文のすすめ(12)4こま漫画に進む内部リンク

作文のすすめ(13)意見文に進む内部リンク

作文のすすめ(14)感想文に進む内部リンク

作文のすすめ(15)縦書きと横書きに進む内部リンク

作文のすすめ(16) 日記の指導に進む内部リンク

作文のすすめ(17)系統を考えた指導に進む内部リンク

作文のすすめ(1)400字作文に進む内部リンク

作文のすすめ(2)400字作文の実際に進む内部リンク

作文のすすめ(3)指導前に、自分が書いてみるに進む内部リンク

作文のすすめ(4)書きたいことがある状態にするに進む内部リンク

作文のすすめ(5)構想表についてに進む内部リンク

作文のすすめ(6)自由作文に進む内部リンク

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