給食中に子どもが亡くなるという悲しい事故がありました。
とても残念なことなのですが、給食中にうすらの卵を食べていた子どもが喉に詰まらせてしまい、亡くなるという事故がありました。
今回は、「学校給食中の窒息事故死」について書きます。
🟠学校給食中の窒息事故死
<事故の大まかな内容>
2024年2月26日、福岡県みやま市のある小学校で、7歳の小学校1年生の男の子が給食中にうずらの卵を、喉に詰まらせて亡くなるという事故がありました。
当日の給食の献立は、みそおでんでした。みそおでんの中に入っていた、うずらの卵を喉に詰まらせました。
給食を食べ始めた男の子は立ち上がって、吐きそうなそぶりをしたそうです。
担任の先生は、お腹を抱えて、背中を叩くなどをして吐かせようとしました。
しかし、男の子は力が抜けて、自分で立っていられないような状態になりました。応急処置にもかかわらず、男の子はうずらの卵を吐き出すことができませんでした。
男の子はドクターヘリで病院に運ばれましたが、病院で死亡が確認されました。
うずらの卵は、長さ3cm、直径2cmほどの大きさで、普段からよく給食の食材として出されていました。
<よく似た給食での事故について>
日本スポーツ振興センターは、文部科学省が所管する独立行政法人です。
日本スポーツ振興センターは、学校における安全・健康保持の普及などの業務をしています。
また、学校の管理下における災害(事故や怪我)に対し、災害共済給付(医療費、障害見舞金又は死亡見舞金)を支払う団体でもあります。
NHKは、2024年2月27日の19時から放送しているNHK NEWS(ニュース)の中で、次のように説明していました。
日本スポーツ振興センターが公表している死亡事故のうち、2005(平成17)年から2022(令和4)年の給付金データをNHKが分析しました。すると、うずらの卵やミニトマト、白玉団子のような「丸くてつるつるした」ものを食べた際に、喉に詰まらせて7人が死亡していたことがわかりました。
NHKニュース 2024年2月27日19時〜
このニュースの中で、さらに次のように説明していました。
専門家は、「歯が生え替わる小学校低学年の時期には、特に注意が必要だ」と指摘します。
NHKニュース 2024年2月27日19時〜
さらに、小児科医で子どもの事故に詳しいNPO法人「Safe Kids Japan」の山中龍宏理事長(※上記の専門家)は、次のように語ります。
前の歯がない。そうすると、食べ物を吸ってしまうわけですね。うずらの卵をそのまま出さない。ミニトマト、大粒のぶどう、そういうものは、小さく切って与える。こういう知識を、みなさん、もっておく必要があるのではないでしょうか。
山中龍宏さんの説明 NHKニュース 2024年2月27日19時〜
<文部科学省や各教育委員会の対応>
この事故を受けて、文部科学省は、全国の教育委員会に対して、緊急の通知を出しました。そして、通知の中で、安全に配慮した食事指導を徹底するように伝えています。
各教育委員会の中には、当面、給食でうずらの提供を取りやめたところもありますし、指導の徹底を学校に向けて伝えたところもあります。
各学校では、子どもに対して、次のような説明をしています。
・スプーンや箸などで小さくしてから食べるようにすること。
・ゆっくり、しっかりかんで食べるようにすること。
・すぐに飲み込まないようにすること。
<喉を詰まらせた時の対応の仕方>
このような子どもが、ものを詰まらせた場合の対応の仕方は、2つあります。
1つは、背部叩打法(はいぶこうだほう)です。
もう1つは、腹部突き上げ法(ハイムリック法)です。
🟠背部叩打法とは
患者の後ろから、手のひらの基部で、左右の肩甲骨の中間当たりを力強く何度も叩く方法です。
日本医師会では、1つめの背部叩打法を優先するように伝えています。なぜなら、妊婦や乳児では、腹部突き上げ法は使えないからです。背部叩打法のみを行います。
東京都消防庁は、「窒息に対する応急手当(成人・小児:背部叩打法)」という動画を公開しています。
窒息に対する応急手当(成人・小児:背部叩打法)に進む(外部リンク)
🟠背部突き上げ法(ハイムリック法)とは
次のように行います。
① 患者の後ろに回り、ウエスト付近に手を回します。
② 一方の手で「へそ」の位置を確認します。
③ もう一方の手で握りこぶしを作って、親指側を、患者の「へそ」の上方で、みぞおちより十分下方に当てます。
④「へそ」を確認した手で握りこぶしを握り、すばや<手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。
※ 腹部突き上げ法を実施した場合は、腹部の内臓を傷める可能性があるため、救急隊にその旨を伝えるか、すみやかに医師の診察を受けさせる必要があるそうです。
東京都消防庁は、「窒息に対する応急手当(成人・小児:腹部付き上げ法)」という動画を公開しています。
窒息に対する応急手当(成人・小児:腹部付き上げ法)に進む(外部リンク)
<まとめに変えて>
小さな子どもが喉に食べ物を詰まらせてしまうことはよくあることです。
特に、うすらの卵やミニトマト、白玉団子などのような「丸くてつるつるした」食べ物は危険です。
そこで、このような食べ物は、大人がきちんと、前もって小さく切ってから与えることが大切です。
さらに、前歯が抜けた小学校低学年の子どもには、食べ物を吸って食べないように伝えたり、ゆっくり、よく噛んで食べることや、あわてて飲み込まないようにすることを伝えたりすることが大切です。
さらに、できれば、動画などを見て、腹部突き上げ方の仕方を知っておくことも大切だと思います。
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