埼玉県議会の虐待禁止条例案 教育ニュース

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つばさ
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埼玉県議会で、虐待禁止条例案が出されました。

 2023年(令和5年)10月に、埼玉県議会の虐待禁止条例改正案が発表されました。

 今回は、「埼玉県議会の虐待禁止条例案」について書きます。

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🟠埼玉県議会の虐待禁止条例案 教育ニュース

<法律について>

 日本は法治国家です。

 国全体に関係する法律もありますし、それぞれの市町村や都道府県だけで通用する法律もあります。

 国全体に関係する法律は、法律を定める機関である参議院と衆議院の議決によって制定されます。

 ただ、この両院の議員によって提案された「議員案」以外に、議員で構成された委員会が中心になって提案された「委員会案」があります。

 それ以外に、内閣によって提案された「内閣案」もあります。

 とても悲しいことですが、その大部分の法律は、とても高い給料をもらっている国会議員によって考えられたというよりも、日本の優秀な各省庁の職員によって考えたものが「内閣案」として提案されるものが大半です。

 日本国全体に通用する法律以外に、それぞれの市町村や都道府県だけで通用する法律は、一般的に「条例」と呼ばれています

 東京都で定めた条例は、東京都だけに適用されるきまりですので、大阪市や横浜市では通用しません。

 条例は、それぞれの市町村や都道府県の議会で審議され、そこに住む住民に適用されることになります。

<埼玉県議会の考えた虐待禁止条例改正案>

 埼玉県は、日本で5番目に人口の多い都道府県です。

 東京都、横浜県、大阪府、愛知県に次ぐ人口を抱える大きな県です。

 2023年(令和5年)9月1日現在、733万1914の人口がいると推計されています。

 埼玉県議会は、議員定数が93名です。

 過半数の58名が、自由民主党員で構成されている「埼玉県議会自由民主党議員団」(以下、埼玉自民党議員団と記す)に属しています。

 その埼玉自民党議員団が中心になって、とても不思議な条例案を考えました。

「埼玉虐待禁止条例改正案」です。

 この「埼玉虐待禁止条例改正案」は、次のような内容になっていました。(条例案は固い文章になっていましたので、簡単な文にしています。)

 ①:小学校3年生以下の保護者は、子どもを家などに残したまま外出してはいけません。

 ②:小学校6年生以下の保護者は、子どもを家などに残したまま外出しないようにつとめなければいけません。

 ③:埼玉県は、市町村と連携して、待機児童に関係する問題の解決に関する背策を講じます。

 ④:埼玉県民は、子どもを放置している保護者を見つけると、通報するようにする必要があります。

 ⑤:この条例案は、2024年(令和6年)4月から施行します。

 そして、この条例案には、自民党県議員52名の名前がずらずらと並んでいます。

 元々の条例案(第二十五号議案)は、次のところから見ることができます。

条例案(第25号議案)に進む外部リンク

 そして、埼玉自民党議員団は、委員会などで、小学校3年生以下の子どもの放置の例として次のような具体例を挙げました。

車に置き去り

子どもだけで留守番

子どもを家に残して、ごみ捨て

子どもだけで公園に遊びにいくこと

子どもだけで登下校すること

子どもだけで近所へのお使いに行くこと

 この不思議な条例案や放置の例が出されてから、多くの市民やテレビ、新聞などのマスコミからの非難が殺到しました

 当然です。

 この不思議な条例案では、普通の子どもを養ったことのある家庭からすると、まるでできそうもないことを法律にしようと考えていたからです。

 子どもや保護者を守るのではなく、子どもや保護者を窮地に陥らせようと考えているかのような悪法でした。

 子どもは安全に安心な状態で養い、守るように保護者や学校の教職員が務めるのは当たり前の事柄だと思います。

 でも、日本のような安全な国で、小学校3年生以下の子どものそばに保護者がずっといるような条例案を作ろうと考えるのは、子どものいる日本の一般の家庭の状態を全く知らない人の考えることです。

 普通に考えれば、子どもを一人にしたくなくてもできない環境にある家庭が多く存在しているという現状をまったく理解していない条例案です。

 このようなことを考える議員が、選挙で50人以上も通っていることを考えると、日本の民主主義の不思議さを本当に考えてしまいます。

 このような事柄が本当に実現できると考えている埼玉県議員のみなさんは、普段どのような家庭生活を送っているのか本当に不思議に思います。

 同じ日本に住んでいるのか、と思えるような内容です。

 幸いなことに、多くの批判を真摯に検討し、10月13日に審議し、条例案化する考えを、埼玉自民党議員団は、10月10日に断念したと報じられました

 本当に、ほっとしました。

 ただ、このような不思議な条例案を多くの埼玉自民党議員団の議員のみなさんが、本気で条例にしようと考えていたと考えると、議員を選ぶ選挙は、本当に真剣に行う必要があると思います。

<本当に子どもを守るということ>

 もしかすると、埼玉自民党議員団のみなさんは、子どもを守ろうと考えていたのかもしれません。しかし、あまりにも現実とかけ離れた極端な考えは、多くの国民や県民に理解されません。もう少し実効性のある現実的な施策を考えていく必要があると思います。

 もっと子どもや保護者を守る条例案を考えてほしいな、と強く考えました。

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