くじらぐも 教材分析085

教材分析
つばさ
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くじらぐも」という文章の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、1年生の教科書に載っている「くじらぐも」の教材分析をします。 

くじらぐも:教材分析

🟠くじらぐも:教材分析

 この作品は、光村図書の1年生の教科書に載っています。  

<作者>

 中川李枝子(なかがわ・りえこ)さん作

 柿本幸造(かきもと・こうぞう)さん絵

 出典:この教科書のために書き下ろしされた文章です。

 中川李枝子さんについて

 1935年(昭和10年)生まれです。日本の児童文学作家、作詞家です。

 北海道札幌市生まれです。旧姓は、大村さんです。

 4歳のときに、東京の祖父の家に移り、小学校3年生までそこで過ごしました。

 戦争が激しくなったので、札幌に疎開しました。

 終戦後、父親と一緒に福島市に移り、高校2年生のときに、再び東京に戻りました。

 実践女子学園高等学区を経て、東京都立高等保母学院(現・都立高等保育学院)を卒業しました。

 卒業後、保母として働きながら、執筆活動を行い、1962年に「いやいやえん」(福音館書店・1962年)で、厚生大臣賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸奨励作品賞、NHK児童文学奨励賞を受賞しました。

 代表作には、「ぐりとぐら」(福音館書店・1967年)、「そらいろのたね」(福音館書店・1964年)などがあります。

 また、作詞家としては、1988年公開のアニメ映画「となりのトトロ」のオープニングテーマ「さんぽ」や「まいご」の作詞をおこなっています。

<題名>

 題名は「くじらぐも」です。

 この題名から、くじらぐもが出てくることが予想されます。

<設定>

 いつ(時):四じかんめ

 どこ(場所):うんどうじょう

 だれ(登場人物):一ねんニくみの子どもたちとせんせいとくじらのくも

<人物>

 こどもたち……うんどうじょうでたいそうをしている。

 せんせい……子どもたちをおしえている。

 くじら……そらにうかぶ、くものくじら。

<あらすじ>

・四じかんめ、一ねん二くみの子どもたちが体操していると、大きなくじらがあらわれた。

・まっしろいくものくじらで、くじらぐももたいそうをはじめた。

・のびたりちぢんだり、しんこきゅうもした。

・みんながかけあしでうんどうじょうをまわると、くものくじらも空をまわった。

・せんせいがふえでとまれのあいずをすると、くじらもとまった。

・せんせいが「まわれ、みぎ。」のごうれいをかけると、くじらもまわれみぎをした。

・みんなは大きなこえで、「おうい。」とよぶと、「おうい。」とこたえた。

・「ここへおいでよ。」とさそうと、くじらも「ここへおいでよ。」とさそった。

・「くものくじらにとびのろう。」男の子も、女の子もはりきった。

・みんなは手をつなぎ、わになると、ジャンプした。でも、とんだのは、三十センチぐらい。

・「もっと、たかく。」とくじらがおうえんした。

・こんどは、五十センチぐらいとべた。

・「天までとどけ、一、二、三。」そのとき、かぜがみんなを空にふきとばした。

・あっというまに、せんせいと子どもたちは、くものくじらにのっていた。

・「さあ、およぐぞ。」くじらは、青い空をげんきいっぱいすすんだ。

・うみのほうへ、むらのほうへ、まちのほうへすすむ。みんなはうたをうたう。

・「おや、もうおひるだ。」せんせいがうでどけいをみて、おどろいた。

・「では、かえろう。」くじらぐもはまわれみぎをした。

・しばらくいくと、がっこうがみえてくる。

・くじらぐもは、ジャングルジムのうえに、みんなをおろした。

・「さようなら。」みんなが手をふったとき、おわりのチャイムがなりだした。

・「さようなら。」くものくじらは、青い空のなかへかえっていった。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

①  子どもたちがたいそうをしていると、くものくじらがあらわれ、まねをはじめた。

②  子どもたちが「ここへおいでよう」とよびかけると、くじらも「おいでよ」とさそった。

③  みんなはジャンプするがなかなかとどかない。でも、かぜがみんなを空へふきとばした。

④  「およぐぞ。」みんなをのせると、くじらは、空をすすみ、うみやむらやまちをすすんだ。

⑤  おひるになり、くじらは、みんなをがっこうにもどし、くじらとみんなはさよならした。

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<人物の会話>

 この物語で、会話をするのは、せんせいと子どもたちとくじらのくもです。

 たいそうの時間なので、せんせいは、子どもたちにいろいろ号令をかけます。

・「一、ニ、三、四。」

・「まわれ、みぎ。」

 そして、最後の方になり、四じかんめが終わりそうになったことに気づき、こう言います。

・「おや、もうおひるだ。」

 子どもたちとくじらのくもは、お互いによく似たことを相手に話しかけます。

・「ここへおいでよう。」

 くじらぐもの返事に、子どもたちは喜び、こう言います。

・「よしきた。くものくじらにとびのろう。」

・「天まで届け、一、ニ、三。」

 でも、うまく空までとべません。

 すると、くじらはおうえんします。

・「もっとたかく。もっとたかく。」

 風がふき、みんなを空へふきとばし、みんながくじらにのると、こう言います。

・「さあ、およぐぞ。」

 時間が来たことを知ると、こう言います。

・「では、かえろう。」

 みんなを学校にとどけると、くじらとみんなはあいさつをします。

・「さようなら。」

<人物の行動>

 くじらぐもが、人が好きなんだろうな、と思えるのは、次のような真似をする行動です。

・くじらも、たいそうをはじめました。のびたり、ちぢんだりして、しんこきゅうもしました。

・くものくじらも、空をまわりました。

・くじらも止まりました。

・くじらも、空でまわれみぎをしました。

 そのほか、みんなをおうえんしたり、みんなをのせると、空をげんきいっぱいにすすんだりする行動からも、子どもたちのことが好きなんだろうな、と思わせる行動をします。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

「くじらのくもとなかよくあそんだこと」ということかもしれません。

 空の雲はとてもふしぎなものです。いろいろなものに見えてきます。この物語では、くもはくじらになりました。

 ちがったものに見えたくもは、ちがった物語をあなたとはじめるかもしれません。

 あなたの近くにあるくもは何に見えますか。

<表現の工夫>

 1年生の子どもに身につけてほしいことの一つに、会話を楽しむということがあります。

 うまく話せない子どもでもできる会話のテクニックの一つに、相手の話したことを繰り返すという方法があります。

 この文章の中でも、相手の会話を真似るという表現はたくさん出てきます。

・「おうい。」

・「ここへおいでよう。」

・「さようなら。」

 この文章の中には、この繰り返すという会話方法以外に、相手を喜ばせる会話や行動がたくさんあります。それを見つけるというのもいいかもしれません。例えば、次の会話や行動です。

・「もっとたかく。もっとたかく。」と、くじらはおうえんしました。

・くじらぐもは、ジャングルジムのうえに、みんなをおろしました。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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