ランドセルは海をこえて 教材分析061

教材分析
つばさ
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ランドセルは海をこえて」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「ランドセルは海をこえて」です。

ランドセルは海をこえて:教材分析

🟠ランドセルは海をこえて:教材分析

 この教材は、光村図書の4年生の教科書に掲載されているルポルタージュです。

<作者>

 内堀タケシ(うちぼり・たけし)作・絵

 出典:「ランドセルは海をこえて 」(ポプラ社・2013年)

 内堀タケシさんについて

 1955年(昭和30年)に東京都で生まれました。写真家です。

 「日常」をテーマにルポルタージュを続け、海外での取材は65か国に及美ます。

 アフリカや中東、アジアなど国際NGOとともに、妊産婦死亡率の問題や、児童労働問題などにも取り組んでいます。

 国際理解教育に取り組み、貧困、難民、戦争などの問題について、小学生から大人まで全国各地の学校や教育現場で、写真展・講演会を行なっています。

 フォトボランティア・ジャパン基金代表で、日本写真家協会会員です。

<題名>

 題名は「ランドセルは海をこえて」です。

 この題名を読むと、どうやら日本のランドセルが、海外に送られている話のようです。

 とても興味を引く題名です。

<はじめとおわり>

○ はじめ

 最初に、「ぼくは、今アフガニスタンに向かっている。日本で使われなくなったランドセルをアフガニスタンへおくる活動を写真に残すためだ。ぼくは、十年以上、毎年アフガニスタンへ行って、写真をとっている。」と書かれています。作者は長年に渡り、アフガニスタンへの寄付活動を続けていることが、この文章からわかります。

○ おわり

 最後に、「子どもたちは、学校に行く自分のことだけを考えているのではない。まわりの人を助け、人の役に立ちたいと思っている。まわりの人に助けられながら、自分の命があることを知っているからだ。ぼくが子どものころ、こんなにしんけんに家族やしょうらいのこと、そして命のことを考えたことはなかった。君は、どうですか。」と書かれています。

 筆者は、子どもに寄付をしながらも、子どもたちのたくましさに感動しているようです。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

<形式段落>

 形式段落は、全部で10段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① アフガニスタンにランドセルをおくり、その写真をとるのは、それを知ってほしいから。

② アフガニスタンは、せいじ、宗教、民族などの事情で戦争がつづき、死ぬ子どもが多い。

③ ぼくが出会った人々は、生きることのとうとさを知っていて、生き生きとしている。

④ ランドセルを知らないアフガニスタンの小学生に、文具を入れておくる活動をしている。

⑤ アフガニスタンでは、ランドセルはたから物で、受け取る子どもを見るのはうれしくなる。

⑥ ランドセルをもらった子どもたちは、「幸せ、うれしい」などとよろこびを語る。

⑦ ここは学校。(山のふもとの地面にたくさんの子どもがいる写真)

⑧ アフガニスタンでは整備された学校はない。黒板が学校の印。ランドセルはつくえにもなる。

⑨ クラスには、いろいろな年れいの子どもがいて、だれがいつ学校に行けるかかわってくる。

⑩ ランドセルは大きな意味をもつ。親が自分の子どもも学校に行かせたいと思うから。

⑪ 学校は、未来へつながる希望だ。文字や計算を覚え、薬の飲み方を知ることもできる。

⑫ 子どもはまわりの人を助け役に立ちたいと思っている。人に助けられ自分の命があるから。

⑬ 子どものころのぼくは、家族やしょうらいのこと、命のことを考えたことはなかった。

⑭ 君は、どうですか。

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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

 この文章は、事実にもとづいて書かれた文章で、「ノンフィクション」と呼ばれます。

 その中でも、筆者が見聞きしたことを報告した文章で「ルポルタージュ」になります。今までも子どもが読んできた説明文や物語文とは少し感じが違う文章になります。

 一般的な説明文とは違いますが、私なりの方法でこの文章を、6つの意味段落に分かれていると考えてみることにします。

①段落:序論(はじめ)

 写真家でもある筆者は、アフガニスタンにランドセルをおくる活動を続けています。そして、その写真をとるのは、写真を通して、目にしたことを読者である「君たち」に知ってほしいからです。    

②~③段落:本論1(なか1)

 アフガニスタンのおかれた状況について書いています。戦争が続き、五さいになる前に多くの子どもが死んでしまいます。でも、出会った人々のひとみはかがやき、「生きていること」のとうとうさを知っていて、人々は生き生きしています。

④~⑥段落:本論2(なか2)

 ここでは、アフガニスタンの子どもの様子について書いています。アフガニスタンの子どもは、ランドセルを知りません。ランドセルや文具をもらうと、子どもたちはとてもうれしくなります。それを見た筆者もとてもうれしくなります。その後で、ランドセルをもらった子どもたちのよろこびの声が続きます。みんなの「わたしも幸せ、家族も幸せ」「うれしくて、家まで走って帰った」「うれしくてジャンプした」「幸せ。これで勉強ができる」とよろこびの声が続きます。

⑦~⑨段落:本論3(なか3)

 ここでは、学校の様子について書いています。アフガニスタンには日本のような校舎はありません。地面にすわり、小さな黒板があるだけです。通う子どもの年れいも様々ですし、家庭の事情でいつも学校に通えるとは限りません。

⑩段落:本論4(なか4)

 ここでは、ランドセルのもつ意味について書いています。ランドセルをもつ子どもの様子を見て、学校に通わせていない親が、自分の子どもも学校に行かせたいと思うからです。

⑪~⑭段落:結論(おわり)

 学校は、未来へつながる希望だということについて書いています。学校に通うと、文字や計算を覚え、薬の飲み方を知ることもできます。 衛生的なくらしをして、家族を病気から守ることもできます。

 そして、子どもたちは、学校に行く自分のことだけを考えていないことについても書いています。人に助けられ自分の命があるから、まわりの人を助けたい、役に立ちたいと思っていることについて書きます。

 そのような子どもの姿を見て、筆者は、自分は子どものころ、アフガニスタンの子どものように、真剣に家族やしょうらいのこと、命のことを考えたことはなかったことに気づきます。

 そして、最後に読み手である私たちに問いかけます。「君は、どうですか。」と。

<大事な言葉>

 アフガニスタン、ヨーロッパ、アジア、中東、せいじ、宗教、民族、戦争、とうとさ、実感、整備、働き手、家の事情、紛争

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

「数量化」

 この説明文では、いろいろなところに具体的な数量が出てきます。

 1つめは、筆者が十年以上、ランドセルをおくる活動をしていることです。

 2つめは、生まれてから五さいになる前に空腹や病気で死亡している子どもが多くいることです。

 このような具体的な数量化されたデータを根拠にすることによって、述べようとすることの確かさが強まります。

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

「引用」

ここでは、ランドセルをもらった子どもたちの素直な気持ちを引用しています。引用することによって、子どもが本当に喜んでいる様子がよく伝わります。

 次のようなよろこびの声です。

「ランドセルを持って帰ると、学校が家にやって来たみたい。わたしも幸せだけど、家族も幸せ。」

「ぼく、ランドセルをもらってうれしくって、家まで走って帰ったよ。」

「うれしくってジャンプしたんだよ。」

「幸せ。これで勉強できるんだよ。ほら、すごいよ。」

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

「問いかけ」

 この説明文では最後に、読者に向かって大きな問いが投げかけられています。

君は、どうですか

 このような問いかける言い方(説疑法)によって、読み手は、アフガニスタンの子どもと自分の置かれた状況を比べて、いろいろ考えることになると思います。

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

「写真」

 この説明文には、8枚の写真があります。

 写真を使うことで、アフガニスタンの様子や、ランドセルをもらった喜び、学校の様子などがわかります。

 言葉で説明することに加えて、具体的的な写真があることで、筆者の伝えたいことがよりよくわかるようになっています。

<要旨>

 この説明文では、「アフガニスタンのようなよくない状況の中でも子どもたちは、学ぶことや生きること、まわりの人を助け、役に立ちたいということを真剣に考えています。筆者は、自分子どものころは、こんなに真剣に家族や将来のこと、命のことを考えなかったと打ち明けて上で、『君は、どうですか。』とたずねます。」生きることの意味について考えてほしいと願っているのではないかな、と思います。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

 なお、アフガニスタンの戦争について書かれた物語文に「世界一美しいぼくの村」があります。

その教材分析も合わせて、お読みください。

世界一美しいぼくの村 教材分析002に進む内部リンク

 また、わたしが子ども用に作っている「よみもの」で、「戦争」や「働く子ども」「子どもの権利」などについて簡単な文を作っています。よければ、お読みください。

戦争 warに進むよみもの・外部リンク

働く子ども working childrenに進むよみもの・外部リンク

子どもの権利① Children’s Rightsに進むよみもの・外部リンク

⭐️   ⭐️

 この教材は、「事実にもとづいて書かれた本を読もう」という単元に載っている教材です。

事実にもとづいて書かれた本を読もう 読書のすすめ(9)に進む内部リンク

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

⭐️   ⭐️

 他の説明文の教材分析も併せてお読みください。

アップとルーズで伝える 教材分析045に進む内部リンク

ウナギのなぞを追って 教材分析004に進む内部リンク

数え方を生みだそう 教材分析005に進む内部リンク

さわっておどろく 教材分析006に進む内部リンク

ヤドカリとイソギンチャク 教材分析043に進む内部リンク

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