はるねこ 教材分析117

教材分析
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つばさ
つばさ

新しい教材の「はるねこ」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることは大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、2年生の教科書に載っている「はるねこ」の教材分析をします。

 この教材は、2024年(平成6年)の4月から採択されている教科書で新たに付け加えられた教材です。

はるねこ:教材分析

🟠はるねこ:教材分析

 この作品は、教育出版2年生の教科書に載っています。2024(令和6)年からの新教材です。   

<作者>

 かんのゆうこさん

 松成真理子(まつなり・まりこ)さん

 出典:「はるねこ」(講談社・2011年)。NHK・Eテレ「おかあさんといっしょ」にて、絵本朗読劇として放映されたほか、多くのラジオ番組などでも取り上げられている絵本です。

 かんのゆうこさんについて

 日本の児童文学作家です。東京都で生まれです。

 東京女学館短期大学・文科を卒業しました。会社勤務を経て作家デビューしました。

 2024年現在、国内外合わせて50冊の絵本や児童書を出版しています。
「見えるものの奥にある、もう一つの物語」をテーマに、 物語を書き続けています。

 主な著作に「ふゆねこ」(講談社・2010年)、「なつねこ」(講談社・2011年)、「あきねこ」(講談社・2011年)、「はりねずみのルーチカ」(講談社・2013年)などがあります。

<題名>

 題名は「はるねこ」です。

 題名から、春に関係するねこだということがわかります。

 題名を読むだけでは、猫の名前なのか、どのように春に関係しているかわかりませんが、子どもにとってとても興味をひく題名です。

 このお話には、ねこシリーズの「ふゆねこ」「なつねこ」「あきねこ」があります。

<設定>

 いつ(時):きらきらこもれ日のゆれるはるの日。

 どこ(場所):あやの家。

 だれ(登場人物):あや。

<人物>

 はるねこ……主人公。あやに手がみを出す。

 あや……はるねこをたすけた女の子。

<あらすじ>

 後程、付け加えます。

<場面>

 この物語は、場面と場面の間に1行空きで、5つの場面に分けて書かれていますので、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

① はるの日、あやのもとに、はるねこからおれいの手がみときんちゃくぶくろがとどいた。

②  きょねんの今ごろ、はるが来ないまま、あやがそとを見ると、ねこが何かをさがしていた。

③  「はるのたねをなくした」とはるねこがいうので、おりがみではるをつくることにした。

④  おりがみの花は本物の花になり、本当の春がやってきたので、はるねこはかえった。

⑤  一年まえのことを思い出し、手がみを読むと、「ひだまりのたね」をおくるとあった。

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<人物の会話>

 このお話には、あやとはるねこの二人しか出てきません。

 ですから、会話も二人のものしかありません。

 会話文は2つの方法に分かれます。

 1つは、あやが独り言を言っているものです。

 最初と最後に出てきます。

・「あ、これは、もしかして、あのときの……。」

・「早くあったかいおそとであそびたいなぁ。」

・「あのときは、たのしかったなあ。」

 もう1つは、あやとはるねことの会話です。

 次のようなやりとりが始まりです。

・「こんにちは、ねこさん。どうしたの。」

 「ああ、もうどうしたらいいんだろう。あれがないと、ことしのはるはやってこない。こまった、こまった、どうしよう。」

 「ええっ。はるがやってこないの。」

 「ぼくは、はるねこ。まいとし、はるをはこぶことが、ぼくのしごとなの。それなのに、ぼくったら、たくさんの『はるのたね』がつまったきんちゃくぶくろを、どこかにおとしちゃったんだ。」

 「だから、ことしのはるは、なかなかやってこなかったのね。」

 そして、あやはいいことを思いつきます。

・「そうだ。このおりがみで、いっしょにはるをつくってみようよ。」

 「えっ。そんなことできるのかい。

 「やってみるのよ。さあ、はるねこさんもてつだって。」

 本当の春がやってきた後で、はるねこはあやにお礼を言った後で、次のようにたのみます。

・「ああ、ほんとうによかった。ことしはきみのおかげで、ぶじにはるがやってきたよ。」

 「ぼくはそろそろはるのくにへかえらないといけないの。」

 「いつもはつよいかぜにのって、はるのくにまでかえるんだ。だから、かぜを、おりがみでつくってくれないかなあ。」

「ううん、つよいかぜねえ。ああ、それだったら……。」

<人物の行動>

 二人の春をつくる行動は次のように始まります。

・あやとはるねこは、たのしくうたいながら、たくさんの花をつくりはじめました。

 するとどうでしょう……。

 二人は、いつのまにか、ひろいひろいのはらのまん中にすわっていました。

 そこで、あやとはるねこは、おりがみでつくった色とりどりの花を、さあっと、のはらにふりまきました。

 おりがみの花は、あっというまに本物の花になって、あまいかおりでいっぱいにあふれたのです。

 このようにして、二人は春を作り始めました。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

「はるねことの出会いとはるをつくること」を、あやが体験したことなのかもしれません。

 本当は、春の訪れなどの季節の変化は地球の公転で起こります。

 でも、このお話では、はるねこが、はるのたねを運ぶことではるがおとずれることになっています。

 でも、そのはるのたねをはるねこがなくしてしまい、はるがきません。

 そこで、あやの思いつきで、二人ではるをつくることにします。

 ファンタジー溢れる楽しいお話です。

<表現の工夫>

 このお話での表現の工夫の一つは、お話の構成が「額縁構造」になっていることです。

額縁構造」というのは、絵画と額縁の関係のように、導入部のお話を外枠として、その内側に、別のお話を埋め込んでいき、再度、元のお話に戻るというように、入れ子構造の物語の形式のことです。

 特にこのお話では、3つの枠組みが存在します。

 1つめは、手紙。2つめは、今年のあや。3つめは、昨年のあやとはるねこのやりとりです。

 まず、1つ目のはるねこの手紙がお話の最初と最後にあります。

 その手紙を読むのは、今年のあやです。これも最初と最後に書かれています。

 今年のあやは、去年のはるねことの出来事を思い出す、という形式で、物語の大部分が作られています。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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 この記事とは関係がないのですが、少し宣伝をさせてください。

 このブログを運営しています鴫田岡明(しぎた・おかあき)監修で、YouTubeの漫画動画を主に小学校の子ども向けに作って公開しています。これまでに5つ作っているのですが、最新作のテーマは、「万博」です。

 いろいろと言われている万博ですが、実際に行ってみて感じたことは、やはりとても楽しいところだということです。

 今回は、「万博ってなに?」という題名で作って、公開しています。

「万博ってなに?」「なにがあるの? なにがすごいの?」

「今回の関西大阪万博の展示物には、なにがあるか?」

「参加国は何か国ぐらいあるか?」「万博っていつから始まったの?」

「大阪・関西万博のテーマってどんな意味?」

などについて説明しています。

 ぜひ、多くのお子さんや保護者のみなさん、先生などの教育関係者のみなさんにも見てほしいです。

 次のところから見ることができます。

Youtube漫画動画「万博ってなに?」に進む外部リンク

 物語文の教材研究については、次のページもお読みください。

物語文の教材研究の仕方(1)基本的な考えに進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(2)視点に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(3)設定・人物に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(4)あらすじ・場面に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(5)会話・行動に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(6)主題に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(7)表現の工夫に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(8)指導法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(9)指導方法に進む内部リンク

物語文の教材研究の仕方(10)目標と教材の関係に進む内部リンク

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

かさこじぞう 教材分析007に進む内部リンク

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