かいがら 教材分析073

教材分析
つばさ
つばさ

かいがら」という文章の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「かいがら」です。

かいがら:教材分析

🟠かいがら:教材分析

 東京書籍の1年生の教科書に掲載されています。

<作者>

 森山京(もりやま・みやこ)さん・作

 新野めぐみ(しんの・めぐみ)さん・絵

 出典:この教科書のために書き下ろされたものです。

 ただ、参考図書として、「12のつきのちいさなおはなし」(童心社・1997年)が挙げられています。

 森山京さんについて

 1929年(昭和4年)東京都で生まれます。日本のコピーライター、童話作家です。

 兵庫県立福崎高等学校女学校を卒業後、神戸女学院大学を中退しています。

 大阪の阪急百貨店宣伝部に勤めた後、フリーのコピーライターになります。化粧品のCMコピー「25歳はお肌の曲がり角」の作者でもあります。

 40歳から創作活動を始めます。

 1968年に「子りすが五ひき」(講談社・1969年)で、講談社児童文学特別賞を受賞し、翌年から児童文学作家としてデビューします。

 動物を主人公にしたたくさんの物語を書き、たくさんの賞を受賞されています。

「おとうとねずみチロのはなし」(講談社 1996年)なども有名で、教科書に載っています。

 2018年に亡くなりました。 

<題名>

 題名は「かいがら」です。

 この題名から、かいがらに関係するお話だということがわかります。

<設定>

 いつ(時):(明確に書かれていない)

 どこ(場所):(明確に書かれていない)

 だれ(登場人物):くまのこ、うさぎのこ

<人物>

 くまのこ……主人公。かいがらをひろってくる。

 うさぎのこ……くまのこのともだち。

<あらすじ>

・くまのこが、うさぎのこにいった。

・「うみでかいがらをひろってきたよ。うさぎちゃんは、どれがすき。」

・「これがいちばんすき。」

・うさぎのこは、しまもようのかいがらをさした。

・「ああ、ぼくといっしょだ。」

・くまのこも、おなじものがいちばんすきだった。

・もし、うさぎのこがももいろのかいがらをすきだといったら、おみやげにあげるつもりだった。

・ももいろのかいがらは、二ばんめにきにいっていた。

・くまのこは、どうしようかとおもった。そして、かいがらをしまってうちにかえった。

・そのよる、くまのこは、いっしょうけんめいかんがえた。

・つぎのひ、くまのこは、しまもようのかいがらをもって、うさぎのこのところへいった。

・「うさぎちゃん、あげるよ。」

・「だって、それは、いちばんすきなものでしょう。」

・「うん。だから、あげるんだ。」

・くまのこは、だいすきなともだちに、いちばんいいものをあげようときめました。

・「ほんとうにありがとう。」

・うさぎのこは、かいがらをみみにあてて、「なみのおとがきこえてきそう。」とにっこりした。

・くまのこも、ももいろのかいがらをとりだし、みみにあて、うさぎのこをみてにっこりした。

<場面>

 物語を、このブログで紹介している方法で、場面を5つに分け、1場面を30~40字程度にまとめてみます。 

① くまのこがかいがらをうさぎのこにみせてどれがすきかきくと、じぶんとおなじしまもようのかいがらだった。

② くまのこは、ももいろのかいがらがすきだといえばあげるつもりだったけど、もってかえった。

③ そのよる、くまのこは、いっしょうけんめいかんがえた。

④ つぎのひ、くまのこは、だいすきなともだちに、いちばんいいしまもようのかいがらをあげた。

⑤ うさぎのことくまのこは、かいがらをみみにあて、あいてをみて、にっこりした。

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<人物の会話>

 このお話にはくまのこと、うさぎのこの会話が出てきます。

 このお話では、海でかいがらをとってきたくまのこの会話から始まります。

「うみで、かいがらをひろってきたよ。」

「きれいね。みんな、ちがういろ。」

「うさぎちゃん、どれがすき。」

「これよ。これがいちばんすき。」

「ああ、ぼくといっしょだ。」

 くまさんは、もし、うさぎさんが、ももいろのかいがらをすきだといえば、すぐにあげるつもりだったのですが、こまったことにじぶんとおなじしまもようのかいがらがすきだといわれました。その日は、そのままかえることにしました。

 次の日も、くまのこの会話から始まります。

「うさぎちゃん、あげるよ。」

「だって、それは、いちばんすきなものでしょう。」

「うん。そうだよ。だから、あげるんだよ。」

「ありがとう。ほんとうに、ありがとう。」

「なみのおとがきこえてきそう。」

 会話から、くまのこの優しい気持ちがたくさん伝わります。

<人物の行動>

 くまのこのやさしさは、行動からもわかります。

 まずは、「そのよる、くまのこは、いっしょうけんめいました。」

 ここから、くまの子がどうしたらいいかしっかり考えたことがわかります。

 そして、「だいすきなともだちには、いちばんいいものをあげようときめ」ます。なかなかできることではありません。

 二人の子どもが、かいがらをみみあてて、にっこりするのも喜びが伝わる行動だと思います。

<主題>

 この物語の主題は、何でしょうか?

 大人でもなかなかできないことですが、くまのこが一晩悩んで、「だいすきなともだちには、いちばんいいものをあげようときめること」でしょう。なかなかできないことなので、とても素晴らしいと思えます。

<表現の工夫>

 この物語文には、さまざまな表現の工夫があります。

 個人的にとてもいいと思う表現は、次のような表現です。

・くまのこは、どうしようかとおもいました。

・そして、かいがらをそっとしまって、うちへかえりました。

・そのよる、くまのこは、いっしょうけんめいかんがえました。

 このことから、やっぱりくまのこも、しまもようのかいがらが気に入っていることがよくわかります。でも、一晩考えて、考えて、考えて、「だいすきなともだちには、いちばんいいものをあげようときめ」たのです。このことが、とてもよくわかるこの表現が好きです。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「物語文の教材研究の仕方」に挙げた10個の視点のうち、最後の指導計画を除いた9つの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

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