今、あなたに考えてほしいこと 教材分析022

教材分析
つばさ
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今、あなたに考えてほしいこと」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「今、あなたに考えてほしいこと」です。

今、あなたに考えてほしいこと:教材分析

🟠今、あなたに考えてほしいこと:教材分析

 この教材は、光村図書の6年生の教科書に掲載されている説明文です。

<作者>

 中村桂子(なかむら・けいこ)作

 大野八生(おおの・やよい)絵

 出典:この教科書のために書き下ろしされた文章です。

 中村桂子さんについて

 1936年(昭和11年)、東京都生まれです。生物学者です。

 東京大学理学部を卒業しています。JT生命誌研究館館長を長年勤めた後、現在は、JT生命誌研究館名誉館長です。

 三菱化成生命科学研究所人間・自然研究部長、早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授なども歴任されています。

<題名>

 題名は「今、あなたに考えてほしいこと」です。

 この教材は、6年生の教科書の最後に出てきます。このことから、「あなた」というのは、「卒業を間近に控えた6年生の子どもたち」で、その6年生に向けた文章です。

<はじめとおわり>

はじめ

 春になるとアリが庭から遠い台所までやってくる。自分よりも大きな荷物を運ぶアリの力には感心する。強そうなライオンなどでもえものをとるのはたいへんだ。みんなが共に生きているのが、生き物の世界だ。ミツバチも食べ物の蜜と花粉を集め、それが他の生き物の役に立つことがある。このように生き物全体がうまく生きている。

おわり

 未来のことまで考えて生き方を探すのが、今、求められている生き方である。そんな生き方でくらしたら、未来はどうなるのか、その時、技術はどのようなもので、どう使われているのか、難しいけれど、大切なことである。すばらしいことを思いついたら、未来はもっと楽しくなる。だから、それが、今、あなたに考えてほしいことだ。

<形式段落>

 形式段落は、全部で14段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① えさを求めアリが台所まで来るが、自分よりも大きな荷物を運ぶアリの力には感心する。

②   強いライオンでもえものをとるのはたいへんで、生きることに全力をつくしている。

③   生き物の世界は厳しいが、みんなが共に生きているのが、生き物の世界だ。

④   ミツバチも食べ物の蜜と花粉を集め、それが他の花などの生き物の役に立つことがある。

⑤   ここで人間のことを考えてみよう。人間も一生けんめい生きることが大切だ。

⑥   人間は歩けたので脳が大きくなり、他の生き物とは違うことができるようになった。

⑦   人間は自由な手と考える力で技術を開発し、自分の力以上のことができるようになった。

⑧   便利を求めて技術を使っていると、資源の使いすぎや自然をこわすことになる。

⑨   自然がこわれると生きにくくなるので、自然をこわさないように技術を使う必要がある。

⑩   人間が二本足で歩けるようになったのは、家族に食べ物を運ぶためだという考えがある。

⑪   人はだんだん相手の心がわかるようになるが、それは他の生き物まで広げることができる。

⑫ 思いやる気持ちから育つ想像力を、遠い国の子どもや未来の子どもに向けてみてほしい。

⑬ これらの想像力で、全ての生き物が上手に生きるにはどうしたらよいか考えられるはずだ。

⑭ 未来のことまで考えて生き方を探し、技術の使い方まで考えることを今あなたにしてほしい。

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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

 ここでは、3つの意味段落に分かれていると考えてみます。

①~④段落:序論(はじめ)

 アリ、ライオン、チーター、ミツバチなどの自然界で生きる生き物は、厳しい自然の中で、一生けんめい生きていますが、生物全体がうまく生きています。

⑤~⑨段落:本論1(なか1)

 人間は、足で歩けるようになり、技術を開発し、自分の力以上のことができるようになりました。しかし、便利を求めすぎると、資源をこわし、環境をよごし、自然をこわすことになります。

⑩~⑫段落:本論2(なか2)

 人間が足で歩けるようになったのは、家族に食べ物を届けようとしたからだ、という研究があります。家族のことを考えるは、他の人の心を理解することで、その心は思いやりの心で、皆さんにも育っているでしょう。この思いやりの心から生まれたのが想像力です。

⑬~⑭段落:結論(おわり)

 このような想像力で、全ての生き物が上手に生きるにはどうしたらよいか考えられるでしょう。これから生まれる人や生き物のことも考えて、生き生き暮らせる社会を考えてほしいです。未来のことまで考えて生き方を探し、技術の使い方まで考えることが、今、あなたにしてほしいことです。

<大事な言葉>

 野生動物、花粉、子孫、脳、構造、技術、開発、便利さ、はいき物、環境、二本足で歩くようになった理由、思いやり、想像力、未来

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

同類の事例の列挙

 自然界に住むアリ、ライオン、チーター、ミツバチなどの例を挙げて説明しています。これらの生き物を例を列挙することで、①自然界の暮らしは、とてもたいへんではあるが、みんな一生けんめいに生きていること、②共に生きていること、③時には、思いがけず他の生き物の役に立っていることなどを伝えつつ、述べようとすることの説得性が強まるようになっています。

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

二足歩行の2側面

 人は、足で歩くことができるようになって、脳が大きくなり、技術を開発し、自分の力以上のことができるようになりました。そして、足で歩くことができるようになったのは、家族に食べ物を運ぶためであったからということです。人が二足歩行ができるようになったことを、違う2つの角度から説明しています。

<要旨>

 この説明文では、「生き物の住む自然界や未来や遠い国に住む人のことなども考えて、生き方や技術の使い方を考えてほしい。」というようなことを書いています。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

メディアと人間社会 教材分析⑬に進む内部リンク

大切な人と深くつながるために 教材分析⑭に進む内部リンク

プロフェッショナルたち 教材分析⑰に進む内部リンク

君たちに伝えたいこと 教材分析㉑に進む内部リンク

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