オノマトペって知っていますか。
学校の中には、教職員の中だけで使う特別な用語がたくさんあります。
今回は、そのような教育用語の中の「オノマトペ」について書きます。
オノマトペ
🟠オノマトペ
<オノマトペとは?>
オノマトペとは、物事の様子や状態や動きなどを表した表現のことです。
オノマトペは、物事の様子や状態を表した擬態語(ゆっくり、きらきらなど)と、音を言葉で表した擬音語(ピーポーピーポー、ガチャガチャなど)、動物や人物などの発する鳴き声や声などを表した擬声語(ワンワン、キャーなど)の3つの種類に分けられます。
「オノマトペ」は、フランス語の「onomatopée」から来た外来語です。英語では、「onomatopoeia(オノマトペア)」になります。
オノマトペは、品詞でいえば、副詞にあたります。
日本語は、他の国に比べると、オノマトペが多いと言われています。
日本語では、オノマトペは、「にこにこ」、「ワンワン」のように同じ言葉を繰り返して表すことが多いです。
同じことを重ねて使うのは、その状態が続いていることを表しているからです。
例えば、笑っている様子を表す「にこ」で考えてみましょう。
「にこ」を1回使う場合と、重ねて「にこにこ」として使う場合で、どのような印象の違いがあるか比べてみます。
・可愛い店員さんが、こちらを見て、にこっとする。
・可愛い店員さんは、いつもにこにこしています。
2つの文を比べると、1つめの文では、こちらに笑顔を1回だけ向けたように感じます。2つめの文では、何回も何回も笑っているように感じます。
オノマトペは、このように、物語文などの文章の中にもたくさん出てきます。
詩にもいろいろなオノマトペが使われています。
日常会話の中や漫画などでもたくさん使われます。
<オノマトぺの表記の違い>
オノマトペの中に、擬態語、擬音語、擬声語の3つがあるからといって、使い方に大きな違いがないように思われています。
しかし、表記の仕方には、大きな違いがあります。
なぜかというと、あまり多くの人に意識されていませんが、擬態語は、平仮名で表記することが一般的ですが、擬音語と擬声語は、片仮名で表記することが一般的だからです。
日本語の片仮名の表記には、①外来語、②外国の固有名詞、③音を表記する時に使うという言葉のきまりがあります。
擬声語と擬音語は、聴覚で聞こえる音や印象などを表す言葉ですので、片仮名表記になります。
しかし、擬態語は、聴覚以外の視覚や触覚、味覚、嗅覚からの印象を表す言葉ですので、一般的に平仮名を使います。
このことはあまり多くの人に意識されていませんので、擬態語を片仮名で表記したり、擬声語や擬音語を平仮名で表記したりする人は、よく見かけられます。
漢字テストの採点のときに、漢字の止め、はね、はらいを厳密に意識する教員の中でも、擬態語と擬声語の違いがよくわかっていない人は普通にいます。
今回、この記事を書くために、オノマトペの記事をいくつか読みました。そこでも、擬態語、擬音語、擬声語の違いについて明確に説明している記事であっても、擬態語は平仮名、擬音語と擬声語には片仮名を使うというきまりについてきちんと理解しないままで記事にしているものがいくつかありました。
日常生活で使う言葉のきまりは、大まかなものですので、使いたい人がある程度自由に使ってもいいと思います。
しかし、ある程度、どのような言葉のきまりがあるのかを知っておくことは、とても大切なことです。
ましてや、擬態語、擬声語、擬音語について解説している記事の中で、その使い方がよくわからないで使っているのを見ると、不思議な思いになりました。
<オノマトペのよさ>
オノマトペを上手に使うことで、微妙なニァンスを表すことができます。
オノマトペを使うと、長い説明を使わなくても、比較的簡単に、自分の思いや考えを相手に伝えることができます。
「さらさら」と「ざらざら」は似た言葉ですが、受ける印象はずいぶん違います。
笑い方を表す「にこにこ」と「にたにた」でも、その印象はかなり違ってきます。
しかし、別の言い方をすると、これらの言葉の違いを身につけるためには、多くの文章や漫画を読んだり、人と話をしたりして、どのような場面で、どのようなオノマトペが使われているかを知ることが必要になります。
いろいろなところで、オノマトペを使ってみて、ぜひ、上手なオノマトペの使い手になってみてください。
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