「かたかな」ってどう教えるのですか?
「かたかな」の教え方
小学校1、2年生の子どもにとって、覚えることがむずかしい内容の一つに「かたかな」があります。「ひらがな」を書いたり読んだりできない子どもは少ないのですが、教科書でも出てくることが少ない「かたかな」は、子どもにとって馴染みが薄く、習得できない子どもも多いと思います。
「かたかな」をよく理解していないのは、小学校1年生や2年生に限ったことではありません。実は、私たち大人でも「かたかな」の正しい使い方を理解していない場合があります。2年生を指導されたことがある先生は、よくご存じだと思いますが、どのような場合に「かたかな」を使うかよくわかっていない大人や高学年の子どもも多いのです。
🟠教室での指導
いろいろな学年でしたことがあるのですが、「今日は、『かたかな』の学習をします。まず、ノートに『かたかな』と書きましょう。」ときいてみてください。
クラスのだいたい半分ぐらいは、かたかなで「カタカナ」と書きます。残りの半分ぐらいは、ひらがなで「かたかな」と書きます。二人を指名し、黒板に「かたかな」と「カタカナ」と書かせ、「どちらが正しいのでしょう。」と問います。(高学年になると、漢字で「片仮名」と書く子どもがいるかもしれません。その場合は、あえて指名せずに、最後に指名して、なぜそう書くのか理由を聞くようにします。)
2年生の場合は、教科書にどのような場合に「かたかな」で表記するか説明が載っていますので、「教科書に証拠がありますので、証拠を見つけなさい。」と投げかけます。子どもは喜んで証拠を探すでしょう。
1年生の場合でも、「教科書の巻末」などに「かたかなの表」が載っています。それが証拠になります。
3年生以上の場合は、国語辞典を教室に人数分用意しておきます。そして、「この教室の中にあるものの中に、証拠がありますので、証拠を見つけなさい。」と投げかけます。子どもは、喜んで証拠を探すでしょう。
そして、「証拠を見つけた人は、ほかの人には教えずに、指でさししめてください。」と言います。
見つけた子どもには、「よく見つけたね。」「そうだね。」といいながら、ほめて回ります。そして、「見つけた人は、他にないか探してごらん。」と問います。
最後に、教科書の何ページに書いてあるか確認して、「かたかな」が正しいということを確認します。
2年生ですと、目次や巻末の部分などから「かたかな」という表記を見つけてきます。
そして、なぜ、「カタカナ」ではなく、「かたかな」が正しいのかを確認します。
ちなみに、東京書籍の教科書には、3つの場合が載っています。
外国の地名や人の名まえ
外国からきたことば
ものの音やどうぶつの鳴き声
東京書籍 新しい国語二上
外国の地名や人の名前は、一般的には、外国の固有名詞のことです。イギリスやパリ、トム・クルーズなどが、これにあたります。
外国からきたことばは、一般的には,外来語のことです。ライオン、シュークリーム、スマートウォッチなど,外国から日本に言葉のことです。
それ以外に、慣例として、図鑑などに出てくる虫や動物や植物の名前は、「アリ」や「タンポポ」のように「かたなか」で表記されていることが多いです。生活科の教科書でも、虫や動物や植物の名前は「かたかな」で書かれています。
この4番目の「かたかな」の使い方について、現在採択されている国語の教科書できちんと説明しているものはありません。以前、小学校の教科書を作っていた「三省堂」の教科書だけがきちんと説明していたと思います。(もし、きちんと説明しているのであれば、ご指摘ください。訂正します。)
長くなりましたが、「かたかな」は、片仮名という漢字があるわけですから、純粋な日本の言葉なので、「カタカナ」ではなく、「かたかな」と書きます。
教室で実践してみると、なかなかもりあがります。ぜひ、試してみてください。
🟠家庭でのする場合
<1、2年生の場合>
1、2年生が家庭にいるお母さん、お父さん、おばあさん、おじいさんなどの保護者のみなさんは、教科書に「かたかな」という言葉がどこに書いてあるのかを確かめたうえで、次のようにきいてみてください。
「かたかなってどう書くの?」
紙に書かせたうえで、「本当にそうなの? じゃあ、証拠を教科書から見つけて、見せてみてよ。」ときいてください。
なかなか、見つけられない子どもには、「教科書の最初や、最後の方にあると思うけどな。」と自分で見つけるようにさせてみてください。
そして、片仮名は、どのような場面で、使うのかを、確認してください。1年生の場合は、少し難しいかもしれませんが、分かる範囲で教えてください。
<3年生以上の場合>
3年生以上のお子さんがいるご家庭では、家に国語辞典があることと、そこに「かたかな」という表記がされていることを確認した上で、次のように聞いてみてください。
「かたかなってどう書くの?」
紙に書かせたうえで、「本当にそうなの? じゃあ、証拠を家にあるものの中から見つけて、見せてみてよ。」ときいてください。
国語辞典を子どもの見つけやすい場所に置いておくのもいいかもしてません。そして、「言葉を確かめるには、何を使うといいのかな。」と助言するのもいいかもしれません。
高学年の場合は、「片仮名」と書く子どももいると思います。
その場合は、さらに、こう聞きます。
「かたかなか、ひらがなかでは、どっちで書くの?」
学校やご家庭で試してみた結果を、教えてくださったらうれしいです。
なお、国語辞典の引き方については、次のページをご覧ください。
辞書を引く習慣のつけ方に進む(内部リンク)
かたかなに関する指導については、次のページもお読みください。
「カタカナ」と「かたかな」、正しいのはどっち?に進む(内部リンク)
片仮名の「シ」と「ツ」の書き分けに進む(内部リンク)
かたかなと擬態語に進む(内部リンク)
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