リライト教材:教育用語⑤

教育用語
つばさ
つばさ

リライト教材について知りたいです。

 学校の中には、教職員の中だけで使う特別な用語がたくさんあります。

 今回は、そのような教育用語の中の「リライト教材」について書きます。

リライト教材

🟠リライト教材

<リライト教材とは?>

 リライト教材(りらいと・きょうざい・Rewrite teaching materials)とは、特別な支援の必要な子どもに対して、国語科などの学習で使っている文章を、子どもが理解しやすいように平易な言葉に書き換えた教材のことをいいます。

 リライト教材を使うとよいのは、特別支援学級の子どもたちや、外国から来たばかりで日本語の理解が不十分な子どもたちです。リライト教材に適している子どもの中には、ディスレクシア(dyslexia)の子どもも含まれるかもしれません。

 ディスレクシアの子どもというのは、学習障がいのひとつのタイプとされています。全体的な発達には遅れはありませんが、文字の読み書きに限定した学習に困難さがあります。そのことによって、学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。1896年に英国のMorgan先生が最初に報告しました。

 知的能力の低さや勉強不足が原因ではなく、脳機能の発達に問題があると考えられています。そのために、発達障がいの中の学習障がいに位置づけられていて、2013年に改定された米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、限局性学習症(いわゆる学習障がい)のなかで、読字に限定した症状を示すタイプの子どもを示す用語としてディスレクシア(dyslexia)を使用しても良いことになりました。読字に困難があると、当然のことですが、書字にも困難があります。

<リライト教材のよさ>

 私は、この教育よもやま情報というブログの中で、いくつかの文章を教材分析しています。

 その際、物語文では、「あらすじ」を示したり、説明文では、「形式段落ごとに簡単な文章」を示したりしています。

 また、「よみもの」というブログでは、すべての漢字に読みがなを使った文章をたくさん用意しています。

よみものに進む外部リンク

 特に、次の教材については、漢字に読みがなをつけたものを用意しています。

ウナギのなぞを追って・要点に進む外部リンク・よみもの

「弱いロボット」だからできること・要点に進む外部リンク・よみもの

大切な人と深くつながるために・要点に進む外部リンク・よみもの

初雪のふる日・あらすじに進む外部リンク・よみもの

 これらの文章は、リライト教材として考えることができると思います。

 教材の内容を簡単な文章に書き変えることで、子どもの理解を助けることができます。

 子どもにとっては、その理解に合わせて、むずかしい物語文や説明文を簡単な文章で読めて、内容の理解ができることはとても有益だと思います。

<リライト教材の実際>

かさこじぞう・リライト教材

・むかしむかし、あるところにじいさまとばあさまがあった。

・二人はびんぼうで、やっとくらしていた。

・ある年のおおみそか、じいさまとばあさまは、もちこを買うためにすげがさを作ることにする。

・かさを五つもって、じいさまは町に売りに出かける。

・町には大年の市が立ち、にぎやかで、売る人にまざって、じいさまもかさを売ろうとする。

・しかし、かさは売れません。仕方なく家に帰ることにする。

・じいさまは、村の外れの野っ原に来ると、じぞうさまが六人立っていることに気づく。

・じいさまは、じぞうさまの雪をかきおとすと、売るもののかさをかぶせていく。

・しかし、六人のじぞうさまに対して、かさこは五つなので足らない。

・じいさまは、自分のつぎはぎのてぬぐいをとると、いちばんしまいのじぞうさまにかぶせる。

・家に帰り、かさが売れなかったことと、じぞうさまにかさをかぶせた話をばあさまにする。

・ばあさまはいやな顔ひとつしないで、いいことをしたと、言う。

・二人は、もちつきのまねごとをする。

・二人は、つけなをかみ、おゆをのんで休む。

・ま夜中、そりを引くかけ声がして、じいさまはふしぎに思う。

・耳をすますと、じさまとばさまの家をさがして、歌を歌っている声が聞こえる。

・そして、そりは二人の家のまえでとまると、なにかを下ろしていく。

・二人が外に出ると、空ぞりを引く六人のじぞうさまのすがたをみかける。

・二人は、じぞうさまにもらったものでよい正月をむかえることができた。

スーホの白い馬・リライト教材

・中国の北にあるモンゴルは広い草原が広がり、ひつじや馬をかってくらしていた。

・モンゴルの馬の頭のついた馬頭琴というがっきには、こんな話がある。

・むかし、モンゴルの草原にスーホというひつじかいの少年がおばあさんとくらしていた。

・スーホはよくはたらき、歌もうまく、うつくしい歌声は遠くまでひびいた。

・ある日、おそくになって帰ってきたスーホは、白い子馬を持って帰って来た。

・子馬はすくすくそだち、体は雪のように白く、きりっとひきしまっていた。

・ある日、白馬は、ひつじをまもって、おおかみとたたかったので、スーホは馬をほめた。

・ある年の春、とのさまが、一等はむすめとのけっこんができる馬の大会をひらいた。

・とぶようにかけ、一等になったの白馬を見て、とのさまは白馬とのり手をよびよせた。

・ところが、つれてこたらたのが少年だとわかって、とのさまはやくそくをやぶった。

・とのさまは、スーホにたいし、ぎんか三まいで、馬をおいて、帰れと言った。

・スーホは、「けい馬に来たので、馬を売りにきたのではない」と言った。

・さからうスーホは、はらをたてたとのさまの家来たちになぐられ、白馬をとられた。

・白馬をとられたスーホはかなしみ、白馬のことばかり考えていた。

・すばらしい白馬を手に入れたとのさまは、白馬を見せびらしたくなった。

・おきゃくをよんで、白馬にのって見せようとすると、白馬はとのさまをおとした。

・はらをたてたとのさまは、つかまえられなければ、弓でころせ、とめいじた。

・白馬においつけない家来たちは、つぎつぎに、白馬に矢をはなった。

・白馬はきずをうけながらも、大すきなスーホのところに帰ってきたが、しんでしまった。

・スーホは、かなしさとくやしさのためにいくばんもねむらなかったが、あるばんねむった。

・白馬がゆめに出てきて、じぶんのほねやかわすじ毛で、がっきを作るようにねがった。

・スーホが白馬のからだで作ったこのがっきが、馬頭琴のはじまりです。

・スーホは、どこにでもこの馬頭琴をもっていき、白馬を思いながら楽器をひいた。

・やがて、馬頭琴は、モンゴルに広まり、ひつじかいたちは、うつくしい音に耳をすました。

ありの行列・リライト教材

① 目がよく見えないありの行列を見かけるが、なぜありは行列ができるのか。

② アメリカ人のウイルソンという学者が、ありの実験をして観察をした。

③ ありの巣からはなれたところにさとうをおくと、行列を作り巣にもどった。

④ 石でじゃますると、少し列がみだれたが、また行列をつくることができた。

⑤ かんさつから、ウイルソンは、ありが道しるべを道においたと考えた。

⑥  ウイルソンはありの体を研究し、おしりからえきを出すことがわかった。

⑦  この研究からウイルソンはありの行列のできるわけを知ることができた。

⑧  えさを見つけたありはえきを出し、ほかのありたちはにおいをかいて歩く。

⑨  ありはにおいをたどってえさとすを行き帰りするのでありの行列ができる。

ウナギのなぞを追って・リライト教材

① 今年もウナギがどんな一生を送る生き物か調査するためにマリアナの海に来た。

② 日本の川や海にいるウナギがたまごを産む場所は、遠い南のマリアナの海である。

③ 80年ほどかかって、最近、ウナギのたまごを産む場所がマリアナだとわかった。

④ ウナギのたまごの場所をさがす調査は、小さいウナギをさがすことから始まった。

⑤ ウナギの赤ちゃんが最初にとれたのは、1967年のことだった。

⑥  筆者が調査に加わったのは1973年で、調査のはんいを広けていった。

⑦ 1991年、生後20日のレプトセファルスをとることができた。

⑧ 1994年、調査を整理し、たまごを産む場所は3つの海山近くだと予想した。

⑨ ウナギのたんじょうは、新月の日前後と関係していることが分かった。

⑩ 2005年、生後2日のレプトセファルスを見つけることができた。

⑪ 新月のころ、海山の近くという2つの予想のもとで、さらに調査を続けた。

⑫ 2009年、ウナギのたまごを見つけ、まちがいないことがわかった。

⑬ ウナギがどこでたまごを産むかわかったが、まだなぞはふえるばかりだ。

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 関係する言葉についてもお読みください。

発問:教育用語①に進む内部リンク

板書:教育用語②に進む内部リンク

机間指導:教育用語③に進む内部リンク

教材:教育用語④に進む内部リンク

授業研究:教育用語⑥に進む内部リンク

オノマトペ:教育用語⑦に進む内部リンク) 

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