分かち書き:教育用語⑫

教育用語
つばさ
つばさ

低学年の教科書では「分かち書き」していることが普通です。

 学校の中には、教職員を中心に使う特別な用語がたくさんあります。

 今回は、そのような教育用語の中の「分かち書き」について書きます。

分かち書き

🟠分かち書き

<分かち書きとは?>

 分かち書き(わかちがき)は、学校で使う特別な用語のひとつです。

 分かち書きは、語と語の間や、文節と文節との間を1字分空けて書く書き方をいいます。

 この分かち書きは、1、2年生の子どもの読みの負担を少なくするために、学習上の配慮として生まれた表記法です。

 特に、入学当初の1年生の教科書は、ほとんどが平仮名とイラストだけで作られています。

 平仮名だけの文は、語句と語句の切れ目がわかりにくく、意味もとらえにくいものです。

 語彙をたくさん知らない子どもには、一語一語の意味をとらえることも簡単ではありません。

 そこで、文節単位に分かち書きすることによって、読みやすく、文の意味をとらえやすくしています。

 文節とは、意味や発音上不自然にならない程度に、文をできるだけ短く区切ったまとまりのことです。 

 一般的には、文の途中で「ね」「さ」「よ」などの言葉を入れて読んでも意味が通じる部分が、文節と文節の切れ目になります。

 例えば、次のような文があります。

① わたしはきょうがっこうでともだちとあそびました。

 これを文節に分けて、間に「ね」を入れてみます。

② わたしは(ね)きょう(ね)がっこうで(ね)ともだちと(ね)あそびました。

「ね」の入ったところが、文節の切れ目の部分です。

 この文を、分かち書きにすると、次のようになります。

③ わたしは きょう がっこうで ともだちと あそびました。

 このように分かち書きをした③の文と、分かちがちのないひらがなだけの①の文を比べると、大人でも③の文の方が読みやすいです。

 このように、文章の間に空白を設けて書く方法が「分かち書き」です。

 英語やフランス語などと違って、日本語は、一般に使う文章では、空白によって言葉や語句を区切ることはありません。

 日本語の一般的な文章は、かな漢字混じりですので、漢字やひらがな、かたかななどの文字の違いや句読点などによって自然と区切りがわかるようになっています。

<教科書の扱いはどうなっているのか>

 分かち書きの扱いは、教科書会社によって若干違いますが、多くの教科書会社では、1、2年生の教科書で使われることが一般的です。

 同じように分かち書きの文章を使うのではなく、徐々に減らしていくのが一般的です。

 例えば、光村図書のホームページには、「分かち書き」について、次のような説明が載っています。

 教科書会社によって少し考え方が違うかもしれませんが、光村図書平成27年度版小学校「国語」教科書の分かち書き表記は、段階を追って三つのステップから成っています。1年4月期から2年6月期までは、最初の段階として文節単位の完全分かち書きとしています。また、2年7月期から12月期までを第二段階として、文のまとまりが3文節以上のものに対して、いちばん文意をとりやすいところに1字分の空きを入れています。分かち書きを採用しているのはここまでで、2年1月期からは分かち書きなしの形をとっています。

 このような段階をつけたのは、学習が進むにつれて、漢字の習得が進み、句読点も学習するため、児童が語句と語句の切れ目を捉えやすくなるという理由からです。

教科書の言葉Q&A 第1回 「分かち書き」って、なんですか?

<分かち書きの扱い>

 分かち書きは、読みやすくするための手段として使われていますので、子どもが作文を書く時には、分かち書きしないで書くのが普通です。

 子どもには、わかる範囲できちんと説明しておかないと、文の間におかしな空白のある作文を書いてしまうことがあります。

 わたし自身が、小学生だったのは、今から50年以上前のことです。わたしが、小学1年生の頃の作文を6年生の頃に読み直す機会がありました。

 その時、自分の作文を読んでいて、とても不思議に思ったことがあります。それは、なぜか、わたしの作文では、助詞の「を」の前に読点「、」がついていました。次のような文です。

④ ぼくはきのういちばで、おかし、をかいました。

 どの作文を読んでも、同じようになっていました。

 子どもの思い込みというのはおかしなもので、その思い込みのままそれがその子どもの常識になってしまいます。小学校1年生の時のわたしもそのような変な思い込みを学んでしまったのでしょう。

 では、昔のわたしのような変な思い込みを持たせないようにするためには、どうするといいのでしょうか

 それは、できるだけたくさん視写をさせることだと思います。

 視写をしながら、作文の書き方を徐々に覚えることで、どのようなところに句読点を打てばいいのか自然と覚えるようになります。分かち書きをしない作文書き方を覚えると思います

 正しい文の書き方は、教科書の文章を読むだけでは身につかないと思います。なぜなら、低学年の子どもの教科書は、分かち書きになっているからです。

 ですから、例えば、原稿用紙の半分(できれば左側)に分かち書きでない簡単な文を書いたものを用意することをお勧めします。その文を見ながら文を写す練習をするようにします。

 しばらく、そのような文を写す練習をすると、だんだん正しい文章の書き方を覚えるようになると思います。

 子どもが写す文章は、普段使っている国語の教科書の文章でもいいでしょう。でも、子どもにとっては、読んだことのない文章の方が楽しいでしょうから、自分の学校で使っていない他の教科書会社の教科書に載っている物語文や説明文を写して用意するというのもいいかもしれません。

⭐️ ⭐️

 関係する言葉についてもお読みください。

あいさつ 学校のマナー①に進む内部リンク

持ち物 学校のマナー②に進む内部リンク

名前の呼び方 学校のマナー③に進む内部リンク

記名 学校のマナー④に進む内部リンク

整った筆箱 学校のマナー⑤に進む内部リンク

教科書 学校のマナー⑥に進む内部リンク

紙の折り方 学校のマナー⑦に進む内部リンク

声の大きさ 学校のマナー⑧に進む内部リンク

鉛筆の持ち方 学校のマナー⑨に進む内部リンク

⭐️ ⭐️

発問:教育用語①に進む内部リンク

板書:教育用語②に進む内部リンク

机間指導:教育用語③に進む内部リンク

教材:教育用語④に進む内部リンク

リライト教材:教育用語⑤に進む内部リンク

研究授業:教育用語⑥に進む内部リンク

オノマトペ:教育用語⑦に進む内部リンク

校務分掌:教育用語⑧に進む内部リンク

教育課程:教育用語⑨に進む内部リンク

週案:教育用語⑩に進む内部リンク

スタートカリキュラム:教育用語⑪に進む内部リンク

 なお、視写については、次のページをお読みください。

子どもの実態を把握する(2)視写に進む内部リンク

視写指導(1)筆速を調べるに進む内部リンク

視写指導(2)視写の進め方・続け方に進む内部リンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました