子どもは話すことが大好きですよね。
子どもは話をすることが大好きです。
話すことに関する指導で、不可解に思うことがあります。
今回は、「話す指導で思うこと」について書きます。
🟠話す指導で思うこと
<話すことが好きな子どもたち>
子どもに限ったことではありませんが、人は誰かと話をすることがとても好きです。
本来、子どもは話すことが大好きです。
家庭の食事の時などでも、子どもはその日にあった出来事をよく話すものです。
「黙って食べなさい。」と親に注意されても、食べるのも忘れてお話に夢中になる子どもはたくさんいます。
コロナ感染症が流行したせいで、しばらくの間、学校では、黙食を強いられていました。コロナ感染症が、子どもにはあまり重篤な症状を起こしにくいことを受けて、2024年(令和4年)11月29日に文部科学省では、『「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の変更等について』という通知を出しました。
そこでは、次のように書かれています。
2.飲食の場面における感染対策について【基本的対処方針p25】
今般の変更前の基本的対処方針においては、「二(5)1)国民への周知等」とし て、「国民に対し、基本的な感染対策を徹底することに加え、飲食はなるべく少人数で黙食を基本とし、会話をする際にはマスクの着用を徹底すること(中略)等を促す。」とされていましたが、今般の変更により当該記述が削除されました。
この点、文部科学省が作成する「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」においては、「会食に当たっては、飛沫を飛ばさないよう、 例えば、机を向かい合わせにしない、大声での会話を控えるなどの対応が必要です。」 等とし、従前から、必ず「黙食」とすることを求めてはいないところです。
実際にも、一部の地域において行われているように、座席配置の工夫や適切な換気の確保等の措置を講じた上で、給食の時間において、児童生徒等の間で会話を行うことも可能ですので、感染状況も踏まえつつ、地域の実情に応じた取組を御検討いただくよう、よろしくお願いします。
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の変更等について
「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の変更等についてに進む(内部リンク)
ここでは、「従前から、必ず『黙食』とすることを求めてはいない」と書かれていますが、多くの小学校では、給食の時間、黙って食べることを強いられてきました。
この通知を受けたニュース番組などでは、インタビューを受けた子どもが、「給食の時間、友だちとおしゃべりができるようになって楽しい」というような回答をしている姿をよく見かけました。
子どもは、本来とてもお話をすることが好きです。特に、信頼のおける親や保護者、友だち、先生などが聞き手になると、いつまでもいろいろなお話を楽しそうにします。
<2つのタイプの子どもに分かれる授業中の子どもたち>
このようにお話することが大好きな子どもたちですが、授業中の子どもの様子を見ていると、話すことに対して2つのタイプの子どもに分かれることが多いように思います。
1つは、普段と同じように進んで、たくさん話をすることを楽しむ子ども
もう1つは、休み時間や給食時間の様子とは一変し、黙っている子ども
授業中の子どもは、見事に、たくさん話すか、黙っているか2つのタイプに分かれることが多いです。
もちろん、子どもの中には、心理的なプレッシャーなどのために、場面緘黙児といって、家ではよく話をするのに、学校では全く話をしない子どもがいることがあります。そのような子どもに話をすることを強制するような誤った指導はしてはいけません。
子どもの中には、普段はよくお喋りをするのに、授業中は、黙っていることが多い子どもがいます。もし、あなたのクラスの子どもが、みんな授業中によく話をすることができるように育っているとすれば、あなたがかなり優秀な教員で、日頃から子どもをきちんと育てていることができている証拠です。
<話す権利を託されている子どもたち>
では、なぜ多くの学級で、よく話す子どもと黙ったままの子どもに分かれているのでしょうか?
それは、「授業中に話すという行為を子どもの自発性に任せているから」だと思います。
国語の授業に限らず、授業では、話すこと、聞くこと、書くこと、読むことの4つの言語活動をすることが一般的です。
話すことを除いた他の3つの言語活動を多くの教員は、全員に対して強制的に行うことが多いです。
授業中、教員の話を聞かずによそ見をしたり、落書きをしていたりすると注意されます。
板書の文字をノートを書いたり、漢字の練習を書いたりするときに、書かないでいると叱られます。
教科書を音読するときに、声を出して読んでいないと注意されます。
このように、聞くこと、書くこと、読むことという3つの言語活動は、誰がも強制的に参加させられます。
しかし、話すことに関しては、この限りではありません。多くの場合、何か発言をしたければ、子どもは挙手をして、指名されることが必要になります。
子どもが手をあげないでいると、多くの教員は、子どもに発言をさせることはありません。子どもの中には、手をあげていないのに、発言をうながすと、「わたしは、手をあげていません。」と主張する子どもまでいます。
このように、なぜか授業中に話すことに関しては、話すかどうかの権利や義務を子どもに委ねていることがよくあります。
指導力のある教員は、挙手するかどうかで、話すことを子どもに任せるということをせずに、列の前から順番に意見や考えなどを言わせたり、発問の後で、子どもに自分の考えをノートに書く時間を十分に与えて全員が発表できるように授業を組み立てたりします。
いかかでしょうか。新学期が始まって数日が過ぎましたが、あなたのクラスの子どもの中に、まだ十分に声を聞けていない子どもがいるということはないでしょうか。
子どもは、本来話すことがとても好きです。そのような子どもたちが、授業中にたくさん発言できるような、能動的で楽しい授業をたくさん計画し、実施してください。
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なお、あわせて、話すこと・聞くことに関する次のページもお読みください。
話すこと・聞くことの指導(1)何をめざすのかに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(2)道順をどう話すかに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(3)話すことに慣れるに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(4)発言の機会を増やすに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(5)朝の会の司会に進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(6)ショウアンドテルに進む(内部リンク)
話すこと・聞くことの指導(7)本の紹介に進む(内部リンク)
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