性教育はとても大切だと思います。
学校では、さまざまな教育がなされています。
その中で、大切だとされている教育の1つに「性教育」があります。
しかし、残念なことに、日本では、あまり系統的に性教育を教えることはありません。
今回は、「性教育の大切さ」について書きます。
性教育の大切さ
🟠性教育の大切さ
<人が生まれてくるということ>
人は誰もが、両親から生まれてきます。
宗教では、処女である聖母マリア様が聖霊によって受胎し、キリスト様が生まれてくるというようなお話がありますが、多くの人は両親から生まれてきます。
体外受精という妊娠の方法もありますので、必ずしも両親の行為がなくても生まれてくることがあるのですが、一般的には、両親の行為の結果生まれることになります。
性教育は、私たちがどのようにして生まれてきたのかを教える教育でもあります。
しかし、日本の小学校では、残念なことに、赤ちゃんがどのようにして生まれてくるのか、ということに関する「性行為」について教えることはありません。
なぜなのかというと、小中学校の学習指導要領にそのような規定があるからです。
小学校学習指導要領には、小学校5年生の理科で、「動物の誕生」について、次のような学習をすることが書かれています。
動物の発生や成長について,魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりする中で,卵や胎児の様子に着目して,時間の経過と関係付けて調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。
(ア) 魚には雌雄があり,生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえること。
(イ) 人は,母体内で成長して生まれること。
小学校学習指導要領 解説 理科編
しかし、次のような「内容の取扱い」も記載されています。
人の受精に至る過程は取り扱わないものとする。
小学校学習指導要領 解説 理科編
動物が生まれることについて、メダカの受精などについて教えると同時に、子どもが母親の体内で成長することについては教えるのですが、「人の卵と精子が受精に至る過程については取り扱わない」ことになっています。このような規定のことを「はどめ規定」と呼ぶことがあります。
なぜこのような「はどめ規定」が学習指導要領に記載されたのかを、NHKが文部科学省に問い合わせたことがあります。しかし、文部科学省からは次のような答えが返ってきたそうです。
「はどめ規定が記載されるまでの経緯の詳細を示す文書はございません」
このことに関して詳しくは、次の文章をお読みください。
学校の性教育で“性交”を教えられない 「はどめ規定」ってなに?に進む(外部リンク)
最近の旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の報道などを見ていますと、宗教的な団体などからの不当な圧力があったことも考えられなくはないようにも思います。
全ての人ではありませんが、日本人の中の一部の人が、子どもに性行為を含む性に関する知識を教えたくないと、強く考えているのは事実だと思います。
<日本の現状>
しかし、今の日本は、性教育をきちんと教えなくてはならない現状にあります。
理由は、若い世代で望まない妊娠と中絶がたくさんあるからです。
公益社団法人の日本產婦人科医会は、「性教育が必要な理由」として、次のような文章と表を出しています。
・2016 年の年齢別出生・中絶統計(表34)に示すように,子どもたちの性の実態は「中学校で性交や避妊を取り上げるべきではない」などと悠長なことを言っていられないのは明白である。
日本產婦人科医会・ホームページ・No106 思春期のケア
そして、「予期せぬ妊娠が起きる背景には以下のことがある」としています。
1.性行為がある
日本產婦人科医会・ホームページ・No106 思春期のケア
2.妊娠の仕組みを知らない
3.避妊の知識がない
4.妊娠週数の数え方を知らない
5.中絶は 21 週 6 日までということを知らない
6.自分の身体についての知識がない
さらに、次のように書いています。
予期せぬ妊娠出産は貧困やDV につながり,その中で子どもたちは居場所を求めて SNS で知り合った男性とまた予期せぬ妊娠を繰り返す.妊娠・避妊・性感染症などに対する正しい知識を持ち,自ら考え,自らの意思で行動できるようになることが,この負の連鎖を食い止める 1 つの方法であり,義務教育が終わる中学校卒業までに教えておかないと間に合わない.そして,それを担うのが性教育である.
日本產婦人科医会・ホームページ・No106 思春期のケア
日本產婦人科医会・性教育が必要な理由に進む(外部リンク)
最近日本では、出生率の低下が問題になっています。しかし、決して日本の若い女性が妊娠していないわけではありません。悲しいことに2016年だけで、16万人以上の女性が中絶を行っています。
2016年に生まれた子どもの人数が、約98万人ですから、中絶の多さに目を疑います。
なぜ、このような予期せぬ妊娠と中絶が起こっているのかといえば、学校で、「性行為」を含んだきちんとした「性教育」を行なっていないからです。
個人の「子どもには性教育を教えたくない」という信条だけでは済まない現実があります。
子どもは、性に関する知識を、交際相手や友だちや雑誌やインターネットなどから得ることが多いです。
しかし、その性に関する知識の中には、たくさんの間違いが含まれていることもあります。
インターネットなどでは、簡単にヌード写真やアダルト映像などを見聞きすることも可能です。
なぜ、学校で、漢字や算数や文章の読解の仕方などを教えるように、きちんとした性教育をしないのでしょうか。
系統的に、性教育をきちんと行うことは、とても大切だと思います。
トイレットペーパーで性教育を 性教育(2)に進む(内部リンク)
性教育いらすと:ブログ紹介②に進む(内部リンク)
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