想像力のスイッチを入れよう 教材分析015

教材分析

想像力のスイッチを入れよう」の教材分析について知りたいです。

 よい授業をするためには、ていねいな教材研究をすることが大切です。

 しかし、国語の教材の分析をするのは時間がかかります。

 そこで、大まかな教材分析例を提示することにします。

 今回は、「想像力のスイッチを入れよう」です。

想像力のスイッチを入れよう:教材分析

🟠想像力のスイッチを入れよう:教材分析

 この教材は、光村図書の5年生の教科書に掲載されている説明文です。

<作者>

 下村健一(しもむら・けんいち)作

 出典:この教材は、この教科書のために書きおろしされた文章です。

 下村健一さんについて

 1960年、東京都町田市生まれです。日本のジャーナリストです。

 東京大学を卒業したあと、TBSというテレビ放送局に入りました。アナウンサー、ニュースキャスター、リポーター、特派員として活躍しました。TBS退社後もフリーのジャーナリストとして活躍されています。

 現在、白鷗大学の教授もされています。

<題名>

 題名は「想像力のスイッチを入れよう」です。

 この題名を見ただけでは、何のために想像力のスイッチを入れるのかはわかりませんが、筆者が、想像力が大切だと思っていることはわかります。

<はじめとおわり>

はじめ

 筆者は、最初に「学校のマラソン大会で、あなたが十位に入ったとしよう。」という仮定の話から書き出します。

 この説明文では、いきなりマラソン大会という事例を元にした話題から説明を始めています。

おわり

 筆者は、最後の段落で、「あなたの努力は、『想像力のスイッチ』を入れることだ。」と書いています。ここで、題名にも用いられている「想像力のスイッチ」を入れるという言葉が出てきます。

 さらに、「あたえられた小さなまどから小さな景色を見るのではなく、自分の想像力でかべを破り、大きな景色をながめて判断できる人間になってほしい。」と書いています。この最後の文が、筆者の一番伝えたかったことのようです。

説明文の教材研究(2) はじめとおわりに進む内部リンク

<形式段落>

 形式段落は、全部で16段落です。

 形式段落毎の簡単な内容は、次の通りです。

① マラソン大会で五位から十位になると、前回より五位も下がったと思うことがある。

② しかし、先生は、三十秒もタイムが縮まっていますよ、というかもしれない。

③ 同じ出来事でも、何を大事かと思うことによって発信する内容はちがってくる。

④ これは、テレビや新聞などの「メディア」でも同じで、何かを切り取って伝えている。

⑤ ある図の半分だけを見て全体図を予想しても、切り取られた情報だけでは分からない。

⑥ 思い込みを減らすため「想像力のスイッチ」を入れてみることが大切である。

⑦  サッカーの人気チームで、Aさんが新しい監督になるという事例で考えてみよう。

⑧  大切なのは結論を急がないことで、「まだ分からない」という習慣をつけることだ。

⑨  メディアが伝えた情報について、冷静に見直して、事実か印象か考えてみることだ。

⑩  こんな新聞記事が出た。「Aさんは外国での仕事をキャンセルした。」

⑪  この表現に印象はない。だが、他の見方もないかなと想像することも大切である。

⑫ 伝えられていないことに想像力を働かせることも大切で、他の可能性を残すことだ。

⑬ 結局、監督はAさん以外が選ばれ、Aさんは関係がなかったが、注目が集まった。

⑭ 例示した報道は架空の話だが、思い込みや推測の報道は実際に起こりうることだ。

⑮ メディアは早く情報を伝えようとして、思いこみにつながる表現になることがある。

⑯ 想像力のスイッチを入れ、大きな景色を見て判断できる人間になったほしい。

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説明文の教材研究(4) 段落関係と要点に進む内部リンク

<意味段落>

①~⑥段落:事例1(はじめ)

 マラソン大会の順位の話、図形の半分から元の図形を予想する話という具体的な2つの事例から、同じ出来事でも、何が大事か見方を変えることで発信の内容は変わり、取り入り取られた情報だけでは、全体を正しくみることはできないことに気づかせています。その際、必要なことは「想像力のスイッチ」を入れることだとしています。

⑦~⑭段落:事例2(なか)

 人気チームの監督にAさんがなるかもしれないという架空の事例を通して、メディアの情報を正く受け取る際の大切なことについて書いています。「結論を急がないこと」「まだ分からないと思うこと」「事実か印象か分けてみること」「他の見方もないか考えてみること」「他の可能性も考えてみること」といったメディアの情報を見る際の大切なことについて書いています。

⑮・⑯段落:結論(おわり)

 メディアは、情報を早く分かりやすく伝えようとして、結果として思いこみにつながる表現になったしまうことがある。メディアの情報を正しく受け取るためには、想像力のスイッチを入れ、大きな景色を見て判断できる人間になることです。

 この説明文の形式は、結論を最後に持ってくる尾括型の説明文です。

<大事な言葉>

 メディア、想像力、報道、可能性、事実、印象、思いこみ

説明文の教材研究(5) 大事な言葉と要約に進む内部リンク

<表現の工夫>

比喩・たとえ

 この説明文では、題名から比喩を用いています。「想像力のスイッチを入れる」というのはどのような事柄を指しているのでしょうか。

 「想像力を働かせる」とか「想像するように考え方を切りかえる」ことを、「想像力のスイッチを入れる」と書いています。

「スイッチを入れる」と書くことで、ある考えから違う考えに、さっと切るかわるような動きのある表現になっています。

説明文の教材研究(9) 比喩 数量化 程度差に進む内部リンク

<要旨>

 この説明文では、情報を発信したり受け取ったりするためには、物事の一面からではなく多面的な方向から見ることが大切さであり、メディアの情報に関しても、想像力を働かせて、大きな視点から見ることが大切だと伝えていると思います。

<まとめにかえて>

 この教材分析は、このブログに載せている「説明文の教材研究」で取りあげたいくつかの視点に基づいて行ったものです。

 教員のみなさん1人1人が自分で行う教材研究の参考になれば幸いです。

⭐️   ⭐️

 なお、説明文に関係する次の項目についても、併せて読んでください。

説明文の教材研究(1) 教材研究の視点に進む内部リンク

説明文の教材研究(3) 文章の構成に進む内部リンク

説明文の教材研究(6) 引用に進む内部リンク

説明文の教材研究(7) 表現の工夫(対比)に進む内部リンク

説明文の教材研究(8) 列挙 反復 問いかけに進む内部リンク

説明文の教材研究(10)なぜ教材研究をするのかに進む内部リンク

説明文の指導の仕方(1)指導計画に進む内部リンク

説明文の指導の仕方(10)に進む内部リンク

 他の教材の教材分析については、次のページをお読みください。

天気を予想する 教材分析㉔に進む内部リンク

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