自己理論の時代とは何ですか?
教員には、年齢や経験によって、様々な成長段階があります。
初任者や新任教員の「体力と情熱」の時代を終えると、次は、様々な「技術」が必要になる「技術の時代」になります。その技術が自分のものになり、自分なりの指導方法が確立するようになると「自己理論の時代」になります。
今回は、「教師の成長段階:自己理論の時代」について書きます。
教師の成長段階:自己理論の時代
🟠教師の成長段階:自己理論の時代
<指導方法の確立:私の場合>
教師を始めた頃は、1時間の授業を行うのもなかなかたいへんでした。
チャイムが鳴って授業を始めた後、終了のチャイムが鳴ると授業を終わるようにしていました。
しかし、初めに考えていたところまで授業が到着しないままで授業が終わることもよくありました。
小学校では、1時間の授業単位は45分間ですが、45分間の時間での、導入、展開、まとめという一般的な授業展開が自分なりに納得できるようになるまで、何年もかかったように思います。
最初は、そのような拙い授業でも、子どもは熱心に話を聞いてくれたように思います。拙い授業でも、こちらの熱意に合わせて、授業はなんとか成立していたように思います。
私は、講師を何年間かしていました。その間、きちんとした初任者研修を受けることもなく、担任をしていましたので、自分なりに指導の「技術」を学ぶしかありませんでした。
私が初任者の頃に、ちょうど今は「TOSS」という団体名になっています「教育技術の法則化運動」というのが始まった頃でした。
教育法則化運動というのは、向山洋一氏が始めた教育活動で、明治図書からは、賛同する教員の方々の図書もたくさん出ていました。
特に、向山洋一氏著の「授業の腕を上げる法則」(明治図書・1985年)に書かれていた「授業の原則10箇条」はとても役に立ちました。
TOSS掲載の「授業の原則10箇条」に進む(外部リンク)
教育法則化運動関連の図書などには、それまでに各地の附属小学校などで熱心な教育実践をして活躍されていた野口芳宏氏や有田和正氏の著書もありました。
それらの著書からもたくさんの「技術」を得ることができました。
校内の研究授業などには進んで手を上げてさせていただくようにしていましたが、講師をしていましたので、初任者研修などの機会もありませんでした。
個人的には、よい授業を行うための「技術」を手に入れるためには、教育書や教育雑誌を読むことが一番よい方法でした。
また、教員採用試験に合格して教諭になってからは、所属している自治体の教員で作っている研究会にも参加するようになりました。
そこでは、授業の進め方について、具体的にたくさんの他校の先輩教員からも教えていただくことができました。
研究会では、研究を進めるために、研究授業をする人を本人の希望も考慮して選びます。研究授業をすることができる機会には、進んで研究授業を行うようにしました。
自分が研究授業を行うことで、さらにたくさんの助言や指導や指導方法の工夫などを、たくさんの先輩教員の方から教えていただくことができました。
たまたま、私の所属する自治体と関係をもつ教育系大学の附属小学校から附属小学校に勤務しないかというお話をいただき、附属小学校で勤務できることができました。
附属小学校では、今まで自分の勤務校では、あまりいなかった同世代の教員がたくさんいました。学校で研究テーマを決め、それを元に教科毎に研究テーマを決めて、数人で研究を進めました。
研究テーマに基づいた授業を考えて実践しました。いつもいつもうまく授業が進むわけではありませんでしたが、徐々に指導の「技術」は高まってきたように思います。
また、附属小学校では、自分の研究している教科以外の教科を研究している教員の授業を見る機会もたくさんありました。
附属小学校でしたので、毎年多くの外部の教員を集めて、研究発表会も開催しました。
同世代の教員の教育実践も参考にしながら、自分なりの指導方法を確立していったように思います。
同僚教員のアイデアをもらいながら、実践を重ねることでできあがった実践の1つが、「できごとが3回くりかえされるお話を書こう」の実践です。
物語を書く指導(2) 単元目標と指導計画に進む(内部リンク)
その後、幸運なことに、大学院で学ぶ機会を得ることができました。
<自己理論確立のために>
自分なりの授業の指導方法を確立するためには、教員になって10年ほどかかると思います。
10年ほど地道に「技術」を学び、「子ども」を見つめ、子どもに合わせた指導を積み重ねていくと、ある程度自分なりの指導方法が定まってくると思います。
授業の展開のリズムも定まってくるようになります。
時計を授業中にこまめに見なくても、あと何分ぐらい時間が残っているのかがわかるようになります。チャイムと同時に授業を終えるためには、少し急いで説明をしようとか、話し合いを切り上げようとか、ということがわかるようになってきます。
子どもが授業を理解しているのかどうかも、一通り机間指導をしたり、子どもの表情を見たりする中でわかってくるようになってきます。
例えば、ある指導方法について、後輩や同僚の教員に尋ねられた時に、自分なりの指導方法と、なぜその指導方法がよいのかを明確に説明できるようになると、「自己理論」が確立できたといえると思います。
しかし、教員として大切なことは、学びを続けることだと思います。
自分なりの指導法が定まったり、「自己理論」が確立できたりしても、学ぶことを続けないと、教員としての資質は、停滞すると思います。
個人的には、教員の能力は、伸びるか、下がるかだと思います。
学び続ける教員は、さらに成長するでしょうし、同じことを繰り返すだけの教員の質は次第に低下します。
自分だけで学び続けることには限度があります。
さまざまな研修会や研究会に参加する、大学院で学び直す、教育書を読む、教育実践論文を書き発表する、など様々な自分に合った方法で自己理論を確立した後も、学び続けることが大切だと思います。
自分のキャリアアップのために、様々な方法を試してください。
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