時計の学習

算数の学習
つばさ
つばさ

低学年の子どもにとって時計の読み方がむずかしいのはなぜでしょうか。

 低学年の子どもの中には、時計の見方がよくわからない子どもがいます。

 時計は、12進法や60進法で成り立っていますので、とてもむずかしいです。

 今回は、「時計の学習」について書きます。

時計の学習

🟠時計の学習内容

<小学校学習指導要領では>

 小学校学習指導要領では、1年生から3年生の間に「時間や時刻」について、次のようなことを学習し、身につけるように書いてあります。

第1学年

ア(ア) 日常生活の中で時刻を読むこと。  

イ(ア)  時刻の読み方を用いて,時刻と日常生活を関連付けること。

第2学年

ア(ア)  日,時,分について知り,それらの関係を理解すること。  

イ(ア)  時間の単位に着目し,時刻や時間を日常生活に生かすこと。

第3学年

ア(ア)  について知ること。

 (イ)  日常生活に必要な時刻や時間を求めること。  

イ(ア)  時間の単位に着目し,時刻や時間の求め方について考察し,日常生活に生かすこと。  

小学校学習指導要領 算数

 簡単に書くと、次のようになります。

 1年生は、時計の読み方を覚えること

 2年生では、「日、時、分」などの単位を知り、日常生活の中で使えるようになること

 3年生は、「秒」についても知り、日常生活で生かせるようになること

<子どもにとってわかりにくい時間の読み方>

 時計や時間が、子どもにとってむずかしい理由は大きく2つあります。

 1つは、それまでの学習経験の差です。

 日常生活の中で、親や保護者などの家族が、普通に時計や時刻の話題を出し、時計の見方について段々身につけてきている子どもにとっては、1年生でも時計や時刻の見方はむずかしくないかもしれません。

 しかし、多くの子どもにとって、時計を見て、今何時かを理解するのはむずかしいことです。

 それは、家庭などにおいて、時計に触れる経験などの学習経験の差です。

 ここで、少し考えてほしいのですが、今が教室にはどちらの時計が置かれていますか?

 1から12までの文字が入ったアナロクの時計でしょうか。それとも、数字が次々に切り替わるデジタルの時計でしょうか。

 きっと多くの小学校の教室にある時計は、アナロクの時計だと思います。

 私が子どもの頃は、全てアナログの時計でした。数字を示すデジタルの時計などありませんでした。しかし、最近は、少しずつ家庭の中に、デジタル表示の時計が入ってきているのではないでしょうか。

 家庭で、数字が切り替わるデジタルの時計を見慣れた子どもの中には、学校のアナロクの時計を初めて見る子どももいるかもしれません。

 低学年の多くの子どもにとって、時間の感覚にはかなりの開きがあります。

 親や保護者などが時間や時計の読み方についてよく話題に出しているかどうかによってかなり違ってきます。

 時計に関しては、家庭や幼稚園、保育所などでの経験が違っていると思います。

 この違いが、子どもによって、時計や時間が、むずかしい1つめの理由です。

 時計や時間が、子どもにとってむずかしい2つめの理由は、時計や時間は、10進法で考えられ作られていないことです。

 10進法とは、10をひとまとまりとして、位が変化する考えです。

 人間の両方の指が10本であることから考えられました。

 それに対して、時計では、12進法と60進法の考えが取り入れられています。

 なぜ時計では、12進法や60進法なのでしょうか。少し話は飛びますが、なぜ円は360度なのでしょうか。

<時計の単位>

 時間の単位には、小さい方から、秒、分、時間、日、週、月、年、世紀などがあります。

 それぞれの単位は、どのような理由でできたのでしょうか。

 多くの時間の単位は、天体の動きを元に決まってきました。

 「年」の単位は、地球が太陽の周りを回る周期が元になっています。

 100年が合わさると、1世紀になります。

 「月」は、月が地球の周りを回る周期が元になっています。

 12か月間で、1年になります。

 「日」は、地球の自転の周期が元になっています。

 日を基準にした単位には、週、旬などがあります。

 1週間は、7日間、旬は、10日間のことです。

 日時計を元に、1日を24等分して1時間にしました。

 なぜ、24等分にしたのかというと、夜は太陽が出ていませんので、太陽を使って時間を測ることができませんでしたので、昼と夜の2つに分けました。

 そして、昼を太陽の動きに合わせて12に分けました。

 なぜ、12に分けたのかというと、12は、1、2、3、4、6、12に分けることができる便利な数字だからです。

 1時間を60等分して、1分にしました。

 1分間を60等分して、1秒にしました。

 60も、1、2、3、4、5、6、10、12、15、30、60と、いろいろな数字で割り切ることができ、ものを分配する時にとても便利な数字だからです。

<円の単位>

 円の角度は、360度です。では、なぜ、10や100などの切りのいい数字を使わなかったのでしょうか。

 それは、地球が太陽の周りを公転し、一周するのにおよそ365日かかるからです。

 1年の日数は、365日です。このように決めているので、毎年、ほぼ同じ時期に同じ季節を楽しむことができます。

 この365に近い数である360にしました。

 では、なぜ、365ではなく、360にしたのでしょうか。

 それは、360がとても便利な数字だからです。

 360は、とてもたくさんの数で割り切ることができます。

 全部で24個の数で割り切れます。

 特に、1から10までの数字のうち、7を除いたすべての数で割り切れます。

 具体的には、1・2・3・4・ 5・6・8・ 9・12・15・18・20・24・30・36・40・ 45・・60・72・90・120・180・360です。

 これほどたくさんの数で割り切れるので、いろいろな計算がとてもにやりやすくなります。

 このような理由で、円の角度は360度になりました。

<時計の学習をどのように教えるか>

 大人や教師にとってよくわかっている時計の読み方も子どもにとっては、とてもむずかしいことです。

 小学校では、徐々に時計や時間、時刻について3年生までの間で身につけるように考えられています。

 教師は、どうしても教えたことは子どもがすぐにわかるものだという錯覚をしがちです。

 しかし、多くの子どもはそれほど理解力がいいわけではありません。

 大切なことは何回も繰り返し伝え、徐々に理解し、身につけていくようにすることが大切です。

 教科書に出てくるからと、1年生の「とけい」の学習の時だけでわかるわけではありません。わかる子どもは、教員が教えたからわかってのではなく、家庭などで既に身につけてきているのです。

 教員にできることは、できるだけ多くの場面で、時間について触れ、時計の読み方に徐々に慣れさせることです。

 毎時間の初めに今は何時何分かを聞いたり、「長い数字が8までに○○をしましょう」と伝えたりして、徐々に時計の読み方に慣れる環境を作ることです。

 できれば、学年だよりや学級だよりなどで、家庭に協力を求めることも大切だと思います。

⭐️ ⭐️

 なお、他の算数の指導については、次のページをお読みください。

大きなかけ算を指でする:算数の指導に進む内部リンク

 子ども向けに、数に関係する文章を作っています。よければ、参考にお読みください。

かんたんにすすむ外部リンク・よみもの

なぜえんは360にすすむ外部リンク・よみもの


10進法に進む外部リンク・よみもの

大きな数の九九に進む外部リンク・よみもの

魔法陣に進む外部リンク・よみもの

魔法まほうじんヒントへんにすすむ(外部リンク・よみもの

魔法陣解答編に進む外部リンク・よみもの

コメント

タイトルとURLをコピーしました